エピローグ②
コロナつらいマン……
妹を探す旅に報酬はない。
なぜなら自分はヴァンピレス。生きとし生ける者の敵対種である。
たとえ妹を見つけても次には分かれる定めだ。
もし妹を見つけても後に待つのは目的を失った孤独だけだ。
それが恐ろしくて目を逸らしていた。
逸らし続けるために全てを捨ててきた。
天使教への憎しみ。妹を探すという決意。
それだけしか残っていないと思っていた。
喜怒哀楽の全てを捧げていたつもりだった。
──まさか私にこんな感情が残っていたなんてね。
自分の長い旅路の中で多くのことは海霧のように消えていった。
だけど、どうやら私にも恋という感情が残っていたらしい。
”彼”と重ねた唇を優しく撫でると顔が火のように熱くなる。
今も全身の感覚器が彼の行動を見逃さぬように見ている。
口付けの感想は嬉しいに近い。緊張にも、羞恥にも、餓えにも近い。
それらの属性を持ちながらどれでもない想いに私の心はかき乱されっぱなしだ。
自己分析しても自分がなぜこんな感情を抱いたのか分からない。
経験上、こういう時は考えないことが一番だ。
──そんなことできるわけないでしょ!!!
老獪な受け流しはこの時ばかりはできなかった。
認めよう。自分はカインに恋している。
──だってしょうがないじゃない! ずっと一人だったんだもの。
誰とも思想を共有せず、誰とも協力できない。
それが続いてしまったのだから優しくされてコロっと落ちた。
自覚はあっても、どうしようもできない。
だってこの恋は心地よいものだから。捨てることなんてできそうになかった。
祖の命令でカインに「私を愛しなさい」と命令することはできる。
しかしそれをしたら恋は叶わない。
こういう時にどうすればいいのか私の人生にはなかった。
だからせめて少しでも長く……彼と旅する時間が欲しい。
彼と同じ時間を共有し、彼と同じ想いを共有したい。
私はいい女なんだって思わせたい。
次で完結予定です。




