日ノ本文化部のIT事情
放課後真平が部室に入ると、琴美が見るからに古そうなパソコンをいじっていた。
「またすごいの持ってきたな」と真平が感心すると、
「昭和の名機PC8801FRよ!」と自慢げに言った。
「やっぱ予定管理とかパソコンあった方がいいじゃない?」
「現行パソコンの方が便利だろ、ネット見れるし」
琴美はチッチッチと指でやり「分かってないなぁうちは日ノ本文化部、昭和を体感してなんぼよ」と胸をはった。
真平が画面を見るとワープロソフトが映っていた。「ワード?」
「違うわよ。P1」と答えた。「これどこにあったんだ」と聞くと、うちの倉庫と琴美が自信満々に答えた。
「お前んちの倉庫なんでもあるんだな」と呆れ気味に答えた。
そんなやりとりをしているうちに部員たちが揃い皆が物珍しそうにパソコンを覗き込んでいた。「これ他の何ができるの」「ゲームとかしようよ」皆がいろいろな感想を述べた。
「ゲーム、それ」と部屋の隅には大きな段ボールが3つ積まれていた。部員たちはそれぞれ段ボールを開けていった。
「まぁこれかわいい」と美優が女の子が描かれているパッケージを手に取った。
「!!!!!!!!!!」琴美はすぐさま「男子むこういく」ときつい口調で命令した。
どうやら一つの段ボールがいわゆるそれ系であった。もう二つはどうやら普通っぽいので男子と女子で分かれて調べることになった。
一つ一つ手に取って見ていくが、どれもみな同じに見えた。
「ねぇ見てみようよ」と沙羅が悪魔のささやきを提案した。三人は即答で賛成すると適当にゲームを選んだ。
しばらく進めていくと可愛らしい女の子の魅力的シーンが次々とあらわれた。美優とシャオは「うふふ」とか「パォ!」と声をあげた。
琴美は「昭和にしては頑張ってんじゃない」と感心したが、沙羅は画面が進むごとに眉をひそめていた。それから数分して琴美が「飽きた」とボソッともらすと3人も同意した。「ねぇそっちどう?」と真平らに声をかけた。
「よくわかんねぇ、おっこれは」真平は三国志2のパッケージをあげた、
「みんなでそれしましょ」琴美の提案にみな快諾した。
なるべく武将の多いシナリオ2、担当武将をジャンケンで決定すると次のように決まった。
沙羅 曹操
真平 劉備
シャオ 孫策
琴美 呂布
美優 袁術
勇馬 馬騰
と決まった。
「呂布、ぷぷっ」
「仕方ないでしょアンタに曹操取られちゃったんだから!」
「おまえら現実で合戦するのか?」真平がちゃかす。
「美優アンタ袁術って・・・」
「みなさんの近くがいいですからねぇ~」よく分かってないらしい。
ゲームがスタートした、順番が回ってくると最初はみな開発や施しを選択していると琴美はいきなり美優に戦を仕掛けた。
「あ~ん私まだ何もしてないのに・・・」
「ごめんね美優ちゃん、群雄が割拠してるから仕方ないの」と謎理論を展開した。
「とりあえず迎え撃とうなっなっ」真平が先を促した。説明されながらぎこちない手つきで配置を終えると美優はまさかの一騎打ちを挑んだ。
「美優ちゃん早くも退場」琴美はもう勝った気満々である。
「なんか聞かれたからY押しただけなんですけどぉ~」どこまでも天然である。
袁術武力80 呂布武力100
もう結果は最初から分かっている。
「頑張ってください!わたし応援しちゃいます!!」
一騎打ちが始まると1合目2合目3合目と琴美の呂布が予想していた通りの展開をしていたが、4合目あたりから流れが変わった。急に美優の袁術が有利になりだし、最終てきには残り2で美優の袁術が琴美の呂布に勝利した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「勝った勝ったわたし勝っちゃいました」
「かかかかかかかっパソコンにバカにされてやんの」沙羅の挑発に琴美は完全にキレた。
「ぬがっ~~~~~」モニターを持ち上げると外に放り投げようとしだした。大慌てで真平と勇馬がおさえる。
「落ち着け!興奮するな!!」「先輩!それ貴重なものなのでしょう、いいんですか?」
「暴力よくありません」とシャオ、お前が言うなと沙羅は心の中で突っ込んだ。
モニターを戻させ、落ち着かせようとするが琴美の怒りはおさまらない。
「私に喧嘩売るなんて100万年早いのよ!人類への反乱!!こいつはターミネーターよターミネーター!!!」そんなわけあるかと思いながらも今は話題を切り替えることが最優先である。
「これで予定管理するのか?」と聞かれると「こいつ嫌い!」琴美は再び昭和の名機PC8801FRを睨みつけた。
「こん中でパソコン持ってる人!」琴美は全員に聞いた。みな一斉に手を挙げた。
「ねぇ誰か部室に持ってこれない?」なんつうむちゃぶりと真平は思い。
「お前が持って来いよ!部長だろ!!」と強くたしなめるように琴美に言い聞かせる。
琴美は自信満々に「持ってないわ」ときっぱりと言い切る。
「お前今までの情報どうしてたんだよ?」みんなもそう思う。
「これで十分」とスマホをヒラヒラさせた。
真平は琴美の恐ろしいまでの企画力に恐怖した。おずおずとシャオが手を挙げた。
「パソコン用意できるかもしれません」そう言うとどこかに電話しだした。
「あっおとうちゃん、お仕事中ごめんなさい。パソコン用意してほしいのですけど」
「あっはい、はい」「先輩一つでいいのかと?」「一つで十分でしょ、そんなにあってどうすんの」「一つでいいそうです、あっはい、何がしたいのかと?」「全部よ」
なんだそのアバウトな答え、真平は口をはさもうとしたが、会話は先に進んでいく。
「デスクトップかノートかと?」「ノートよノート!どこでも仕事できるでしょ」
「仕事、ぷぷっ」「やめなさいっ」真平が沙羅をたしなめる。
「画面サイズはと」「大きい方がいいわ」
「分かりましたっと」シャオは琴美に向き合うニコッと笑った。
「ねぇどういうこと?」沙羅が真平に小さく耳打ちした。
「きっと古い備品のパソコン譲ってもらえんだよ」なるほどと納得した。
後日新品のノートパソコンが日ノ本文化部には届けられた。




