少年兵
2日後。私はまたニポン皇国に帰ってきていました。
マケドでは敵はそもそも足止め目的の軍だったので、本気で攻めてきた私達を止める事は出来ず、新たに徴兵をして数を増やしたマケド軍にすぐに蹴散らされました。
帰ってきてミトさんに話を聞きましたが、まぁこちらもほぼ同じ感じだったようです。
私はミトさんに作戦を説明し、マケドと同時にセルビア王国に攻め込む日が2日後に決まったと伝えました。
そして今、私はミトさんとセレナさんの3人で最後の確認を行っていました。
「つまり5日後にはセルビア王国を落とし、ブルガリ王国に侵攻している軍の背後をつくというわけですね。1週間はブルガリ王国も耐えられるという事だったから大丈夫そうですね!」
さすがミトさんは話が早いです。賢くていい子ですね。よーしよし。
「そういう事です。マケド王国がセルビア王国の王都を襲って、同時に私達が南部の都市コソヴォを落とす予定です」
「なるほど……セルビア王国は王都に人が集中しているからそこはマケド王国に任せるわけですね。私達は何人くらいの兵を連れて行きますか?」
「うーん。300人もいれば十分じゃ無いでしょうか。農業への影響が心配ですが、ケチをして負けては元も子もありません。セレナさんはそれで良いですか?」
さっきから黙っていたセレナさんにも確認をとります。
彼女は本当は早く助けて欲しいでしょうに、うなずいてくれました。
その後の2日間は忙しいものになりました。まずはコソヴォの偵察。次にマケド王国との連絡とやる事はたくさんありました。
ブルガリ王国にも伝令を送れないかと思ったのですが、完全に囲まれていて近づく事も出来ませんでした。
セルビア侵攻の前日。私が明日に備えて寝ようとしたところセレナさんが部屋に来ました。
「ごめんなさい……起こしてしまいましたか?こんな夜遅くに……」
ほんとですよ。目が覚めた責任とってください。げふんげふん。
「いえいえ。全然大丈夫ですよ。どうしましたか?」
「あの……まだ私の国は無事でしたか?」
あぁ……不安なんですね。まだ14歳ですもんね。
「大丈夫ですよ。見に行った人はまだ無事のようだと言っていました。安心して寝てください」
そう言うと心底ほっとしたような表情で帰って行きました。
この世界は人は簡単に死にます。なので彼女のような若い子供でも当たり前のように働いています。
必ず、こんなにたくさんの人を不幸にしたセルビア王国の創造主にはわからせてやりましょう。
翌日。私達はコソヴォに来ていました。大した壁もなく木の柵がある程度です。
そこにいた軍はたったの30人でした。もう完全に防衛を捨ててますね。セルビア王国は何がしたいんでしょうか?
「それでは皆さん! 訓練通りに隊列を作ってください!」
ミトさんがそう指示を出し、軍がゆっくりと町に近づいていきます。
その時、向こうのほうに動きがありました。
なんと小さな子供達が木の槍を持って走ってきたのです。
……いやいやいや。兵士。何引きこもってるんですか。貴方達が守る対象がこっち来てますよ?
どうやら子供達はもうすっかり洗脳されているようです。完全にこちらを敵としか見ていません。
……気分が悪いです。
ミトさんは攻撃の命令をためらっているようです。仕方ないですね。ここは創造主の私が人肌脱ぎましょう。
私の仕事はこういう事なんですから。クズで結構。
「みなさん。出来たら殺さずに無力化して欲しいですが……。それでも危険だと思ったら自分を優先して攻撃しなさい。命令です」
そう言うと兵士達は攻撃を始めました。みんな嫌そうですが、創造主の命令というのは結構な力を持っています。私が今まで1回も使おうとはしなかったくらいに。その力を国民に使いたくなかったくらいに。
結局、町は制圧されて子供達も30人くらい死にました。こちらの被害もありますが、子供達に殺された人は1人もいませんでした。
敵の兵士を捕まえたので尋問する事になりました。
「なんで子供達を戦わせたんですか。あんな事をしても意味がないと分かるでしょうに。無駄に死んでいったようなものですよ」
「そりゃ俺だってこんな事をしたくはないさ! でもな。創造主様がやれって命令したんだ! 時間を少しでも稼げって、少しでも嫌がらせをしろってな。許してくれ!」
確かに嫌がらせにはなりましたとも。時間はかかりましたし、統治の際にも反発や恨みが残るでしょう。兵士達の士気だって最悪です。
だからって……。はぁ……。まぁこの兵士に何かしても意味はありません。
さっきのように創造主の命令に逆らうのは難しいですからね。このツケはセルビア王国の創造主である国王様とやらにキッチリ払ってもらいましょう。




