第16話 メロア・グレン
「さあ、ココが寝泊まりする場所です」
そう言って提示された場所はまさしく『城』!
どでかい白の楼閣だ!
中もとんでもなく広く、天井はロボットで入れそうな程だった。
寝室もこれまた広く、ベッドは雲のように柔らかかった。
はあ、幸せ。
そのまま心地よく寝てしまった。
起きたら既に食事は用意されてるし、日中は国の観光を楽しめる。帰ってきたら風呂に入って、また出される食事を食べる。
最高の生活だ!
これを1か月程繰り返したある日のことである。
「お、どうした。すらのすけ、お腹減ったか」
俺はいつものように日常を謳歌していた。
ちなみにこの『すらのすけ』というのは、モンスタークラフトLv2で作ったスライムのことである。
この1か月、退屈なことも多かったので、ペットとして召喚したのだ。
というかそれ以外に使う用途がない。
「ほれ、飲め」
エサは回復ポーションだ。
これをかわいくゴクゴク飲みやがる。
撫でてやると、跳ねて喜ぶ。
どうやらこいつにはかなりの知性があるらしい。
スライム族には知性がないというのが常識だが、こいつは違うらしい。
そんな日常を崩すように、それは突然やって来た。
「魔王軍です!! 魔王軍がやってきました!!」
その報告を受けて、俺達は西ゲルストク砂漠に向かった。
「な、なんてことだ」
見渡す限りの敵の数。
砂煙は舞う中、しかししっかりと視認できる。
数だけではない。その一体一体が前回よりも強い種族。
「まさか、あれ……」
見上げた先にいたのは、緑色のドラゴンであった。
「奴ら、本気だ」
最初に戦闘を始めたのは俺の作ったゴーレムだった。
俺はこの一か月、何もしていなかったわけではない。
来る日に備え、ゴーレムを量産していた。
金属などは頼めば貰えたので、様々な種類のゴーレムを作ることが出来た。
ゴーレム達が第一線で、敵と戦っている。
「まさか……」
しかし数分も経たないうちに、その全てが破壊された。
「マジかよ……」
ヤバいのはやはりドラゴン。
奴の吐く緑色の炎が、ゴーレムの半数を破壊した。
まあ予想以上だけど、心配ご無用。
なぜってそりゃもちろん。
こっちにはロボットがあるから!!
「ねえね早く早く! 最近レベルも上がったし、色々パワーアップしてるはずよ!」
俺より喜んでいやがる。
まあいいか。
頭の中をイメージが駆け巡る。
な、なんだこれ。
かっこよすぎんだろ……。
いくぜ久々!!
「神の粘土!!」
6メートル程の背丈。
白の翼が3対、6枚。
それら一枚一枚に黄色の模様が施されている。
胴は赤をベースに白のラインが斜めに一本。
腕や足は赤一色。
緑の瞳が赤のなかで輝いている。
「すっげえ」
「なんだあれ」
「あれも、ゴーレムなのか?」
驚く兵の声をかき消す勢いで
「うひゃああああああ! かっくういいい!!」
女神が飛び跳ねる。
「はっ降りてきた! 名前は『メロア・グレン』よ! 決めた今決めた!」
「メロア・グレン……」
いい響きだ。
意味は分からないけど。
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