間話 そしらぬ伝説
「い、一体、なんなのだ、あの化け物は……」
戦場にて、歴戦の猛者達はその巨大なゴーレムを見て戦慄した。
「味方、なんだよな」
「あんな化け物を作れる錬金術師がうちにいたか?」
「いや聞いたことがない。援軍か?」
「そんな話は聞いてないぞ」
「それじゃ一体……」
自分たちが苦労して一匹一匹倒していた魔物を、この巨大なゴーレムは蟻でも踏みつぶすように蹂躙していった。
人間でさえ、この驚きだ。
魔物達はたまったものではない。
「ほほう。あれだけのゴーレムを作れる人間がおるとは」
2本の角の生えたエルフの男が玉座に座りながら言った。
「申し訳ございませんザ・ラ様。私の失態です」
ひざまずき謝るのは同じエルフの女。
「どんな戦にもイレギュラーはあるものさ。君のせいではない」
「誰かを送りましょうか」
「その必要はない。これはあくまで偵察だ。実際にそのかいはあったしね。それにこれ以上暴れると、他の魔王が介入してくる。それは厄介だ」
魔王ザ・ラはその邪眼を以て戦争を眺めていた。
3体のゴーレムが、暴れ回っている様子を楽しんでいるのだった。
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