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メルヘン

 研究所の扉を開けてみると、すごい幻想的な雰囲気でした。

 研究所にしては小さな建物ながら、いくつかの部屋がありました。玄関を抜けると机や水瓶、本棚とかが置いてあるメインホールがありました。


 建物全体に弱いものの魔術と物理の両方の結界がはってあり、事故が起こっても安心仕様になっています。中の人は死ぬでしょうけど。

 まぁ研究する人は魔術の上手い人にする予定なので、事故は自力でどうにかしてもらいましょう。


 棚もあったりして、研究に必要なものは全部ここにそろってるようですね。

 所々にろうそくを立てる燭台があります。なんか秘密基地感がすごいです。


 残りは3部屋ありました。まずはキッチン。大体の家にあるものは揃っています。鍋は大鍋が一つありました。研究施設ですから大人数用なのでしょう。


 もう一つは物置。食べ物とか研究に必要な物を置く場所みたいですね。

 なんとここには時空魔法がかかっており、食べ物が腐るのを遅らせる事ができるみたいです。


 私達はまだ時空魔法なんてまともに使えないのに良いんでしょうか。

 研究すれば物の時を止めたりも出来るみたいですし、夢が広がりますね。


 最後は寝室です。ここにも本棚がありました。

 いやこの施設最高すぎでは。流石、初期に貰ったマナとこの世界に来てからせっせと貯めたマナのほとんどを持っていっただけありますね。


 というか私もここに住みたいんですけど。

 たまに泊まらせてもらおう。

 これなら魔術を重視する我が国でも恥ずかしくない、むしろ誇れる研究所と言えるでしょう。


 さて、施設が立派でも人がいないと意味がありません。学校に誰かいい人材がいませんかねー。

 そういえば最近、上級魔法を使える人が出たみたいですね。これで我が国では4人目。


 確かモンタナに住んでいて最近こっちに引っ越してきたはずです。

 ブルガリ王国の最年少の上級魔法使いだったと聞いているので会うのが楽しみですね。

 彼女に頼んでみましょう。


「こんにちはー!」


 彼女の家の前に着いたので呼んでみました。

 待つ事5分。返事が帰ってきません。

 あれ? 外出中でしょうか?

 おかしいですね。さっきお隣さんに聞いたら、今日は家から出ていないと言っていたのですが。


 あれ? 扉の鍵が開けっ放しです。不用心ですね。


「いますかー? 扉開けてもいいですかー?」


 ええい開けてしまいましょう。返事が無いのはOKの証拠です。


 扉を開けるとそこには20代くらいの若い女性が1人。

 いるじゃ無いですか。


「あれ……すみません気付きませんでした。本を読んでいたので……。私はメルヘンと言います。どなた様でしょうか?」


 普通の人は本を読んでいても気付くと思うんですけど。


「大丈夫ですよ。私は桜と言います。一応この国で皇帝やらせてもらってます」


「え!? 創造主様!? すみません! 気づかなかった事は謝るので処刑だけは勘弁してください!」


 しませんよどんなディストピアですか。うそ……私のイメージ悪すぎ?


 というか新しく併合した町の住民も国民になれば、私が創造主っていう認識になるんですね。

 戦争中は反抗的だったブルガリ王国の占領地の人達が、戦争が終わった途端に協力的になったのが不思議でしたが、謎が解けました。

 これならこの人を信用しても大丈夫そうです。


「そんな事しないですよ! もう。それよりも頼み事があってですね。魔術研究所が出来たんですけど、そこで魔術の研究をしませんか? もちろん給料はたくさん出しますし、予算もしっかり出すつもりですよ?」


 さぁ答えはどうでしょうか。


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