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「2年もフランスに行けるなんて会社の研修か何かなの?」
チロルがオーダーしたアイスティーにガムシロを入れながら聞いてきた。
康祐クンが。
「あ、うんそうなの。」
「会社は?今どうしてるの?」
「うん、会社の方からフランス語マスターする様に言われてて・・・。」
あたしは嘘に嘘を重ねる。
「へぇ。凄い会社だね。普通、語学研修だったら社内でやっても良いような気がするけど。
今度うちのマネージャー、香澄の会社に営業に行かせようかな?」
チロルの行動力ならそれもあながち嘘じゃない気がしてあたしは頭を振った。
「あたし、あの偉い人のお付きみたいな感じで行くから・・・特別枠って言うか・・・。」
「ふーん。」
その時だった。
聞き覚えのある携帯の着信音が出入り口の方から聞こえてきた。
それは後ろを振り向くのも躊躇われる程。
あたしはお水の入ったコップを力を入れて握り締めた。身体が強張る。
「はい栗原。あー関部長お久しぶりですー。」
康祐クンの営業用の声が聞こえてきた。
「香澄?」
目の前からチロルの声がしたけど、あたしは目を閉じて耳を研ぎ澄ませて後ろの声を拾おうとする。
「関部長、お前をいたくお気に入りだな。」
「この前飲みに連れて行ったの、アズミの事気に入ったみたいでさ。」
「お前の根回しに感服するよ、流石我が営業部のトップだな。でそのお前が結婚とはなぁ。」
「結婚?」
康祐クンの鼻で笑う癖。本当に人を馬鹿にしているように聞こえる、その癖。
「2年後になってみないと分かんないだろ?」
「エグイっ!お前鬼畜だな!」
同席しているのは康祐クン、あたしと同期の小嶋クンだろう。
「しっかし野々原の何処が良かったの?」
あたしの名字が聞こえて来て、あたしはチロルの顔を窺った。
彼女はあたしの態度と後ろから遠慮無しに聞こえてくる話題から、声の主達に目を馳せる。




