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これが私の自慢の倉庫

 真平は盛大にため息をついて、床に散らばったけん玉の玉を拾いながら呟く。「いや~、元気なのはいいけどさ、ほんと疲れたわ…。俺、今日だけで5回は怒鳴った気がする。」

 琴美が手を腰に当てて反論する。「何言ってるのよ!あれくらい元気な方が文化部には必要なの!昭和の活気を象徴してるじゃない!」

「象徴って言うけど、部室壊されそうになっただろ!」真平がツッコミを入れるが、琴美は全く気にしていない。

 沙羅は机を拭きながら、ぽつりと漏らす。「…まあ、あの子の元気さには勝てないけど、楽しそうだったから、まあいいか。」

 真平が驚いた顔で振り向く。「お前、珍しく素直だな?」

「別に素直でもなんでもないわよ。ただ…あの子がこうやって部室で楽しんでるの見てたら、ちょっと安心したってだけ。」

 その言葉に、琴美がニヤリと笑いながら言う。「ほら~!沙羅ってやっぱり妹思いじゃない!」

「うるさい!」沙羅がタオルを投げつけ、琴美はキャッチしながら大笑いする。

 シャオは部屋の隅で、散らばった駄菓子の袋を集めていた。「パォ~!萌花ちゃん、すごく明るい子ですね~。私も元気をもらいました~。」

 美優はほほえみながら、揚げパンの残りを小さく切って皿に並べ直していた。「えへへ~、萌花ちゃんって、なんだかシャオさんと似てますよね~。」

「私とですか~?でも、私はあそこまでパワフルじゃないですよ~!」

 二人がほんわかしたやりとりをしているのを見て、真平が思わず苦笑い。「お前らは本当に癒しだな…。さっきまでの嵐が嘘みたいだよ。」

 勇馬は床に転がった昭和の雑誌を拾い上げながら、ふと漏らす。「でも、萌花ちゃんのおかげで昭和文化が少しは若い世代に伝わったかもね。」

「それな。結局、こういうのって騒がしいくらいがちょうどいいのかもな。」真平が頷く。

 琴美が得意げに腕を組んで言う。「そうよ!だから萌花ちゃん、また呼びましょう!」

「それは勘弁してくれ…。」真平がすかさず制止し、全員が笑い出した。

 片付けが終わり、部室が静かになる中、シャオがにこっと微笑みながら言った。「パォ~、萌花ちゃんみたいな元気な子がまた来てくれると、部室がもっと賑やかになりますね~。」

 それに対して真平が疲れた顔で返す。「おいシャオ、それ、本気で言ってるのか?」

「もちろんですよ~!」シャオの無邪気な返事に、再び部室に笑い声が響き渡る。

 後片付けがひと段落つき、美優の淹れたお茶を飲んでいると琴美が「明日からのゴールデンウイーク、みんなで昭和を体験するわよ!」と意味不明な宣言をした。

「具体的になにすんだ?予定がある人だっているんだぞ」

琴美はみんなを見回し「ゴールデンウイーク!予定がある人!!」と声を張り上げた。

「別になんもない」「家でボーっとする予定でした」「じいちゃんの工場で修理するつもりでした」「パォ~、帰ってから考えるつもりでした」

 琴美は「みんなを家の倉庫で遊びましょ!」

「なんでもあるお前の家の倉庫か?」

 真平が半ば呆れたように言うと、琴美は得意げに胸を張った。「そうよ!昭和の宝庫、うちの倉庫を最大限活用するの!ゴールデンウィークは昭和を体験する黄金の時間にするわよ!」

沙羅が腕を組みながら冷静に突っ込む。「でも、それって結局また琴美の昭和趣味に振り回されるだけなんじゃ…?」

「パォ~!でも、倉庫ってすごく面白そうですね~。昭和の秘密がいっぱい隠れてそうです~!」

シャオが目を輝かせると、美優もほんわかとした声で賛同する。「えへへ~、宝探しみたいでワクワクしますね~。」

「いやいや、普通の倉庫だろ。そんな大したもん入ってないって。」

真平が否定するが、琴美はさらに興奮気味に語り出す。「なに言ってんのよ!うちの倉庫にはPC8801FRもあったし、昭和のおもちゃや雑誌、家電だって何でもそろってるのよ!しかも、じいちゃんの遺品で手つかずの場所もあるんだから!」

勇馬が興味深そうにメガネをクイッと直しながら言った。「手つかずの場所って…もしかして、古い技術や文献なんかも眠ってるかもしれませんね。それはちょっと興味あります。」

「でしょでしょ!というわけで、明日集合ね!」

 琴美が一方的に話をまとめると、沙羅がため息をつきながら問いかけた。「場所と時間くらいは決めておきなさいよ。で、倉庫ってどこにあるの?」

「うちの敷地の裏よ!みんな、10時に駅前集合ね!」

「また無茶振りかよ…。」

 真平がぼやきつつも、全員が琴美の計画に乗せられる形でゴールデンウィーク初日の予定が決まった。


 日ノ本文化部のメンバーが揃って琴美の家に集まった。

「みんな!今日はうちの昭和遺産を大公開するわよ!」琴美が自慢げに腕を組む。

「昭和遺産って、どんだけスゴいのがあるんだよ?」真平が疑問を口にする。

「とにかく見てのお楽しみ!」琴美が鼻を鳴らして先導する。

 琴美の家は、洋館風の屋敷。門をくぐると、シャオがブランコを指さした。

「パォ!ブランコがあります」「まぁこれかわいい」「琴美ちゃんが遊んでたのかも」

「これ手作りっぽいですよ」(乗ってないんだな~)

 庭の敷地の裏には巨大な倉庫が構えていた。

「これが噂の倉庫か…」沙羅が目を細める。

「まさに宝の山って感じですねぇ~。」美優がほんわかとした笑顔を浮かべる。

「パォ~!すごく大きいです~!」シャオが倉庫の高さを見上げて驚く。

 勇馬は興味津々でメガネをクイッと上げる。「昭和の遺産がどれだけ詰まっているのか、楽しみですね!」

「さあ、みんなついてきて!」琴美が倉庫の鍵を開けると、中からは大量の古びた道具や家電、家具が現れた。

「これは…本当に昭和の宝庫だな。」真平が呆れ顔でつぶやく。

「でしょ!?これでも一部よ!」琴美が胸を張る。

 琴美が「さぁ、こっちよ!」とメンバーを連れて向かったのは例の「昭和の宝庫」と呼ばれる倉庫。

「ここがうちの昭和遺産倉庫!さぁ、どんどん探索しなさい!」

「これは?」沙羅が古いおもちゃのミシンを見つける。「こんな小さいので何か作れるの?」

「それは昭和の女の子が遊んでた手芸セットよ!」琴美が胸を張る。

 沙羅が試しにスイッチを入れると、ギギギギ…と妙な音を立てて動き始める。

「壊れてるじゃないの!」沙羅が眉をひそめるが、琴美は「昭和の味よ!」と開き直る。

一方、シャオは大量のレトロな広告ポスターを発見。「パォ~!これ、すごいですね~!」と感動しながら眺める。

「それ、おじいちゃんが集めたやつなの。」琴美が説明する。

「台湾の昭和と似てるところがいっぱいあります~!」シャオが興奮して話し始めるが、誰もついていけない。

 勇馬は古いラジオを発見し、いじり始める。「これ、直せばまだ使えそうですね。」

「勇馬、ほんと頼りになるわ!」琴美が褒めると、勇馬は少し照れながら「まぁ、これくらいは…」と続ける。

 美優は倉庫の隅でレトロなファッション雑誌を発見。「これ、すっごくかわいいです~♪」

「美優、昭和っぽい服とか似合いそうよ!」琴美が提案すると、美優は「えへへ、着てみたいかも~。」とほんわか笑う。

「これ、なんだ?」真平が手に取ったのは古いリール式のカメラ。

「それ、フィルムで写真を撮るやつよ!真平、試してみなさい!」琴美が強引にカメラを渡す。

 真平が撮影ボタンを押すと、フィルムが突然暴走し、「うわっ!止まらない!」と大慌て。

「真平って、ほんと不器用ね~。」沙羅が笑うと、「お前がやれよ!」と真平が怒る。

 探索中、琴美の弟・アレンが倉庫に顔を出した。

「姉ちゃん、何してるの?」と冷静に尋ねるアレン。

「アレン、紹介するわ!これが日ノ本文化部の仲間たちよ!」琴美が誇らしげに言うと、アレンは小さく頭を下げた。

「こんにちは、皆さん。姉がいつもお世話になっています。」その礼儀正しさに、沙羅が目を丸くする。

「えっ、この子ほんとに琴美の弟?信じられないくらいしっかりしてるんだけど!」

「パォ~!琴美先輩と似てませんね~。」シャオが首をかしげる。

「アレン、いらないこと言うな!」琴美が慌ててアレンを追い払おうとするが、アレンは「姉ちゃん、また何か壊すなよ。」と冷静に言い残して去っていく。

「お前の弟、正論すぎるぞ!」真平が突っ込むと、琴美は「うるさい!」と怒る。

 琴美の母、さくらが「みんな、お昼ごはんよ~。」と声をかけると、倉庫からぞろぞろと家の中へ移動。

「うわぁ、これ全部手作りですか!?」沙羅が驚きの声を上げる。

 テーブルには、昭和風のナポリタン、コロッケ、卵サンド、そしてホットケーキが並んでいる。

「えへへ~、全部おいしそうですね~。」美優が嬉しそうに手を合わせる。

「パォ!ナポリタン、大好きです~!」シャオがフォークを手に取る。

「この卵サンド、ふわふわだな!」真平が口に運び、感動する。

「うちの母さん、料理の腕は一流よ!」琴美が自慢げに言うと、さくらが「やだ、恥ずかしいわね。」と微笑む。

 お昼ごはんを食べ終えた後、琴美がいきなり立ち上がった。

 午後は倉庫の中から出てきた道具を使って遊ぶことに。

 琴美が突然、古い三輪車を持ち出した。「これ、誰が一番早く走れるか競争よ!」

「いや、それ大人が乗るものじゃないだろ!」真平が制止するが、琴美はすでに三輪車に乗り込んでいた。

「いくわよー!」琴美が全力でペダルを漕ぐが、三輪車がガタガタ揺れて転倒。

「ぬおおおっ!?」転がる琴美を見て全員が大爆笑。

「大丈夫かよ!」真平が駆け寄るが、琴美は笑顔で立ち上がる。「これが昭和魂よ!」

一方、シャオが竹馬に挑戦するもバランスを崩し――

「パォーーーーー!」と叫びながら真平に倒れ込む。

「おい、また俺かよ!」真平がシャオを支えながら苦笑する。


 夕方になると、琴美の父・ジョージが「みんな、良いものを見せてあげよう。」と声をかける。

「良いものって?」沙羅が疑問を投げかけると、ジョージが倉庫の奥から古い映写機を運び出してきた。

「これは昔、昭和の映画を観るために使われていたんだ。」ジョージが説明する。

 部屋を暗くして映写機を回すと、スクリーンに古い記録映画が映し出される。

「すごい…本当に昭和だ。」勇馬が感動したように呟く。

「パォ~!これ、面白いです~!」シャオが興奮して拍手。

「むかしの方って歩くの早いのですねぇ~」

「美優、絶対ちがうから」沙羅が突っ込む。

「やっぱり昭和文化って最高ね!」琴美が満足そうに笑うと、真平が「でも、次はどんな騒ぎを起こすのやら…」と呟いた。


 映画が終わり、みんなで倉庫を片付け始めたとき、琴美が大声を上げた。

「これ、見て!」彼女が抱えてきたのは、古いラジコンカー。

「また妙なもの見つけたな…」真平が呆れる中、琴美がスイッチを入れる。

 ラジコンカーが急発進し、部室の中を暴走。シャオの足元をかすめ、勇馬の荷物に突っ込み、最後は真平の膝に激突。

「だから、なんで俺なんだよ!」真平が叫ぶ中、全員が大笑い。

「やっぱり琴美の家、カオスだわ…」沙羅が疲れたように言うと、みんなで笑い合った。

 こうして、琴美の家での昭和探検は、笑いと混乱に包まれて幕を閉じたのだった。


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