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コタツと半纏と文化部の絆

 球技大会が終わり、激戦を繰り広げたシャオは、自室のベッドに横たわりながら深いため息をついた。全身に心地よい疲労が広がる中、扉をノックする音が聞こえる。

「シャオ、いる?」琴美の声が扉の向こうから響いた。

「パォ? 」

 シャオが上体を起こして返事をすると、扉が開き、日ノ本文化部のメンバーがぞろぞろと入ってきた。

 真平と勇馬が大きな荷物を抱えている。

「実はね、シャオの誕生日に渡すはずだったプレゼントがあるの!」

 沙羅がにやりと笑いながら、部屋に荷物を置く。

「えっ!? そんなの」

 シャオは驚いた表情を見せるが、琴美が「まぁまぁ、いいから開けてみて!」

 シャオが慎重に包装を解くと、中から現れたのは――日本の電機コタツだった。

「パォォォ!! コタツ!? すごい!! ずっと憧れてたやつです~!」

 シャオの目が輝き、思わず箱の中のコタツを撫でる。

「シャオ、冬になると『日本のコタツって気持ちいいんでしょ?』ってずっと言ってたじゃん?」

 真平がニヤリとしながら言う。

「そうそう、それでみんなでお金出し合って買ったの!」

 沙羅が誇らしげに胸を張る。

「感動した! これで寒い冬も乗り越えられます!」

 シャオは嬉しそうに頬を赤らめながら、感謝の気持ちを伝えた。

 さらに、美優が何かを差し出す。

「それとね、これもプレゼントです~」

 シャオが受け取ると、ふわりとした赤い半纏だった。裏には丁寧な刺繍が施されており、手作りの温かみが感じられる。

「これは……?」シャオが不思議そうに尋ねると、美優が柔らかく微笑む。

「うちのおばあちゃんがシャオちゃんのために縫ってくれたの。『留学生で日本の冬は寒いだろうから』って」

 シャオは言葉を失った。自分のために、誰かが時間をかけて作ってくれたもの。その温かさが胸にじんわりと広がる。

「パォ……こんな素敵なもの、いいんですか?」シャオの目には涙が滲んでいた。

「もちろんよ! シャオはもう、私たちの大事な仲間なんだから!」琴美が笑顔で言う。

 シャオはそっと半纏を羽織る。その瞬間、ふんわりと優しい温もりが全身を包んだ。

「……あったかいです」シャオは嬉しそうに笑い、半纏の袖をぎゅっと握りしめる。


 シャオの部屋に日ノ本文化部のメンバーが集まり、プレゼントを渡した後、みんなは自然と部屋を見渡しながらシャオの寮生活について興味を持ち始めた。

 そのとき、真平が腕を組みながらぽつりと呟いた。

「シャオ、この部屋……狭くないか?」

 確かに、文化部のメンバーが全員入ると少し窮屈に感じるほどの広さだった。小さな机と本棚、シングルベッドがあるだけの、シンプルな作りだ。

「えぇ~? そうですかぁ?」シャオはベッドの上で足をぶらぶらさせながら、特に気にした様子はない。

「ふむ、寮の規定上、女子寮の部屋は個室だが、広さは限られているのよ。」

 生徒会長の博美が冷静に説明する。

「まあ、こんなもんなんじゃない?」

 勇馬が壁に寄りかかりながら言う。「でも、ここで毎日過ごしてるのってちょっと大変そうだな。洗濯とかどうしてんの?」

「パォ! 寮にはランドリーがあります~! みんなで洗濯しに行くの、けっこう楽しいです!」

 シャオはニコニコしながら答える。

「へぇ~、楽しそうだな。食事は?」琴美が興味津々で聞く。

「食堂があって、朝と夜はそこでご飯食べるの! お昼は学校の購買でパン買ったりするけどね~」

 シャオは指を折りながら説明する。

「寮の食事って美味しいの?」

 沙羅が気になった様子で尋ねる。

「パォ……まぁまぁです? でも台湾の料理が恋しくなることもあります~」シャオはちょっとだけ寂しそうな顔をした。

「そういうときはウチの旅館においで~、おばあちゃんが台湾風の料理も作ってくれるかもです~」

 美優がにこやかに言うと、シャオの顔がぱっと明るくなった。

「本当!? それは嬉しいです~!」

「でも、さっきから気になってたんだけど、男子禁制の女子寮に俺と勇馬がいるのって、ちょっとヤバくないか……?」真平がふと気づいたように言うと、勇馬もうなずいた。

「まあ、本来は男子は入れないから。」勇馬は腕を組みながら冷静に答える。

「今回は私の特別な許可を出しているから問題ないわ。」博美が凛とした表情で言う。

「さすが生徒会長、頼りになるわね。」

 沙羅が感心したように言うと、琴美も「いや~、博美先輩がいてくれて助かるわ~」と頷いた。

「感謝するなら、きちんと節度を持って行動することね。」

 博美は厳しいようで、どこか優しい表情を浮かべながら念を押した。

「へへっ、了解了解。」真平は苦笑しながら頭をかく。

「ところでさ、シャオって普段部屋で何してんの?」琴美が興味津々で聞く。

「ん~、漫画読んだり、ゲームしたり、動画見たり……たまに宿題もします!」

 シャオは指を一本ずつ立てながら答える。

「たまに……?」

 巫鈴が鋭い視線を送ると、シャオは「パォ!?」と小さく悲鳴を上げた。

「ほらね、宿題やらないで遊んでるんじゃない?」

 巫鈴が冷静に指摘すると、シャオは慌てて「そ、そんなことないよ! ちゃんとやってるよ~!」と手を振る。

「まぁまぁ、せっかくのプレゼントもあることだし、今日はシャオの部屋でコタツを囲んでのんびりしましょう~」美優が優しく提案する。

「それ、いいね!」琴美が賛成すると、みんなも笑顔でうなずいた。

「じゃあ、コタツの組み立て開始ね!」沙羅が腕まくりをすると、真平が「説明書はちゃんと読むんだぞ」と注意をする。



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