文化祭?
夏休みが終わるとすぐに文化祭で、舞踏会と、作品発表会がある。けれど、1年生には作品発表はない
「舞踏会じゃなくて、武闘会なら良かったのに」
「貴女ねぇ、アカデミーをきちんと卒業出来ればお抱え魔術師や聖騎士。それなりの道へ進む事が出来るのよ?ダンスの一つも出来ないと、恥かくわよ?」
「1年生は参加しなくていいっていってたよ?」
第一、踊れないし
アイゼルは、吞気な同級生に溜息をつく
「はぁ…エリーはどうするの?」
「お母さんに頼めば何とかしてくれるかもだけど、私、お店を開くのが夢だから」
「エリーのお菓子、美味しいもんね。一応魔術師にはなりたいけど、錬金術師もいいかなって」
「宮廷魔術師や、宮廷錬金術師もあるわよ?魔力が馬鹿みたいに高い貴女なら、可能性はあると思うわ」
「みなしごでもありなの?」
「ありよ。特に今の陛下は実力主義だし、殿下もそう。お側使えの騎士も、平民出身の方だし」
「お城って面倒くさそうでいやだな。うん、とりあえず今年はいいや。進級出来るように勉強頑張るのが先だよ。でも、アイゼルのドレス姿は見てみたいな」
「だったら、参加なさいな。私が子供の頃着ていたお古なら、差し上げますわ」
「じゃあ二年後、卒業前の思い出に」
「…分かりましたわ!でも、ちゃんと進級できたら、勉強なら見て差し上げますから」
呑気に頷くイリスに、お節介な自分が少しだけ恨めしくなった
ここに入学したのはお父様のご意思。少しでもあの方との接点を持つ為。最も、そんな思惑を持つ者などあの方は、近づく事さえ許してくださらない。身分関係なく学べるこの場所を、そういう場所にしたくないらしい。
「ね、イリスは何処の教室行きたい?」
「3年生の先輩で、錬金術の天才って呼ばれてる人がいるって聞いたから、その人の作品はみたいな」
「錬金術の天災って聞いたけど…マイスターランクの教室も行ってみたいよね?」
「そこは当然でしょ!」
アイゼルは、二人の級友の呑気さが羨ましかった




