4話「神話と釣りと、調薬実験(未遂)」
〜前回のあらすじ〜
探索で梨擬きを発見。美味しくないけど、これで空腹はしのげそう。
本棚で、スキル無しで読める本を探した。普通本棚って上から順に見るよね?
あとは適当に草むしりとかした。
1日目終了! 今日は2日目!
今日はゲーム2日目。
「今日は……どうしよっか」
薬草を使って調薬とか、本を読むとか。
それならすぐにでも始められそう。
「と思ったけど水無いなぁ。汲んで来ないと調薬試すのは出来なさそう」
とりあえずは先に一冊、本を読んでみることにした。
右本棚の一番下の段は、絵が載ってるものが多く、読みやすい。
絵本って程簡単ではないけど、あまり時間使わずに読めそう。
私は適当に面白そうな本を手に取り、屋根裏のベッドに腰掛けて本を開いた。
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約1時間弱。
《Skill《言語Lv.1》を習得しました》
《経験値を獲得しました》
読み終わり、本を閉じる。
最後まで読んだことでスキルを習得することができた。
「うん、結構面白かった」
内容としては、この世界の神話について。
かつて唯一神がこの世界を作り、12の眷属神を生み出して世界の管理を任せた。
そして、力を使った唯一神は、長い眠りにつく。
眷属神たちは力を合わせて世界の維持管理に努めていた。
が、一柱の眷属神の暴走により、新たにいくつかの小さな世界が生み出された。
邪神と化したその眷属を、他の眷属たちで倒したは良いが、眷属たちも無傷では済まなかった。
傷ついた眷属たちは、それぞれが選んだ地上の生物に力の一部を託し、それぞれ別の世界にて長い眠りについた。
この世界も、そんな小さな世界の一つだという話だった。
「なかなかに壮大な世界設定だね。つまりはその力を託された生物……『半神』に協力して眷属神たちを復活させていくのがこの世界のストーリー、と」
何となくこう考えると、邪神もどこかの世界で眠りについてそうなんだよね。
まぁ、引きこもってのんびりスローライフを過ごしたい私からしたら、あまり関係無さそうな話だけど。
「さて、気分転換に外出よっかな。湖に行って水汲んで来ないと」
本を元の場所に戻し、道具箱を漁る。
何か使えそうな物でもないものか。
「あ、バケツ……バケツ? タライ? まぁこれ使えそうだし持ってこ。……あっと、釣竿発見。釣り餌は無いけど釣れるかなぁ?」
とりあえず、見つけたタライバケツと釣竿を持っていくことに。
剣は用心に腰から下げておくとして、盾は重いから置いていく。
いざとなったらタライバケツを盾に……絵面想像したら間抜けで面白いね。
「よーし、頑張って釣ろう。今日のお昼はお魚だー」
この時、火を起こす手段が無いことを、私は完全に忘れていた。
そのことに気づいたのは、水を張ったタライに釣った魚を入れて、持ち帰った後だった。
《Skill《釣りLv.1》を習得しました》
《経験値を獲得しました》
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「ぐぬぬ……」
釣った魚は食べられない。
流石に鑑定系スキルも無いのに、生で食べようとは思わない。
それでも、時間の経過と外での運動により、お腹は空いている。
結果、妥協して、昨日と同じ梨擬きを食べて、空腹を紛らわした。
「……はぁ、まぁいいや。水は手に入ったし、薬草で何か試してみようか」
目指せ、回復薬。
とりあえずは、元の薬草より回復効果が高ければ良い。
けど、これはまだ遊びみたいなもの。
ちゃんと作るなら、本読んで勉強してからの方が良いだろう。
それでも試してみるのは、ネタバレされてからより、自分で試して作ってみるのも面白そうだから。
「ま、遊ぶだけ遊んで、満足したらまた本でも読もっかな」
まずは薬草を《植物知識》で鑑定。
「『ヒール草』、ランク1、品質『可』。満腹度回復は5……ゴミか。体力回復は30……30って何?」
このゲーム、ステータスはマスクデータになっている。
体力や魔力はゲージバーとして視界に表示されるが、数値としては表されない。
他のステータスに関しては、完全に数値が隠されてわからなくなっている。
「鑑定系スキルが必要なんだろうけど。こんなところにリアリティ求めなくても……」
まぁ今愚痴ったところでしょうがない。
とりあえずはこれを元に、より効果の高い物を作れれば良い話だ。
「えーっと、どうしよ。こう言うのって乾燥させて粉々にして、水に溶かして濾すのが普通だよね」
乾燥……どうやって?
早速躓いた。
乾燥とか、火を使えるなら炙れば良いんだろうけど。
ここでも火が必要になってくるとは。
「はーもう! 前の魔女は何をどうやってここで暮らしてたんだか」
とりあえず、ザルっぽいものを道具箱から取り出し、薬草を並べて玄関横の日当たりのいい場所に置いた。
森の中だからか、あまり風も強くないし、これで放置すれば乾燥するだろう。
たぶん。
「もうこれで良し。今日は本でも読んでのんびりしよっかな」
読める本の中から適当に数冊取り、屋根裏へ。
とりあえずは、どうすれば良いのか、何をすれば良いか、情報が欲しいね。
読んでいただきありがとうございます!
昨日のPVを見て笑いが止まらない作者です。
やっぱり掲示板効果ですかね?今までの倍くらい一気に増えました。
ブクマも20になり、とても嬉しいです。
不定期更新ですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。