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小椋夏己のア・ラ・カルト  作者: 小椋夏己


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 54 ななちゃんのおかわり

 ななちゃんは幼稚園に通う4歳です。

 幼稚園で習って今は5まで数えられるようになりました。


 時々遊びに行くママのお母さんのおうちには、おじいちゃん、おばあちゃん、それからママの弟のかずおおじさんが住んでいます。


「おじいちゃんと、おばあちゃんと、おじちゃんで3」

「そうそうよくできました」

「ななちゃんと、ママとパパで3」

「そうそう、合わせていくつかな?」

「えっと、3と3は……」

 

 これはまだ分かっていません。


 遊びに行くといつもおばあちゃんがおいしいおまんじゅうを出してくれます。


「はいどうぞ」


 きれいな箱に入ったおいしいおまんじゅう。

 ななちゃんはこのおまんじゅうが大好きです。


 でもね……


「ななちゃんはまだ小さいからママとはんぶんこ、はい」


 ママがそう言っておまんじゅうを半分にしてくれるのがちょっと不満です。


「いつ食べてもおいしいわね。最近はおいしい和菓子屋さんが少なくなって、だから帰ってきたらこれが楽しみなの」


 ママはそう言うけど、


「でも今ダイエット中だからななちゃんと半分でちょうどいいかな」


 って、いつもママとはんぶんこ。


 それからしばらくして、ななちゃんはもっと数を数えられるようになりました。


「ママとパパとおじちゃんとおじいちゃんとおばあちゃんとななちゃんで6!」

「あら、よくできたわね」


 そしていつものおまんじゅうの箱を見たら、


「5つ……」


 5つは6より一つ少ない数。

 一人一つには足りません。


「さあ召し上がれ」


 いつものようにななちゃんはママとはんぶんこ。

 いつものように食べたけど、なんだかちょっと悲しくなって、食べながらおまんじゅうもちょっとしょっとしょっぱくなってきました。


「あれ、ななちゃんどうしたの?」


 おじちゃんが気がついて聞いてくれたら、もう悲しくて悲しくて、


「ななちゃんもおまんじゅう1つ食べたいの」


 そう言ってから、わんわんと泣き出してしまいました。


「あらあ、そうだったの」


 おばあちゃんが困ったような、悲しいようなそんな顔になってしまいます。


「残ってたらあげたんだけどなあ」


 おじいちゃんもそう言ってくれましたが、残念ながら食べ終わってました。


「今度はちゃんとななちゃんも1つ食べられるようにしようね」


 おばあちゃんがそう言ってくれて、やっとななちゃんは泣き止みました。


 それからしばらくして、またおばあちゃんのおうちに行ったら、


「はい、ななちゃんこれ」


 おばあちゃんが出してくれたのは、いつもより大きな箱にはいったおまんじゅうでした。


「あれ、いつもより大きい!」

「そうよ、いくつあるでしょう?」

「えっと、えっとね」


 ななちゃんは今、自分の名前と同じ7まで数えられるようになりました。


「いーち、にー、さーん、しー、ごー」


 前はここまでしかなかったおまんじゅう、今日は大きな箱で、


「ろーく! おばあちゃん、みんな1つずつ食べられるむっつあるよ!」

「うん、よかったね」

「それでまだ残ってる、えっと、ななー!」


 ななちゃんは大喜び。

 だって、6人に7つあるっていうことは……


「ねえ、おばあちゃん」

「なに?」

「今日、おまんじゅうおかわりできる? 7つの食べてもいい?」

「あらあら」


 今まで半分しか食べられなかったおまんじゅう、おかわりしていいかどうか、おばあちゃんには分かりません。


「ママがいいって言ったらね」

「うん、聞いてくる!」


 急いでななちゃんはママに聞きに行きました。


「うーん、そうねえ、ちゃんと晩ご飯も食べられるなら」

「おかわりしていいの!」

「ご飯も食べられるなら、よ」

「うんわかった! おかわりできるっ! おかわりできるっ!」


 ななちゃんはそう言ってぴょんぴょんと飛び跳ねました。


 そしていつものお茶の時間。


「ななちゃん、みんなにおまんじゅう配ってくれる?」

「うん、わかった!」


 ななちゃんにはちゃんと数が数えられます。


 みんなに1つずつ配って、


「ななちゃんの!」


 今日はななちゃんの前にもママの前にも一つずつ。


「いただきます!」


 ななちゃんは初めておまんじゅうを1つ全部一人で食べられてとっても幸せです。


「おばあちゃん、おかわりしていい?」

「はい、どうぞ」


 急いでおまんじゅうの箱に急ぎます。

 ふたを開けたらまだおまんじゅうがある。


「ななちゃんのななー!」


 そう言ってななちゃんはおまんじゅうをつまんで口に。


「おかわりおいしー!」


 待ちきれず、台所のテーブルでおかわりを食べてるななちゃんを、みんなは笑って見ていました。


「僕もおかわりもらおうかな」


 かずおおじさんがそう言ってテーブルに来て、


「あれ、ないよ? おかわりないよ?」


 10個入りのはずのおまんじゅうの箱をのぞくと中はからっぽ。


「ななちゃん、もしかしておかわりって……」

「うん、ななちゃんのななー!」


 ななちゃんは数をまだ7までしか数えられません、だから、


「7が1つ、7が2つ、7が3つ」


 7を3回おかわりして、4つも食べてしまいました。


 そしてやっぱり、晩ご飯、大好物のハンバーグを食べられなくなり、しかもお腹を壊してママに叱られてしまいましたが、おいしいおいしいおまんじゅう、ななちゃんはとっても幸せでした。


 早く10まで数えられるようになろうね。

 そしてお腹を壊さないようにしないとね。

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