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9話「私の見た目と、うっかりミス」

〜前回のあらすじ〜

別世界の情報を手に入れた。今はいらない。

釣りに行くことにした。待ってろ晩食ー。




 




「思えば、別に冷凍保存せずとも、生きたまま飼えれば良いのでは?」



 そう思いついたのは、魚を釣り、水を張ったタライバケツに投入した時だった。

 イメージは寿司屋さんとかの水槽。


 家には、魔女らしい巨大な鍋がある。

 特に使ってないし、今のところ使う予定も無いそれを、今こそ有効活用するべきなのでは?


 どこかの魔女に殴られそうな考えだけど、使い方よくわからないし、しょうがないしょうがない。



「ならちゃっちゃと釣って帰るかー」



 その後、追加で2匹釣って帰路についた。




◇◆◇




「帰宅ー」



 家についた私は、すぐに大鍋の確認を始めることにした。



「相っ変わらず大きいなぁ。これなら魚飼うのに問題なさそう?」



 大きさは半径1メートル超えるくらい?

 高さは肩のあたりまであって、台に乗らないと中はよく見えない。

 いやデカすぎでしょ。


 水はまぁ、時間をかければ魔術でいける。

 他に必要なのは、酸素と餌、かな。



「餌は……農作やってれば虫とかいそうだけど、今日中にどうするとか難しそう……。あと何か、魚って水中酸素濃度とかでブクブクしてるのが必要なんだっけ?」



 と、考えてみるけど、そもそも湖では水の流れなんてほとんど無いから、酸素濃度とかそんなに気にしなくて良いんじゃ?って結論に至った。

 正直な気持ち、面倒。



「ま、とりあえず魚放つかー」



 重たいタライバケツを持ち上げ、台に乗り、大鍋を覗き込む。



「んん?」



 大鍋の中は、すでに何かよくわからない液体で満たされていた。

 鏡のように、光を反射しながらも、水のような透明さを合わせ持っている。


 不思議な水。

 綺麗だけど、何となく不気味な感じもしてくる。



「……私、こんな見た目だったんだ」



 湖の水面では、うまく見えなかった自分の顔。

 タライバケツを下ろし、魔女の三角帽を脱いで、水面に映るソレを身を乗り出して覗き込む。



 髪色は白。

 短く切られた髪は、癖っ毛でもあるのか、毛先が外へ跳ねるような髪型になっている。


 瞳は黄緑色で、クリッとした大きな目。

 翡翠色とか言うのかな。

 肌の色は白く、顔全体の印象としては「童顔」と言える感じに収まってる。



「おー……なにこれ可愛い」



 ついつい顔をペタペタと触る。

 身長や体型は、動いた感じ、リアルとそれほど違いは無さそうなんだけど、魔女のダボっとした服のせいか、体型が隠されてより幼く見える気がする。


 もう一度顔を見ようと、服から水面に意識を戻す。


 瞬間、足元に置いたタライバケツが眼に映り、さっきまで何をしようとしていたか思い出した。



「そうだそうだ、魚入れようとしてたんだった」



 いけないいけないと慌てて、水ごと魚を大鍋に放つ。

 顔のことで、頭がいっぱいになっていたからか、大鍋に満たされていた水のことも忘れて。


 アホの極み。

 あっ、と焦ったのも(つか)の間、インフォが頭に響き渡る。



《素材が確認されました》

《何を錬成しますか?》


「ん? え? 何のこと?」



 素材?

 錬成とはなんぞや?



「えぇっと、うん? よくわからない」


《素材を元に「よくわからない」を錬成します》

《該当するものが存在しません。元になるレシピの追加、または枠型の追加をしてください》

《スキルレベルが不足しています。成功率0%》

《魔力が不足しています。魔力を補充してください》


「え、え、ちょっと待って、意味わからないんだけど、待って」


《停止します》

《錬成を開始する場合、術式に魔力を流し、再起動してください》



 えーっと、この際ミスは置いておいて、とりあえず考えよう。


 素材を元に錬成、ってことは、聞いた感じ素材(たぶん魚)を元に「よくわからない」を作成するらしい……?


 いや、「よくわからない」って何!?

 私が言ったんだけど、まじで何!?

 何を作成しようとしてるの!?



「うん、えーっと、そうだ。後回しにしよう! そうしよう」



 とりあえず、魚1匹は今日食べる予定だし、それから考えることにしよう。

 面倒なことは後回しで。


 水と混ざる様子のない不思議な水の中で、魚が元気に泳いでるのを確認して、大鍋を離れる。


 よ、よーし、今日も《農作》頑張るぞー(棒)




◇◆◇




 農作、と言っても畑(仮)はできている。

 やることは水やりと雑草の排除くらい。

 他に何したら良いかわからないし。


 すぐに終えて、大鍋の前に戻ってきた。

 戻ってきてしまった……。



「んー……どうしよ、これ」



 とりあえず、ザルを持ってきて魚を1匹確保。



「手突っ込んだけど、素材確認やら何やらは無し。流石にね、あったらやばいよね」



 機能停止してるから、って可能性もあるけど、考えないことにする。

 魔力込めて再度試すとか、わざわざする必要は無いでしょう。

 魔力切っていれば良いだけの話だし。



「ま、それはさておき」



 魚を、料理器具の用意された作業台に乗せる。

 先にこっちの下準備だけでもしておこう。


 今日の予定は蒸し焼き。


 包丁を取り出し、鱗、エラ、ハラワタを取っていく。

 それらを取り除いた後、全体に満遍なく塩を振りかけていく。



「ここでラップして冷蔵庫で寝かせられれば良いんだけど、無いからしょうがない」



 皿を用意し、表面に『冷却』の術式を、魔力の込めた指で描いていく。



《Skill《魔力操作》のレベルが上がりました。Lv.1→2》



 描き終わった瞬間、《魔力操作》のレベルが上がった。


 初めてのスキルレベルアップ。

 正直《釣り》とか《採取》の方が使ってる気がするけど、レベルの上がりやすさに差があるのかね。


 あるとしたら……役割補正?

 まぁ、《釣り》とか【魔女】らしさは無いよね。



「それは良いとして、マジック『冷却』」



 魔術を発動させた皿に、準備した魚を乗せる。

 魔力の量によって、温度はある程度差が出せるみたい。

 とりあえず、冷蔵庫で冷やすイメージで。



「こっちは、このまま放置するとして」



 振り返り、部屋の中央、大鍋に向き直る。



「……この間に、アレ、確認しておこうか」


こんにちは。

お読みいただきありがとうございます!

今回は嬉しいご報告が!


なんと、日間ジャンル別ランキング、1位ー!

いぇーい!

それと、ブクマ数が4桁突破しました!

皆様本当にありがとうございます!


いやぁ、まだアレ(ぼかし)も始まってない上に、アレら(ぼかし)と遭遇してもいない上に、主人公の役割もまだ1つで全然何もしてない、序盤も序盤なこの状態で、まさかこんなにも早くたくさんお読みいただき、評価していただけるとは。

嬉しい限りです!


次の更新は金曜日の予定です。

その次は日曜日ですかね。

土日連続更新を期待してた方には申し訳ありません。

3日に1回更新で、掲示板なら次の日も、ってやってたのがたまたま土日のタイミングに合ってただけなのですよね。

と言うわけで、また金曜日に。

ではでは!

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