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第3話 ドラゴンとロボット

 ロボットに搭乗し、操縦席に座る。


 この高さからだと、石畳ギリギリにいるクルエの姿が見えた。

 クルエは手を挙げて応援している。


「えっと、名前は……まあいいわ。発進!!」


 クルエが何かを叫んでいる。

 だが気にせずに……。

 ドラゴンはこちらに気づき、炎を吐く。


「うわうわうわあああああ!」


 俺は焦り避ける。

 だがその甲斐なく攻撃をじかに受ける。


「あの程度の炎、効かないわよ」


 確かにロボットにダメージはない様子。

 目下では、ジェイ達ギルドのメンバーが驚いた様子でこのロボットを見つめている。


「剣を使うのよ!」


 またしても何か話している。

 なんか振ってるな。

 あ、そうか、剣か!

 指示に従い、腰に携えている剣を構える。

 それもまた、白い。


 ドラゴンが城からこちらに猛スピードで飛びかかる。

 眼前に、ドラゴンの口内が見える。


 真っ赤な舌。

 二重に生えた鋭い牙。

 

 次の瞬間、大きな地震のような揺れが起きる。


「うわあああああ」


 メキメキメキィッ


 ドラゴンがロボットを押し倒し、頭をちぎろうと噛みつく。


「やばい!」


 ドラゴンの脇腹に向かって剣を突き立てる。


「ギヤアアアアアアアアアアアアアア!!」


 ドラゴンが叫び、空に飛びあがる。


「くっそお、銃とか翼とかがあれば……」


 

 ドラゴンが空中で静止。

 すると辺りの空気を思い込み吸い込み始める。

 胸部が風船のように異常に膨らむ。


「避けて!」


 吐き出した。

 紫色の炎。

 

「「うわああああああああああああ!!」」


 回避は出来ず攻撃はまたも直撃。

 

 起き上がろうとしても、上手くいかない。


「熱にやられたわね。――や、やばい。もう一回来る!」


 もう一度食らったら、間違いなくこのロボットは動けなくなる。

 再度ロボットを作る程のMPはない。

 避けるしかない。

 転がって逃げようとする。

 だがドラゴンは少し角度を変えて標準を合わせる。


 今、やるしかない……!

  

 俺は右に持つ剣を握り締めた。

 勝負は一瞬だ。

 敵が大きく開口する瞬間。

 つまりブレスを吐く瞬間。


 ドラゴンの肺が膨らむ。


 まだだ。まだ。


 膨張が止まる。


 もう少し。もう少し。


 口が開かれる。

 今だっ!!


 全力でもって剣を投げつける。

 その瞬間、まるで俺の意志に応えるように剣は鋭い槍へと姿を変えた。

  

 炎が向かってくる。

 

 槍が向かう。


 炎に衝突。

 しかし、裂く。


 そのまま槍はドラゴンの口から背中を貫通した。


「ギィラヤアアァアアアァァアアアアアアァアア!!」


 ドラゴンは叫びながら地面に墜落した。


「やった……のか……?」


 ドラゴンが死んだかどうかを確認するべくロボットを降りる。

 歩いて、ドラゴンへと近寄る。

 その瞬間、バサッ! という一つの音と共に、ドラゴンは飛翔した。


「まだ生きてんのかよ!」


 しかしドラゴンは口からだらだらと血をこぼしている。

 勝敗は見えている。


 ドラゴンもそれを悟ったのか、逃げるように飛んでいった。


「おーいだいじょーぶかー」


 城から、ジェイがさけぶ。


 俺がそちらに顔を向けると、げっ、というようにのけぞった。


「お、お前サトヤか!?」


 ギルドのメンバー全員が驚きざわつく。


「そーだよー」


 メンドウなことになった。


 その後、ジェイ達によって、街の消火活動が始まった。

 さすがはSランクギルドというか、水系魔法の達人が揃っている。


 街はボロボロだったが、幸い死者はいなかった。


「お前、ありゃなんだ」

「ロボットだって。詳しくは俺も分からん」

「どうして今まで隠してきた。あんなのがあるって分かってりゃ……」

「分かってりゃどうしてたっつうんだよ」


 俺達は元々仲が良かった。

 子どもの頃からの付き合いで、だからこそ一緒にギルドを作った。


 悪化したのは異性関係によるものだった。


 ある日、ジェイが片思いしていた女の子が俺に告白してきたのだ。

 そんなことを知らない俺は特にその子に恋愛感情をもっていなかったので、断ってしまった。

 そこから関係は悪化した。

 その子も結局ギルドを抜けてしまった。

 

「まあ、その、なんだ……。ありがとな」


 まさかジェイの口から感謝が出るとは思わなかった。


「別にお前達のためにやったわけでもないし」

「そう、だな。お前さえよければ、うちに戻ってこないか。今のお前はSランクに相応しい!」


 その誘いへの答えはすぐに決まった。


「いや、いいよ。俺は一人でやってくよ」

「そうか。それが出来る力だしな」


 人が徐々に戻って来て、騒がしくなってきた。

 辺りはつぶれたり、焦げた家々で道が埋まっている。


「それじゃあ俺は行くよ」

 

 振り返り、空気を読んで遠くにいた女神に合図をする。


「ま、待ってくれ!」


 振り返ると、ジェイが頭をさげている。


「すまな、かった」


「……別にいいよ」


 そうして俺は女神と共に、泉に戻った。

 

「なに、修羅場? 修羅場的なあれだった?」

「うるせえなお前は! 大体戦闘中もわちゃわちゃと動きがうるさかったぞ!」

「何よ親切心でしょ!?」


 こうして俺は、ドラゴンから街を守ったのであった。

次 回 予 告


 ドラゴンを退治し一件落着。

  

 家も食べ物もない中、生活の基盤を作ろうと決意する。

 

 サトヤはスキルを使って泉に家を建てることを計画した。


 次回『クラフト粘土ワークスと諸々建築』


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By 超絶美少女女神

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