第15話 パンチな美少年
「おいお前、何を売ってる?」
街にある俺の店(ぼろ空き家)に5人の男女がやって来た。
「ポーションです、おひとつどうですか?」
パリンッパリンッパリンッ
卓上にならんだポーションを腕で薙ぎ払い、地面に落とす。
なんか、懐かしいな。
追放された時も、こんなかんじだったな。
うんうん。
「お前か、ザコギルドの連中にポーション売りさばいてるってのは」
「えっと、あなたは?」
「俺達はSランクギルド『聡明の暁』だ。最近、この街の連中がなんだか俺達の狩り場を荒らしやがって迷惑してんだよ」
男は放り投げるように、一人のぼろぼろになった男を投げた。
「こいつに聞いたらよ、お前のポーション使ったらいつも以上に強くなったからレベルの高い狩り場に手を出したって言ってるんだ。それってよ、お前のことだろ、な?」
「でも誰かの土地って訳じゃないでしょ、強いて言うなら国のモノであって、あんた達のものではない」
こいつら、自分さえよければいいっていう最低の野郎どもだ。
でも、Sランクギルドのメンバー5人を相手取って戦える程、強くない。
どうする、謝って逃げるか?
いや、殴られたとしても一撃殴ってやりたい。
よし、やるぞ、殴るぞ。
「おりゃあっ!」
「ちょっとごめんね、そこ通してね、ぶはっ」
凄い手応え。
あれ、誰だこれ。
知らないな。
……
もしかしてお客さん?
あれ、やばっ。やっちゃった?
「だ、だいじょぶですか?」
「あうんだいじょぶだいじょぶ」
王族のように綺麗な金髪と顔、それに服も立派な男。
そんな男がすっと立ち上がり、笑顔を見せる。
確かに傷などは見当たらない。
「誰だてめえ! 話の邪魔してんじゃねえぞ!」
胸ぐらをつかまれ、男は宙に浮く。
「あの、ちょっと離してもらえますか?」
「うっせえ、誰だって聞いてんだよ!」
「3秒だけ待ちます」
「あ?」
「3、2、1はい」
「……なんだよ、何も起きねえじゃねえか」
「お、おい、髪、髪が……」
「は、何言って……」
男は髪をさわる。
「な、ない、髪がなくなった!!」
「ぷふっ。ごめんね、でもこのくらいですんで良かったと思って欲しいな」
「てめ……」
「次は腕を奪うよ」
男は引きつった顔をした。
そもそも自分の髪がどうして亡くなったのかもわかっていないのだ。
彼の言葉がはったりであるかを見抜けるはずもない。
「い、いくぞ」
そういって、帰っていった。
「えっと、ありがとうございます」
「いいんだよ。僕は君に用があってここまできたんだ」
「用、といいますと?」
「君だろう、西ゲルストク砂漠にあのゴーレムを放ったのは」
バレてる!
なんで、ていうかなんか悪いことしちゃった?
人間側の邪魔しちゃったとか?
だとしたらまずい。
かなりマズい。
「いや、ええと、人違いです」
「ふふふ、それはないだろうね。僕の友達は、そういったミスはしないんだ」
な、なんの話かさっぱりわからない。
「ごめんごめん、自己紹介が遅れました。僕の名前はサラス・ノーガック。ゲルストク共和国から、あなたと話をするためにきたんです」
「話?」
「そう。この前のゲルストク共和国と魔王『ザ・ラ』との戦い。あれはきみのおかげで勝利出来たんだけど、あれはまだ序の口。魔王が本気を出したら、一瞬で滅ぼされるかもしれない。そこであなたの力が必用なんです」
「いやいやでも、あれ、すぐやられちゃったんじゃないですか?」
「そんな謙遜しなくても。あなたのゴーレム3体は一瞬のうちに敵の魔物を倒して、今もなお、警護をしてくれているじゃないか! 君がどうして我が国にそこまでよくしてくれるのかは分からないけど、我々は君を十分にもてなす準備をしてる。だからどうか、来たる大戦にむけて協力してはくれないだろうか! お礼はいくらでもする!」
え、どういうことだ。
俺のゴーレム、やられたんじゃないの?
じゃあ経験値が入んなかったのって、また全部の敵を倒しちゃったからってこと?
わお。
俺、強いな。
でもどうする。
この人に、国に協力して何かいいことはあるのか。
……
あるな。
絶対ある。
まず経験値。
それにお金や食事、俺の作れないような城も貰えるかも!
だって国を救った英雄でしょ?
はっ!
もしかして、女の子にモテるかも。
「こほんこほん。よし分かった。協力してやろうではないか」
「おお! それはなんとも頼もしい! お願いいたします! では早速、国に行きましょう」
「今から?」
「はい! ああ、心配なさらないでください。私の『フェアリー・ゼロ』を使えば一瞬で国まで付けますので」
「それって、瞬間移動ってこと?」
「はい!」
マジかよ、こいつテレポート系のスキル持ちかよ。
ただもんじゃないな。
「ではさっそく」
「あ、ちょっと待った。一人、知人を連れて行っても?」
「もちろんです!」
俺は家で寝ていたクルエを叩き起こし、事情を説明した。
「いいじゃない! あんたがロボットに乗って直接戦えば、映えるわよ!」
ということで、俺達はゲルストク共和国に行くことになった。
「行きますよ、3、2、1」
途端に暑くなった。
「さあ、つきました」
うわあべんりー。
俺もほしい、テレポート。
それから俺達は王と会ったり、他の兵士にめちゃくちゃ感謝されたりした。
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