占領地でも忙しい!
いや勝ったみたいな気分でしたけど、よくよく考えたら敵の軍に、あまり被害与えられてないですね。アーサーとかいう強い人も逃したみたいです。とりあえずグレート帝国を抑えられたと言うことで大丈夫でしょう。
今回の戦争は初めてのたくさんの国が参戦した戦争になってしまいました。なので一つずつ脱落させていく作戦です。まずは教皇領、次にカステラ王国と講和。そこでモスク公国を狙う事にしました。
軍部もそう考えていたようで準備はバッチリです。東に西に、また東と大忙しですよもう……。モスク公国はどうやら輸送手段である馬が足りなくなっているようです。当然、鉄道を敷くほどの技術力もないので足が遅いというわけですね。
そこで軍部が考えた作戦はこうです。四天王領と協力して北と南に進撃します。そこから魔術師が中央にいる敵の背後に周り、南北の軍が魔術師の占領した土地に流れ込むことで中央の敵をまるまる包囲します。
ここには敵の軍の3割が集まっているので、この作戦が成功すれば敵も降伏するはずです。そうなると時間との勝負ですね。ここに車があれば楽なんですけど、研究すら始まっていない段階ですからね。
しかし今回は魔族が味方です。魔術師は多く確保できるでしょう。あれ、これもしかしてこっちが悪役……いやいやそんな事はありません。ワタシワルクナイ。だから市民の皆さんは石を投げたりしないでくださいね?
――ニポン皇国空軍所属 中隊長リーフ――
「集合!」
私が号令をかけるとすぐに部下が集まってきた。新兵だった頃はトロかった部下達もこの戦争でたくましくなったみたいだね。
「我が軍は、四天王軍と共同でビッグポケット作戦を発動した。簡単に言うと敵を包囲する作戦だ。今から説明するからよく聞けよ。この作戦は……」
私は一時間ほどで簡単な説明を終えた。他にも細かい事はあるけど私の部隊には関係ないから今は説明しなくてもいいでしょ。それよりも、もう時間がないから急いで準備しないと。司令部も突然すぎるよ……。
それから2日後に命令が下った。私達の任務は海の上を通って、モスク公国の小さな港町のセヴァーストーポリを占領。そのまま味方が来るまで耐えることらしい。大体3日間ってキッツ。
まぁ文句は言えないね。魔術師って給料いいし。
部下達と共に空を飛んでいくと町が見えてきた。間違いない。これが目的の町みたいだね。
「中隊長。いままで敵が出てこないとは今回は楽な仕事になりそうですね」
副官のブルーが話しかけて来た。
「そうだね。モスク公国は魔術師のほとんどを北の四天王に送ってるって噂もあるしね。でも油断はしちゃだめだよ。これから3日間は私達だけなんだから」
まぁ私も楽だとは思う。最初に孤立無援で3日って聞いてたぶんだけ、緊張しすぎてたのかも。ただ占領って地元住民の管理もあるし、3日とはいえ油断はだめだよね。
そうは思っても何事もなく、次の日の朝に町に入れた。敵の軍は治安維持の衛兵くらいしかいなかったし、相手にもならなかった。
私は家を1軒1軒見回って敵が隠れてないか探すように命令した。
まぁ市民にとって国の勝ち負けは関係ないし、庇ったりしないと思うけど一応ね。
それにしても綺麗な町だね。港では子供たちが鬼ごっこをしていた。全体的に時間がのんびり流れてる気がする。私はニポン皇国の王都出身だから、こういう感覚は新鮮な感じがする。
「中隊長! 見回って見ましたが、敵兵はいませんでした。あと、町長も私達に従っています。町の統治権も大人しく渡してくれました」
「ありがとう。話がわかる町長で良かったよ。私達が出ていった後も我が国による占領は続くみたいだから、あんまり無茶苦茶しないようにね」
こういう生活もいいね。私もこの戦争が終わったら、植民地統治軍に入ってどこかの島で総督をするのもありかもしれないね。
……と思っていたのも6時間前までの話。
「中隊長! 町の右側の守りが突破されました!」
「分かった! じゃあ……中央にいる小隊を応援に向かわせて!」
今の私達は絶賛敵の攻撃を受けている最中です。敵は歩兵だから、いつもなら空から攻撃すれば終わりだけど今回は出来ない。建物に隠れられちゃうからね。
ていうか敵の数が多い! 何が楽な任務よ! 私が言ったんだけど!
敵の銃撃を建物に隠れて避ける。激しさが収まったところで結界を張って、魔術を乱射する。敵を10人ほど倒したけど、後ろからどんどんやってくる。はぁはぁ……ネズミっじゃないんだから!
結局、夜遅くになってようやく敵は撤退していった。これで一日目かー。結界があるから死者は少ないけど、魔力がどんどん減っていっちゃう。とりあえず寝て、少しでも魔力を回復させよっと……。
そう考えてベッドに行こうとすると、ドアが勢いよく開かれた。
「中隊長! 今回の戦闘で家を破壊された住民が今夜はどこで寝れば良いのかと、町長宅に殺到しています!」
「テントで対応して! 予備ので足りるでしょ?」
返事をして、ようやく寝ようとした時。
「中隊長! 戦闘跡の家にどろぼうに入ろうとする者があとを立ちません。更に食料がないという苦情が……」
あーもう! 休ませてよ!
まぁ部下達は休まずに頑張ってるわけだから私が弱音を吐くわけにもいかないよね。でも植民地統治軍に入るのは考え直そう……。




