王位継承戦
とうとう試合当日になりました。闘技場にはたくさんの観衆が試合の様子を見守っています。
当然私も観戦に来ました。
私は上にあるVIP席に案内されました。自分だけ上に行けるの最高ですね。
「桜さん!なんだか久しぶりな気分です」
「あっミトさん。そうですね。いつも一緒にいると3日でも結構経ったような気がしますね」
そこには当然マケド王国の王シャークさんもいて私に話しかけて来ました。
「聞いたぞ。ミトはあの魔族相手に戦った事があるそうじゃ無いか。指揮能力もなかなかのものだ。他国の指揮官でなければ私の軍に引き入れたいくらいだ」
どうやらミトさんはよっぽど気に入られたらしいですね。渡しませんよ?
「桜さん!私は絶対離れないから安心してくださいね!」
「そ……そんな心配はしてません!あっ、ほら試合が始まったみたいですよ」
私は少し恥ずかしかったので話を逸らす事にしました。
下を見るとまずは第二王子と第一王女が決闘を始めたところでした。
先に動いたのは王女の方。その軽い体を活かして王子の攻撃を避けながら、短剣で少しずつ王子の結界にダメージを与えていきます。
「すごい速さですね。王子の攻撃が全然当たって無いじゃ無いですか」
「あれが私の娘の強いところじゃ。スキル瞬足3を持っているからな。並の人間では目で追う事しか出来ないだろう」
王女はその間にも王子の結界の耐久力を削っていきます。
王子は出来るだけ剣で受け止めようとしてますが、半分くらいしか弾く事ができていません。
あれ?すごく強いって聞いてたんですけど何かのデマだったんでしょうか。
すると突然王子が後ろに下がります。そして王子の剣がひかりだしました。
これ絶対必殺技じゃないですか。
その瞬間。王子の剣からビームが飛び出します。
王女は必死にビームを避けますが、ついに当たってしまいました。
ビーム一瞬で王女の結界を削りきります。そのまま王女は負けてしまいました。
「第二王子キト様の勝ちー!!!!」
「今のは……?」
「あれが第二王子の売りだ。剣で受け止めたダメージを貯めて、同じ威力のビームで相手を攻撃するユニークスキルを持っているのだ」
そんなの反則レベルじゃないですか……これでカイトさんは勝てるんでしょうか。いや、勝ってくれるはずです。そうでしょう。
1時間の休憩を挟み、次は第二王子キトと第一王子カイトの試合が始まりました。
――カイト視点――
ついに大会当日が来た。闘技場の門が開く。
既にキトは場内にいた。
「第二王子キト様と第一王子カイト様の試合を開始します!」
審判が試合の開始を宣言する。観客はこちらを見ようともせず、第二王子ばかりを見ている。
まぁ構わない。舐めていられるのは今だけだ。
心の中でそう強がってはみるものの、やはり恐怖は拭えない。
キトが口を開く。
「ほら。早くかかってこいよ」
おそらくさっさと攻撃させてさっきのビームでボコそうって事なのだろう。
普通にやっても勝てるはずなのに性格が悪い。
まぁ今回はそれを利用させて貰おう。一発目は大技を打てるな。
僕は怯えているふりをする。
「お、おおおう。今から攻撃するからな……笑ってられるのも今のうちだぞ!」
思ったよりも情けない感じになったが、まぁいいだろう。むしろ目的のためにはちょうどいいと思われる。
僕はその間にも魔力を手に集める。時間があるので特大の魔力を集められる。
そしてそれを解放した。
ドゴォォォォ!!!
爆音と共にキトに命中する。
「やったか……!」
しかしキトは華麗に避けて無傷であった。余計な事を言ったからかもしれない。
「お前剣じゃ勝てないからって魔法に頼るとはなぁ。それでもこんな遅さじゃ意味がないぞ」
キトが切りかかってくる。
僕はファイアアローを何十発と放つが全て上空に飛び去ってしまった。
早い……!
僕は攻撃を数発くらいそれだけで結界を破られてしまった。これで後一発でも攻撃を受けたら終わりだ。
「これで終わりだ」
キトはさっきの王女戦で貯めたビームを放とうとする。
「今だ!」
闘技場全体にたくさんのファイアアローが降り注ぐ。
「何だこれは!」
さっき放ったファイアアローだ。作戦通り。昨日練習した連射能力を利用して大量に魔法を撃つという作戦だったのだ。
一度流れが変わるとそこからは僕の独壇場だった。
キトがいかに素早く動こうとも数を打てば魔術も当たる。魔術なので剣で受け止める事も出来ない。
そしてついに。
「カイト様の勝利!!」
「うぉぉぉぉぉ!!!!」
思わぬ番狂わせに観客が沸き立つ。
しかし僕はそれには応えずにすぐにVIP席へと向かう。そこに1番に結果を伝えないといけない人がいるから。
「桜さん!勝ちました!あなたのお陰です!」
「はい。見てましたよ。おめでとうございます」
「本当にありがとうございました!」
そして4日目。桜さん達が次の国に行く日になった。
「さようなら桜さん!次は僕がそっちの国に向かいますね!」
「待ってますよ!また魔術の練習をしましょうね!」
そう言って桜さんは浮遊魔法で飛び去っていった。
僕はは「師匠」を最後まで見送る。
振り返ると父と弟のキトがいた。
「その……悪かったな今まで。」
それだけ言うとキトは足早に去ってしまった。
恥ずかしがり屋だからしょうがないな。
次は父が近づいてくる。
「お前がこんなに努力していたなんてな。魔術というのも良いものだな。知らなかったよ。父失格だな」
「お父様……これから仲直りをしたいのですが良いですか?」
「カイト……」
こうして僕の家族の絆も桜さんのおかげで深まっていく事になった。
対魔術結界:結界魔法の中の一つ。非常に使いやすく、魔力さえあれば魔法が使えない者でも使える場合が多い。練習すれば硬度や向きなど調整がしやすくなる。




