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第11話 西ゲルストク砂漠と魔王の一人


 現在向かっている場所は『西ゲルストク砂漠』である。

 ここは現在、四大魔王の一人『ザ・ラ』が率いる魔物軍と、ゲルストク共和国軍が戦争をしている場所である。

 そう! 俺の考えはこの戦争に加わることである。

 と言ってもゴーレムだけだが。


 『西ゲルストク砂漠』までは、泉の森から歩いて3日はかかる。

 しかし寝泊まりに問題はない。


 俺は自慢の『クラフト粘土ワークス』によっていつでもどこでも家を建てられるのである! まあ、木とか石とかが沢山ある場所だけだけど。

 

 森を出て2日が経った。

 ここまではまさに順調!

 地図を見ながら、なるべく川や森、林があるところを進んできた。

 

 だがここから先は、短いが海を渡る必要がある。


 林を抜けると前方には砂浜と海が広がっている。

 

 俺は船をクラフトするための木材を集めた。

 その最中のことだ。


「魔物かっ!」


 茂みが近くでかすかに揺れた。


 人であるなら返答があるはずだ。


「お、お助けを。危害を加えるつもりはありません」


 両手を上げて出てきたのは緑色の人型の魔物、ゴブリンであった。


「喋れる程の知性があるのか」


 ゴブリンでも人間の言葉をしゃべれるのは上位種だけである。人間の言葉をしゃべる知性のある魔物はそれだけで脅威だ。

 

 俺は剣を構える。


「俺達、逃げて来たんです」

「一体、何から?」

「戦争です!」

「西ゲルストク砂漠のか?」

「そうです! 俺達の住む地域一帯は、魔王『ザ・ラ』様が支配しているんです。でも、戦争なんてしたくなくって、こっそり妹と2人で逃げて来たんです」


 影からコッソリと一まわり小さなゴブリンが現れる。


「なら何もしないからさっさと行ってくれ」


 剣を構えたまま、俺は顎で指示をした。


 ゴブリンたちは一礼して走っていった。


 本当に悪い奴じゃなかったんだな。


 それから俺は木でボートを作り、海を渡った。


 3時間ほども漕いだ時、大陸が見えた。


そこは『ゲルサ国』という小さな国だ。

この国は小さいながらも海に隣接しているためこの大陸の貿易のかなめになっており、大勢の人間が行き交いをしている。この砂漠地帯の国がどうして栄えているのか。それはこの大陸の西ゲルストク砂漠の中央には、世界に5つしかない『迷宮』の一つがあるからだ。


『迷宮』というのはいつどのようにできたのかも分からない、不思議な場所だ。その技術は現代魔法を用いても分からない程に発達している。『迷宮』の奥にはアーティファクトと呼ばれるアイテムが幾つか眠っており、それは一つで王にすらなれる程の代物である。


そのため『ゲルサ国』はその窓口として栄えているのだ。


そんな国に許可証もなく勝手に上陸しらヤバいので、離れた砂浜で上陸した。

 戦争をしているような音などはまったく聞こえない。

 波の音が良く聞こえる。

 

 戦争はゲルストク共和国で起きている。

 理由は『迷宮』にある。


 現在、この迷宮はゲルストク共和国の領内にある。

 迷宮へ行くためにはこの国の許可がいる。

 無許可で『迷宮』に挑もうものなら、軍が対処する。


 そんなゲルストク共和国とゲルサ国は幾度も戦争をしている。


 しかし今回の相手は人間ではない。魔王『ザ・ラ』。彼はアーティファクトを手に入れて、魔王の中で最強となろうとしているのだ。


 ま、ぜーんぶ俺には関係のない話だ。


 俺はただ、レベルアップが出来ればそれでいい。


 ゲルストク共和国までの道は、すぐに分かった。多くの馬車が通るので道の整備はしっかりしていたからだ。


 俺はその道を徒歩で歩いた。

 地図によれば10kmほど。それから3時間ほど歩いて戦っている様子を目視することが出来た。

 そのレベルは非常に高い。

飛び交う魔法は上級魔法ばかりだし、魔物もまたAランク以上の化け物ばかり。


 だ、大丈夫かな、俺のゴーレム。

 少し不安になったが仕方はない。

 やるしかない!


 俺は唯一持って来た荷物、レッドカーネストを目の前に置く。


「メタルクラフトLv1」


続いて鉄を作り出す。

鉄とレッドカーネストの組み合わせは未だに試したことはないが、他の装備と同様に強固になることが予想できる。というかそうなってください。


「いくぜっ! クラフト粘土ワークス!」


この前作ったゴーレムよりも巨大な、5メートルはあるゴーレムが誕生した。

灰色の全身を血管のように赤色が這い、中央には今まで見たことのない深紅のコアがある。

 形は以前のそれよりも細く、人間に近い。頭は丸く腕や足は円柱だ。


「あの魔物達を倒せ、いいか、人間は襲うなよ!」


 ドシンッドシンッドシンッ

 

 頷いたゴーレムは足音を立てながらゆっくりと戦地へ向かった。

 これなら負けることはないな、そう思わせる完成ぶり。

唯一問題なのはやはり足の遅さだ。

 だからこうして直前まで運んでやる必要があったわけだ。

 

 それから同じゴーレムを2体作った。これ以上はMPが底を尽きるのでやめておいた。


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