採取、そして… 3
グロ入ります
「エリーは下がってて!」
イリスの手の一振りで、熊の頭上に雷が落ちるが、素早く避けられる。大きく振りかぶって叩きつけたダグラスの剣はあっさりと弾き返された。
「まじかよ…」
ダグラスの剣は傍目で見てわかるほど歪んでしまっている
盾を構えるその隙を、エリーの魔法がけん制する
「(アイスランス!)」
氷の刃に、熊の腕が微妙に傷つく。そこに、剣に風の力を纏わせたシスカが突っ込むが、僅か皮一枚程しか切れなかった
「(レイ)」
イリスの光の上位魔法が刺さる!が、やはり決定打にはなり得ない
「(アースフェンス)」
ダグラスは、自らの目前に生やした石柱の一本を蹴り折り、力任せに熊に投げつける。
僅かに怯んだ熊に、シスカの風の剣が刺さる
「うっ…」
熊の反撃が、シスカの右肩を抉る
「っ!下がってろ!」
ただはもう一度石の槍を投げつける。上手く頭に当たり、熊がバランスを崩した。その隙に、後退したシスカがポーションを使う。
イリスは自分の後ろにいるシスカとエリーを隔てるように視線だけでアースフェンスを構築した
どうしよう?炎の魔法は延焼が怖いし、ダグラスは剣を放棄している
その一瞬の迷いを見抜いたかのように、熊の腕が振り下ろされる。イリスは魔力を纏わせ、咄嗟に身体強化をかける、が、小さな体はあっさりと飛ばされ、木に激突した
「うっ…ごほっ」
咳と共に血を吐き出して、それでもすぐに立ち上がろうとする、その手に木の枝が触れた
!これ、魔力の通りが凄くいい!
すぐにそれを手に、防戦一方のダグラスの反対側、熊の背後に回り込み、大きくジャンプしてこちらに全く気付かない熊の頭上を魔力をたっぷり込めた枝で叩きつけた
バキッ!グシャ!凄い音を立てて熊の頭が潰れた
どう、と倒れた熊の姿に、皆集まってくる
「うわ…頭、グスグスになってら」
足先でつつくと簡単に変形する。
「遊んでないで解体手伝ってよ、皮と爪、牙は…無理そうだから、後は魔石の確認」
「はいよ…シスカは休んでろって」
ポーションで表面は治ったようだが、まだダメージは残っているだろう
「エリー、シスカさんお願い」
イリスは改めて枝を見る。
「これって、トレントの枝だったのかな?」
「ていうかおめーも解体しろよ…げ、魔石まじであった」
心臓付近にあったそれは、拳大の大きさで、純度も高い。
「やっぱり魔物化してたんだね。…よし!この枝と魔石で新しい杖造ろう!」
「げぇっ?!鬼に金棒!!」
失礼な事を言うダグラスに蹴りをかまし、イリスはにまにまと笑った。
「ま、魔王降臨か?いや、ミニ魔王誕生…ぎゃっ!」
後ろから蹴られ、解体中の魔物に頭から突っ込んでしまった
動物が魔物化か。カリエルの永久凍土にいるスノーベアも元は只の熊だったりするのかな?
ダグラスはふと故郷を思った
もう四年…さすがに手紙一つ出さないのはまずいかな