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【本編編】1話 現実の空

静かに目を開ける――

ボヤけた視界には、薄暗い部屋。

視界がはっきりしてくると、見慣れた天井と部屋の内装が視界に入る。

カーテンの隙間からは、外からの日差しが微かに射し込んでいる。

微かに差し込んだ日差しが、一部のフローリングの床を明るく照らしていた。

窓からは、外の空気がほんの少し流れ込んでくる。

ベッドに重く沈み込む身体。

流れ込んできた、空気を少し鼻で吸う。

外は、きっと快晴で、とても清々しく、気持ちのいい空気なのだろう。

しかし、今の私には、そんな気が全くしなかった。

空音「はぁ……」

思わず溜息が出る。

毎日、思う。

漫画のキャラクターなら、朝起きて、元気に窓を開けて、清々しく新鮮な空気を吸い込んで、

"いい朝だ"とか"いい日になりそう"

なんて呟くのだろう。

そう言う、漫画みたいな日は、私の人生にはくれるのだろうか?

そんな事を考えながら、また、私は溜息をついた。

そして、重い身体を起こしながら、ベッドの枕元に置いてあるスマホを手に取る。


――6.12 AM7:30――

自動ドアとか…できないかな…。

そんな事を考えながら――

私は――

今日――

1日を――

諦める――


――洗面台――

重い身体を動かして洗面台の前に立つ。

ヘアバンドで髪を塗れないようにする。

鏡に写る自分の顔。

"嫌いだ"

顔を洗い、歯を磨いた。

鏡に映る自分を見て、また溜息がでる。

空音「はぁ……」

ヘアバンドを外して、髪を整える。

今日は、あんまり癖ついてないから、

アイロンはいいか…。


――リビング――

悠太「おはよう、空音。」

空音「……おはよう。」

悠太「……どうした?」

空音「何が?」

悠太「いや……なんかいつもより機嫌悪い?」

空音「……別に、普通…だし…。」

悠太「そっか…なら良いよ。」

テレビでCMが流れている。

――CM――

女性「あなたの力が必要だ!魔女!魔法使い!になりたいあなた!私達は待っている‼︎」

画面には、制服姿の男女が沢山写っている。

悠太は、コーヒーコップを片手に持ち、仁王立ちで、テレビの宣伝に文句を言う。

悠太「ここのCMは、昔から変わってないなぉ。」

別に、機嫌が悪いわけじゃ無い…。

ただ……いつもどおり。

これが思春期と言う奴なのか…娘は不機嫌だ。

そんな娘が、不機嫌そうに、目の前に座っている。

空音は、リビングのテーブルに座った。

悠太「あ、そうだ、そうだ。」

"チン“とトースターが鳴った。

トースターの中には、パンが1枚。

トースターの扉を開け、焼けたパンを取り出し、その上にバターを塗り、マーガリンを塗る。

それを空音の前に置く。

悠太「はい、どうぞ。」

ついでに、冷蔵庫に入っていた、牛乳を注ぎ、空音に渡す。

空音「……ありがと」

悠太「最近は、よく食べるようになったね」

空音「……うーん。」

空音は、パンにかぶりつく。

ニュースが流れる。

キャスター「3日後、30年ぶりに、流星群が到来するそうです。」

悠太「流星群ね。昔そういや見たな。」

空音「ふーん」

悠太「3日後、一緒に見ようか。団子用意して。お月見みたいにしてさぁー」

空音「あー、まぁー、暇だったら」

悠太「じゃあ、みたらし団子も買っておくか!」

空音は、何か言いかけたが、やめた。

空音「……」

悠太「なに?嫌だった?」

空音「……きなこも…」

空音は、恥ずかしそうに言った。

悠太「OK、両方買うよ」

空音「う…ん。」


――8:00――


悠太「あ‼︎やば‼︎時間‼︎」

悠太は、椅子にかけてある上着を急いで、羽織る。

空音「社畜、頑張って」

悠太「あぁ、もちろん。何かあったら連絡して、後…スーパー帰りよるから、必要なものがあれば、連絡して、先に行くよ。」

空音「う…、いってらっしゃい。」

空音は、パンをほうばりながら、テレビ見ながら、悠太に返事をする。

悠太は、今日は、ゴミの日だったらしく、ゴミ箱を持って仕事に出かけた。

キャスター「続いてのニュースです、魔女と魔法使いの総人数が…。」

空音は、テレビをリモコンでテレビ消した。

食べ終えた食器を片付けようと立ち上がった。

皿とコップを洗い場まで運ぶ。


空音「はぁ……」


自分でも、女々しいと時々思う.

過去のことなのに…。

さっき…宣伝していた…学校に…進学する予定だった。

去年の夏までは…、魔法は使えてた…。

風だって…。

朝は、爽やかな風で知らせてくれて…。

魔法がいっぱいあって…。

色んな精霊達が話しかけてきて、くれて…。

でも…風は、勝手に靡かないし、精霊は…私に話しかけ来ない。

何にも感じない…!

感じない…!

聞こえない!

わかんない!

玄関で落ち込み、涙を流す、空音。

去年の冬、挫折を始めて知った…。

世界は、漫画のように上手くいかない…。

漫画なら、ピンチだったり、挫折した時に、ヒーローが現れて、励ましてくれたり、必ず助けてくれる。

でも、現実の世界じゃあり得ない…。

ピンチとか、挫折を受け入れるしかない。

現実は、自分で解決策を見つけて、自分で行動しなければならない……。

そんなの、漫画やアニメの世界では、努力の所は少しだけ。

それに、才能がある人が、努力しているから、結果が付いてくるのであって、才能のない人が努力したからと言って、報われるわけない…。


空音「はぁ……」


空音は、自室に鞄を取りに行き、玄関に向かう。

でも、今は前に進んでいる。

玄関のドアを開ける。


――バス停――

風が吹き、桜の花びらが散って地面に落ちる。

私は、ベンチに座る。

桜の木が一本、バス停に影を作る。

少し日陰になったベンチに座ると、

少し眠たくなる。

空音「……」

ベンチに腰掛け、鞄を足元に置く。

バスが到着するまでの時間この時間が好き。

好きな時間になった。


空音「はぁ……」


この先も、ずっと変わらない気がする。

でも、それでも、生きていかなければならない。

この世界は、漫画じゃない。

飛行機が上空を飛ぶ。

現実の空は、今日も晴れている。

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