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球技大会に挑む

 10月に入り、球技大会のシーズンが到来した。

 日ノ本文化部の吉峰琴美は、気合い十分で部員たちに宣言する。

「いい成績を残して、日ノ本文化部の存在価値を上げるわよ!」

 しかし、現実的な問題に気づいたのは伊勢野真平だった。

「部活対抗って、野球かサッカーだろ? でも、うちの部、人数足りないんじゃないか?」

 琴美は腕を組んで考え込む。確かに、日ノ本文化部のメンバーだけではフルメンバーをそろえるのは難しい。

「こうなったら助っ人を呼ぶしかないわね!」

 まず琴美が声をかけたのは、生徒会長の大野博美だった。

「博美先輩! 文化部の名誉のために、ぜひ助っ人をお願いします!」

「……あなたの部の名誉が、私に関係あるのかしら?」

 冷静な表情の博美に対し、琴美はめげずに食い下がる。

「博美先輩、スポーツできそうなオーラ出てますし、お願いします!」

「はぁ……まあ、運動には自信があるわ。仕方ないわね。」

 結局、博美は助っ人として参加することになった。

 次に琴美は、真平の妹である伊勢野巫鈴にも声をかける。

「巫鈴ちゃん、スポーツ得意じゃなかったっけ?」

「ええ、まあ……でもお兄ちゃんがいるなら、ちょっと考える。」

「むしろ兄妹コンビで活躍すれば、学園の伝説になれるわよ!」

「……そこまで言うなら、いいわよ。」

 さらに、磯貝沙羅の妹である磯貝萌香にも声をかけた。

「萌香ちゃん、運動得意でしょ?」

「うん! 野球とかめっちゃ好き! 文化部チームで出るなら、私も頑張る!」

 こうして、日ノ本文化部のメンバーに助っ人を加えたチーム編成が決定した。

「よーし! 球技大会、優勝を狙うわよ!」

 果たして、日ノ本文化部チームの運命は――!?


 球技大会に向けて、文化部チーム+助っ人メンバーは放課後のグラウンドで練習を始めた。

「野球とサッカー、どっちで出るか決めるために、とりあえず試してみましょう!」

 琴美の提案で、まずは野球を試してみることに。

 バッターボックスに立ったのは、生徒会長・大野博美。

 普段は知的で完璧な彼女だが、野球となると――

カキーン!

「きゃあっ!?」

 バットを振ったはずなのに、ボールはまったく違う方向へ。

「ちょっと待って、博美先輩! 今のスイング、なんか変!」

「……運動には自信があると言ったけど、野球は別よ。」

「生徒会長、野球音痴……まさかの弱点発覚ね。」

 沙羅が苦笑するが、博美は負け惜しみのように言う。

「フッ、文化部のレベルに合わせてあげているだけよ。」

 しかし、どう見ても打撃センスは壊滅的だった。

 一方、ピッチャーマウンドにはシャオが立つ。

「じゃあ、投げるねー!」

 彼女が笑顔で軽く腕を振った瞬間――

バシュッッ!!

「!?」「速っ!!」

 キャッチャーミットを構えていた真平の手が、思わず痺れるほどの剛速球。

「え、シャオ……野球経験あるの?」

「ううん、ないよ! でもお兄ちゃんとキャッチボールしてた!」

 どうやら、王家財閥の御曹司である兄・王天翔と遊びでキャッチボールをしていたうちに、異常な球速を身につけてしまったらしい。

「こ、これは……シャオ、エース決定だわ!」

「パォ!? わたし、エース!?」

 琴美は拳を握りしめ、嬉しそうに叫んだ。

「よし、決まり! 文化部は野球で出場する! 博美先輩は……うーん、とりあえず守備をがんばって!」

「……運動能力だけは高いから、最低限の守備はこなしてみせるわ。」

 こうして、日ノ本文化部はシャオをエースに据え、球技大会で野球に挑むことになった。

 球技大会本番を翌日に控え、文化部チームは最後の練習に励んでいた。

 シャオの豪速球は問題なし。

 巫鈴や萌香も運動神経がよく、野球の基本ルールを理解している。

 沙羅はバッティングが得意で、琴美もやる気に満ちている。以外にも美優もそこそこに野球センスがある。

「うふふ、私中学でソフトボールやってました」

しかし――

「……待って、生徒会長、本当にルールわかってます?」

 博美のプレーを見ていた真平が、思わずツッコミを入れる。

「ルール? ええ、もちろんよ。打ったら走る。ボールが飛んで来たら捕る。簡単でしょう?」

「いやいや、簡単すぎるっていうか、ざっくりしすぎっていうか……」

ケース1:守備編

ランナー一塁で、打者がゴロを打った。

ボールは博美の守るショート方向へ。

「ボールが来たわね。捕るわ。」

パシッ! 博美は華麗にキャッチ。

……しかし、そのまま静止。

「ちょ、博美先輩!? 早く送球してください!!」

「どこに?」

「二塁! もしくは一塁!!」

「ふむ、二塁に送るべき理由は?」

「いや、そこは考え込まないでください!!」


 こうして、文化部の球技大会への挑戦は波乱の幕開けとなった。

「博美先輩、これはもう理論で理解しようとしても無理だ。ゲームで感覚を掴んだほうが早いよ。」

 そう言って、勇馬は静かにNintendo Switchを取り出した。

「これが最新のテクノロジー……?」と博美が目を細めるが、勇馬は無言でソフトを選択。

 画面に映し出されたのは、レトロなドット絵の『ファミコン ベースボール』だった。

「え? なんか古くない?」と琴美が驚く。

「最新ハードでクラシックを遊ぶのが粋ってもんさ。」

「わかるー!」とシャオが頷く。

「それよりも、このゲームで野球の基礎を学んでください。」

 勇馬は淡々と説明しながら、コントローラーを博美に渡した。

「なるほど、ゲームでルールを学ぶという発想は合理的ね。」

 しかし、博美は初プレイから大苦戦。

「このボタンで投げるんですね。」

カキーン!!

ホームラン。

「……」

「博美先輩、速球ばっかり投げると打たれますよ!」

「なるほど、配球も重要なのね。」

次に、博美は変化球に挑戦。

ストライクを狙ったはずのボールが、なぜか画面外へ消えていく。

「ボールが消えた……?」

「投げる前にコントロール決めないと、どこ行くかわかりませんよ!」

打席に立った博美。

「では、タイミングよく振ればいいのね?」

ピッチャー投球。博美、思い切り振る。

空振り。

「……むむ。」

2球目。空振り。

3球目。空振り。三振。

「……バットに当たらない。」

「そういうゲームですからね。」と勇馬はクールに言う。

「なるほど、野球は実に奥が深いわね。」

 勇馬はため息をつきながら言った。

「とりあえず、試合でこれ以上の失敗をしないように、最低限の動きだけは覚えてください。」

「ふむ、ゲームでは完敗したけど、実戦では勝つわよ。」

「いや、実戦の方が難しいですよ!?」

――こうして、博美の野球音痴克服作戦は続くのであった。

 果たして、球技大会当日、彼女はまともにプレーできるのか!?


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