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白波の騎士物語~滅ぼした世界を救う~  作者: 555
第三章 白波の騎士
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3-7 終わらない明日へ②

 最高出力で生み出された”天の聖圧”が白波の騎士を飲み込む。

 それは今までのようにただ下へと圧し潰すようにはしなかった。

 面ではなく点への重力場であり、潰すのではなく()()()


「ぐ、うおおおおおおおおおおおおおお」


 白波の騎士の鎧が波打ち、ブチブチと中から肉が千切れる音がする。

 腕が籠手ごと何回転もして金具の隙間から血が噴き出した。

 周囲の物体もまるで栓が抜かれた浴槽の水のように渦を巻きながら中心へと吸い込まれてゆき、白波を押しつぶす。人間がこんなのに呑み込まれれば数秒も持たないだろう。


「どうした。我が雷を防いだ術はもう使えないのか?」


 アリアンロルデは挑発しながらも白波から目を離さない。

 先ほどの聖なる雷を防いだ相手の技が如何なるものか知る必要がある。

 全ては「先」へとつなげるため。


(天使教は最強でなくてはならない。

 天使教は無敵でなくてはならない。

 我々こそが人類最高の勢力でなければならない)


 ──アリアンロルデ。

 その名は天使教を創設した初代円卓枢機卿の一人であり、暗部の名前でもある。その暗部とは天使教の脅威となるものを隠蔽・封印・懐柔する部門だ。簡単にいえば汚れ仕事であり好き好んでやる者は少ない。


 抹殺する異端審問官や守護騎士とは違い、封印しなくてはならないというのは神の奇蹟が及ばないという証明である。信仰心の篤い者ほどこの仕事は長続きしない。


 だが彼はこの仕事を忌避したことはない。

 なぜならアリアンロルデは名を継ぐ前は異端審問官、その前は守護騎士を補佐する戦場修道士として戦い続け、悍ましいものを見てきたからだ。


 彼は私欲で戦ったことなど一度もなく、ただ無私と敬虔さのみで戦ってきた。

 守護騎士だった彼の父親は最後まで信仰を守るために戦い、殉職した。

 修道女にすぎなかった彼の母親は魔獣に襲われても人々を守るための囮となって喰い殺された。

 マリアがカインに言った通り、この世界は人里離れると死が近い。

 だからこそ彼は外から人々を守るために武器を取った。


(人々を守る。人々の信仰を守る。ゆえに我々は──私は負けぬ。負けられぬ)


 天使教の歴史において「一人目」を放置したことで崩壊したことが二度起きた。

 一つは最初の竜殺し「鉄火騎士ハーシェム」。竜の血を浴びたことで若返り、当時の天使教と対抗していた古代都市エレオノーラを勢いづかせた。それどころか彼の力に憧れて滅ぼすべき竜を崇める「竜賛者」たちまで現れるきっかけとなった。

 一つは外道魔術師「災火のオルトウェル」。ヴァンピレスを崇める終世教を立ちあげた教祖であり、ヴァンピレスが生まれた原因の一つ。年齢は既に四桁を超えるはずだがまだ生きているとされる。


 どちらも殺そうとして殺せなかった。だから天使教は崩壊の危機を迎えた。

 ゆえに”封印区アリアンロルデ”が作られたのだ。

 その名を背負う者としてあらゆる未知の脅威を知る必要があった。

 たとえば奇蹟を無効化するような冒涜的な力など。


「白炎……!?」


 白波の騎士の内側から炎がゆっくりと、まるでこぼれだすように生じた。

 それは如何なる力なのか、重力場が徐々に弱まっていく。

 絶対の祝福たる奇蹟が汚らわしいヴァンピレスの、ほんの小さな火で消されていく。


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