第17話 VSドラゴン オペレーターをそえて
乗り込む作業はいつもと変わらない。
だが、操縦席は色々と変わっていた。
前よりも、複雑にボタンやらなにやらが増えたように感じる。
「行くわよ、メロア・グレン発進! (ようやく言えた)」
いつものように、動く姿をイメージする。
だが。
「「うわっ」」
コケてしまう。
「どうしたのよ! ほら、ばーっとやっちゃいなさい!」
動け!
ほら、動け!
こんな感じで歩け!
いつもと同じようには動かない。
「ダメだこりゃ」
「ダメだこりゃじゃないでしょ、動かしなさいよ! ほら、わあきてるきてる!!」
目の前にドラゴンの爪が現れ、衝突する。
ドラゴンに掴まれるが、重さのせいか宙に浮くことはない。
ただそれに憤慨したご様子のドラゴンさんは、どたどたと暴れて火を吹いている。
それを見かねたのか、俺のポケットに小さくなって入っていたすらのすけが出てきた。
「危ないから出てきちゃダメだ」
すらのすけは操縦席の上に立った。
「すらのすけ、まさか!」
だてに1か月、生活を共にしてきたわけではない。
もはや以心伝心。
今彼が俺に何を伝えたいのか、それがしっかりと分かる。
「分かったよすらのすけ。やってみよう!」
イメージするのは、すらのすけとこの機体。
それが一つに合わさる想像。
「神の粘土!!」
目の前から、すらのすけが消えた。
『オペレーションシステム上書き』
『初期設定の変更』
『セントラルプロセッサー確認』
『演算Unitアップデート』
『すべて完了しました』
『ハロー、マスター』
その中世的な声が誰のモノなのかは分からない。
だが、その声の主は分かる。
「すらのすけ、上手くいったのか!!」
俺は神の粘土によって、知的生命体であるすらのすけとこのロボットを組み合わせる想像をした。
その結果がどうなるのか分からなかったが、どうやら上手くいったようだ。
『細部パーツの稼働は私に任せて頂けますか』
「もちろん」
『ではマスターは、移動と武器のことだけを考えてください』
「オーケー」
じゃあまずは、立ち上がる!
ドラゴンを弾き、飛び跳ねるように立ち上がった。
その滑らかな動きは以前とはまるで違う。
身体が軽くなったようだ。
「武器はなにがあるか分かるか?」
『はい。ロングソードタイプとアックスタイプ、それからカタナタイプの剣が御座います』
「カタナ?」
「刀にしなさいよ、なんといってもカッコいいから!」
「お前がそういうならそうしよう」
『了解。カタナタイプの剣を取り出します』
背中のパーツが一部開き、そこから一本の剣を取り出す。
カタナというのはやや湾曲しているが、それ以外はいたってシンプルな作り。
それを構える様は、一流の騎士。
俺が操作しているとは到底思えない美しさだ。
「行くぞっ!」
叫びをあげるドラゴンに真っすぐ飛びこむ。
「はやっ!」
人間以上の動きで距離を詰め、その首を斬りつける。
「グガアアアアァァァァアアアアァァアアアア」
叫びをあげるが、致命傷ではない。
敵は距離を取ろうと飛び上がる。
「確かこのロボット、翼が付いてたよな!」
『あれはデザインであって、飛翔機能は付いておりません』
「マジかよっ!?」
なんて無駄な……。
「じゃあいい。なんか、あいつを打ち落とす弓とかはないのか?」
『弓はありませんが銃火器なら』
「よく分かんないけどそれでいい」
『了解』
今度は腰のパーツが開き、何やら変な形の武器を取り出す。
『トリガーを引けば撃てます』
「これか?」
ダダダッッダダダダダダダダッッッダ
なんだかよく分からないが、凄い威力だ。
ドラゴンがたまらず旋回しこちらに飛びかかってくる。
そこを剣でズバッと。
ドラゴンを一刀両断にした。
「おお……」
「なんだこのゴーレムは」
「すごい、ドラゴンを倒せるのか……」
兵士がどよめいている。
やっぱり俺、強くなってるな。
その勢いのまま、他の敵を倒していく。
ドラゴンに比べれば、なんていうことはない。
ただ移動しながら銃を撃ち放つことでバンバン敵が倒れていく。
この銃とか言う武器、楽しいな。
こうして戦闘開始から1時間も経たないうちに、襲ってきた敵は全て倒した。
しかし魔王と思われる魔物はいなかった。
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