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小椋夏己のア・ラ・カルト  作者: 小椋夏己


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 13 ローリングストック

 世の中いつ何があるか分からない。

 

 とりあえず自分が住んでいるこの国では地震が多い。

 そして今住んでいる地域は台風が多い。

 さらに冬は雪の影響を受けることも多い。

 考えてみればそこそこ困った場所に住んでいるみたいな気がしてきた。


 それで、何かあった時に自分にできることを考えて、食料や生活用品の備蓄を始めた。


 最初は備蓄用の品を集めてと思ったのだが、


「何これ、たっか!」


 めちゃくちゃ高い!

 缶詰が6個入りでン万円!


 いくら20年、30年()つって言っても、今使わない物に何万何十万も使えるほどゆとりのある生活はしていない。こちとらワンルーム住まいのごくごく一般的な会社員なのだ。


 どうしようかと考えていた頃、ボーッと見ていたテレビで2つの有用な知識を入手した。


 まず最初の知識。


「ローリングストックをお勧めします」


 それは何かと思ったら、そこそこ日持ちがする食料を備蓄し、それをローリング、つまり日々消費することで回転して新しい日付の物と交換していくと、特にそういう超長持ちする食料品とかを買わなくていいという方法だ。


 これは私にとってまさにうってつけの方法だと言えた。 

 何しろ普段からカップ麺やレトルトに頼った食生活をしている。それを少しばかり発展させればいいだけのこと。早速色々と買い込んで置いておく。

 カップ麺やパックご飯、レトルトのダンボールでかなり部屋が圧迫されたが、なあに、命には換えられない。


 そしてもう一つの知識。


「レトルトは袋が膨らんでいなければ何十年でも食べても大丈夫」


 これはあるバラエティ番組でたまたま発掘された三十年越しのレトルトカレーを食べてみたい、その依頼に答えて製造会社に確認をした上で試食をしていたのを見たのだ。


「いっそまずければネタになったのに、おいしくはないがまずくもない」


 食べたタレントの感想だった。


 三十年以上の年月を経ても、レトルトってそんなぐらいにしか劣化しないんだ!

 袋が破れたりして膨らんでいた場合はもちろん食べてはだめだが、元通りの状態だと、多少酸化が進んで味は落ちていても十分食べられるらしい。


 これまでも多少賞味期限が過ぎても大丈夫と食べていた。

 これもやはり何かで仕入れた与太知識なのだが、我が国の場合賞味期限の定め方がかなり厳しく、書かれている日付の1.5倍まではラクラクオッケ~、らしいのだ。


「賞味期限なんて飾りですよ」


 その上にさらに三十年オッケーを知った私の口からは、自然とそんな言葉が流れ出ていた。


 食べ物だけではだめだ。生き延びるためには生活するには他にも必要な物がある。

 私は他にも水が止まった時用の簡易トイレ、お風呂にもちろん入れないので体を拭くウェットペーパー、ガスが止まった時のカセットコンロとガス、電気が止まった時用のランタンや乾電池などを次々と買い求めていった。

 もちろんペットボトルのミネラルウォーターも余分に余分に。これこそ毎日飲めばいいのだからどれだけあっても多すぎるということはない。


 そうそう、トイレットペーパーやティッシュ、ウエットティッシュも特売を見つめてはまとめ買いしておく。紙は食料とちがってもっと大丈夫だからね。食べるわけじゃないから使える使える。


 色々と買い込んでかなり部屋が狭くなってしまった……


「逆に考えるんだ、もしもアパートに何かあったとしても、この物品たちが柱になって潰される確率が低くなるかも知れない」


 そう考えると心が軽くなった。


 そうそう冷凍物は最低限にした。

 電気が止まったらまずだめになるのは冷蔵庫の物だ。

 冷凍室は開け閉めを少なくすればかなりの時間保つと聞いたけど、それでも限界がある。

 普段使いの数だけ入れておく。


 冷蔵室には普段食べる物と、それから甘い缶詰を。

 これもある時に自衛隊の方のSNSでのつぶやきで知った。


「そういう生活の時に甘い物にホッとさせられます、甘い缶詰も用意しておいてください」


 もっともだ、おっしゃる通りだ。

 生き延びることに必死の時期が過ぎ、命は大丈夫となった後でさらに助けが来るまでの時期、今度は心の安定も重要になってくる。甘い物は必要。

 もちろんチョコレートや甘くはないがスナック菓子なども準備しておく。

 どれもそこそこ日持ちするのでローリングストックにもってこい。


 私はお酒を嗜まないだけ楽だったかな。飲む人だったらこの上にお酒やつまみも必要になっただろう。まあ、消毒とかにも使えるし、腐る物ではないので少しだけ焼酎やウイスキーも用意しておくか。ドラマやアニメでケガした人に使ってたシーンも記憶にある。もちろん、医療品も十分準備しているけどね。


 そうして、ローリングストックに囲まれた生活を私は始めた。


「これは、二ヶ月過ぎたカップ麺か。これから食べるかな。なあに問題ないない」

 

 夜はお湯で温めるスパゲッティにする。あれも三ヶ月ほど過ぎてたがまあ問題ない。


 結構気楽な生活だが、ふと、思うこともある。


「転がされてるのは備蓄品じゃなくて私なのかもなあ」


 部屋いっぱいのダンボール、日付が過ぎた食品を食べる毎日。

 だがまあ、転がされててもいいじゃない、いつか来るかも知れないその日のために、生き延びるために必要ならさ。

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