採取、そして… 1
「ねえダグラス、夏休みにメディアの森に付き合ってよ」
1学期の終わり、イリスは二年生の教室に顔を出した
「何だよ、おめーから誘って来るなんて珍しいな。どうせ蜂蜜狙いだろ?」
「私だけじゃなくて、今回はエリーも一緒だから、…今の時期クマ出るし」
「あら、メディアの森に行くの?私も一緒にいい?」
会話に入って来たのはイリスの部屋の隣に住むハーフエルフのシスカさん。大きな胸が、羨ましい
「シスカさん来てくれるなら、ダグラス要らない」
「はあ?!何だよそれ!」
イリスは、ふふんと笑う
「エリーの護衛はシスカさん居れば充分だし、私はそもそも護衛必要ないもん」
「誰もおめーの心配なんかしねぇよ。ていうか俺も、そっから北にある洞窟行きたいから、ついでに寄り道護衛してやる」
「あー、分かった!ダグラスの目的はエリーの蜂蜜飴だね!」
「ちげーよ!ボルトの洞窟で、魔鉄取って来たら、ハゲルのおっさんが格安で新しい剣打ってくれるっていうから」
「確かに、ダグラスの剣、もうボロボロよね?それに魔鉄で作って貰った方が、魔力の通りもいいし私の剣はもう魔鉄製だから」
「シスカ、それマジ?ヨッシャ!それさえあれば俺の必殺技も完成だ!」
「誰も連れてくって言ってないんだけど?」
イリスの一言でダグラスは、項垂れる
「まじかよ…ひでえ」
「まあ、エリーの護衛プラス荷物持ちプラスダグラスが倒した分の魔石ならいいけど」
「鬼か。チビ鬼め」
「嫌ならいいし?シスカさんは何が欲しいの?」
「風乗り鳥の羽根よ。錬金術でアクセサリーにすれば、素早さアップの効果もあるんでしょう?イリス、作って!」
「いいけど、時間はかかるよ?そもそもつくれるかどうかさえ」
既存の物だからレシピはあるとしても、授業ではやっと初級の水薬しか作れてない。錬金術は好きだし、いずれ色々作りたいと思っているけど
「いいわよ、私は錬金術苦手だから、2、3年待ってもいいし」
「じゃ、決まりだね!荷馬車は借りるつもりだけど、一週間位考えといて」