5話「魔術と料理」
〜前回のあらすじ〜
本を読んで神話について知った。今はどうでも良い。
魚を釣った。新鮮だからと言って生で食べるのはやばそう。放置。
調薬してみようと思った。未遂に終わった。
不貞寝ならぬ不貞読書することに。ゴロゴロー。
《条件達成によりSkill《生活魔術Lv.1》を取得しました》
《経験値を獲得しました》
また本を読み終わった瞬間、条件達成とかでスキルが手に入った。
この本は生活に使える簡単な魔術についての本だった。
これでようやく、私もファンタジーなことができるね。
この本によると、魔法と魔術は別の技術らしい。
魔法は神代の言葉による詠唱で、世界の魔力に干渉し、あらゆる現象を引き起こすもの。
魔術は似たような現象を引き起こすものの、術式、魔法陣を介して魔力に干渉するというものらしい。
魔術を使うメリットとしては、一度術式を刻めば、詠唱が必要ない分、即座に魔術を発動できるらしい。
このゲームにクールタイムとかは無いから、連射も可能。
それも、魔法より必要魔力が少ないらしい。
そう聞くとかなり良さそうに聞こえるけど、実際は簡単な魔術にしか使われないらしい。
というのも、まず大規模な魔術になると陣を刻むのが難しい。
詠唱と違い、間違った陣で発動しようとすると、事故が起きるそうな。
何が起きるか知らないけど、怖いね。
あと、攻撃系も魔術には向かないらしい。
単に、戦闘中に術式を刻む暇が無いのと、攻撃に使えるものとなると、それなりに陣が大きくなって不便ということから。
大きくなると、陣を刻んだアイテムを持ち運ぶのも難しくなる、と。
使うなら、武器防具に刻印術的なスキルで、簡単な魔術をいつでも使えるように刻むくらいになる。
もしかしたら魔剣とかもあるのかね。
「ま、それでも大収穫。これでやっと火が使える!」
それに水も。
これで、わざわざ湖に汲みに行かなくて済むようになる。
「さて、早速」
火を起こすなら火事にならないように、と外に出る。
手には本と魚と、陣を描くための杖。
あとは魚の調理用に、塩と串。
魚は丸焼きの予定だから、エラと内臓は取って塩揉みしてある。
串焼きなら排泄物だけ押し出して、ハラワタはそのままに食べるのが多そうだけど、毒が無いとも限らない。
杖は武器と一緒にあったものから適当に長いのを。
塩は料理用作業台にあったもの。
塩と砂糖だけは調味料もあった。
これが無かったら流石にやばかったね。
よし、これで準備万端。
◇◆◇
外に出て、適当に火種になる枯れ木とかを集める。
そして、周りに燃え移らないように、昨日草刈りをした中心で杖を立てる。
魔術を使う方法は二通り。
一つは、魔力で直接、陣を描く方法。
もう一つは、描いた陣に魔力を流し込む方法。
後者には、魔力を流すことのできるインクやら液体で陣を描かないとだから、今はできない。
と言うわけで、杖の先端に魔力を込めて、本の図の通りに陣を地面に描いていく。
「……よーっと、こんなものかな」
《Skill《魔力操作Lv.1》を習得しました》
案外、杖の先に魔力を集中させるところが一番難しかった。
けど感覚は掴めたし、スキルもゲットできた。
次からはもっとちゃんとできるだろう。
たぶん一回目にして、いきなり出来たのも、杖の効果とか《魔術才能》の効果とかもあるのかもしれない。
どちらも詳細がわからないから、早く鑑定系スキルが欲しいね。
事故が怖いし、ちゃんと陣が引けてるか確認してっと。
「よし、大丈夫そう。マジック『種火』」
《条件達成によりSkill《杖Lv.1》を取得しました》
魔力で描いた陣に杖を向け、魔術を起動させる。
使用したのは、小さな火を起こす程度の魔術『種火』。
陣が魔力で光り、中心でぽっと、小さな火が生まれた。
「おー」
《生活魔術》では、こんな簡単なことしかできないけど、それでも火がついた事には軽く感動してる。
陣の魔力を切らない限り、しばらく発動したままにできるのは魔術の良いところ。
この間に、集めた枯れ木やら何やらを火に放っていく。
水分のある木は燃やすと煤やら煙が出るから、なるべく乾燥したものを選ぶ。
「良い感じ良い感じ。さて、魚ー」
下処理した魚を畝らせるように串を刺し、塩を振る。
塩は多くかけても、焼いていれば余分な塩は落ちるだろうし、浸透圧で生臭さを取る意味もある。
けど、塩がいつどうやって補給できるかもわからないし、控えめに。
塩揉みもしてあるし、大丈夫だろう。たぶん。
のんびりスローライフを目指してたわけだけど、実際こんなに何も無いと、人里恋しくなるね。
準備のできた魚を、火にかける。
火は強めで、位置は遠火。
この状態で、じっくり1、2時間ほど。
「じゃ、この間に別の陣でも見ておこっかな」
◇◆◇
魚を焼きながら、本の陣を見たり練習したりすることしばらく。
「この匂いに釣られてモンスターとか来ないかなぁ」
そんな心配は杞憂に終わり、魚が焼きあがった。
「そろそろ良いかなー」
《Skill《料理Lv.1》を習得しました》
《経験値を獲得しました》
見た感じ、水分も飛んで、良い感じに焼けている。
こんなワイルドな焼き方は初めてで、ところどころ焦げかけてたりするけど、まぁしょうがない。
「じゃ、早速。いただきます」
こういう串焼きは、丸かじりが作法。
豪快にかぶりつく。
「んん! 思ったより美味しい!」
じっくり焼いた分、脂は落ちてるけど、代わりにしっかり身が締まってる。
骨も細く、問題なく食べられる。
自分で一から釣って焼いたからか、より美味しく感じる気もしてくる。
「はぁ……美味しかった」
毎回こんな手間暇かけて料理するわけにもいかないけど、これで食料問題は何とかなりそう。
これで、食べられる植物を自分で栽培できたなら……。
「よし、今日も草むしりして終わるかぁ」
畑を作るなら、まずは場所を確保しないと。
昨日の草毟りで結構毟ったけど、それでもまだまだ雑草は生えている。
せっかく火が使えるようになったし、焼き払いたいくらいだけど、流石に山火事になりそうだししょうがない。
のんびり鼻歌を歌いながら草を毟り、今日のゲームも終了した。
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Name「キャスリス・ヘクセ」
Role【魔女】Lv.1
Class「見習い」
Skill
《魔術才能Lv.1》
《植物知識Lv.1》
《直感Lv.1》
《採取Lv.1》
《言語Lv.1》New
《釣りLv.1》New
《生活魔術Lv.1》New
《魔力操作Lv.1》New
《杖Lv.1》New
《料理Lv.1》New
Title
〈見習い魔女〉
使命
『神薬、またはそれに匹敵するレアリティの薬品を自作すること』
お読みいただきありがとうございます。
だんだんと前書きがふざけてきてる作者の天鳥です。
「誤字報告機能」をオンにしました。
誤字脱字等見つけたら是非ご利用ください。
ちなみに作者は使い方がわかりません。
それは置いておいて。
連載してるのに活動報告とか出さないのはどうかと思ったので、投稿予約する時に活動報告してみようかと思いました。
これで次回以降、不定期更新な私の作品も1日前に更新がわかるようになりました。
まぁここで次回更新の予定を言えば良いだけの話ですが。
次回は土曜日更新の予定です。