後悔から始める男
昨夜、いつもより早く床に就いたせいか
男は、夜が明ける前から目を覚ました。
手元の時計を見ると、午前四時を少し回った所だった。
このまま起きていると疲れるだけだと思い、
男は、再び眠りにつこうとしたが
そう上手くは行かなかった。
目を開けたり閉じたりしながら
小一時間ほど過ごしただろうか。
次に男が耳にしたのは、
起床時間を知らせるアラームだった。
その数時間に
男は、夢を見た。
公演初日を明後日に控え
劇場入りしてから、台本が決まっていない事に気付く
戦慄 悶絶の夢だった。
こんな事なら、あの後起きていた方が
余程疲れずに済んだのではと、
男の一日は、後悔から始まった。