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まじめと魔人 S-2

 城砦都市「シーズ」


 連合国家ユヒロムを治める御三家の一人である、セオドア伯爵の拠点都市である。北西にビストイア連峰を臨み、東西にオグン大河が流れる天然の要塞である。

 その歴史は八百年に及ぶ。

 八百年前、邪神と戦っていた大ユヒロム王国の橋頭堡としてたのが始まりとされる。

 邪神との戦いに終止符が打たれると、戦いによってその目的を完全に失う形となった砦は、放棄されるところだったが、その立地に目をつけたのが商人であった初代当主シーズである。

 シーズは四方に広がる街道、外敵から護るに安い天険の二つを備えていた。だが、魔物も多く住み着き危険な土地であったといえる。


 初代当主シーズは、ここに貿易拠点を建設した。

 伝説のあばら屋、『シーズマーケット』の誕生であった。

 手法はいたって簡単。地道なだけであった。

 だが、遠方の物でも適正な価格で売買されるそれらの商品は、顧客を満足させてゆき、シーズマーケットの評判は人から人へと伝わり、やがて商品のみならず人も集まりだした。

 あばら屋は拠点の名前に。

 一つの拠点がひとつの街に。

 一つの街がひとつの都市に発展し、いつのまにか十万人を越える大都市になった。

 そして「シーズに無い物は無い」といわれるほどにまでになった。


 また、傭兵を育てることも盛んな都市で、兵士を育て上げると商人たちに護衛として貸し与えている。傭兵業は都市を代表するカラーのひとつとなった。

 やがて一つ。シーズでは暗黙の了解が出来上がった。


「金による金のための信頼」


 誰が言い出したとも、誰が指示したということもなく、掟でも法律でもない。だが、これを守らねばシーズでは生きていけない。裏切りや詐欺は、シーズにおいては禁忌とされている。

 シーズは、大陸の経済の重要な拠点都市となり、商人としての気風と他都市との信頼関係、強力な経済力が八百年間この地は、「最も邪神の地に近く危険で、最も安全な場所」と称されるようになり、今もまたその名に恥じぬ役割を果たしている。


 シーズを覆う巨大な強大な結界「破邪の大楯」も、得た利益をシーズを利用するすべての人に還元した結果であり、安全で安心して商売をすることをモットーとしてきたシーズに根付いた商魂の象徴である。そしてアプレシア大陸で最も強力な都市結界の一つと知られる。

 イリアナたちが襲われたのが、このシーズ近郊だったのは運がよかったといえる。





 炎が唸りを上げて巻き上がる。

 赤、黄、黒の三色の強烈なコントラストを作り出す。

 猛り狂った炎は、その場にあるすべてが憎むかのように、死のカーテンですべてを覆っていく。

 森が燃えている。木々や土、石、いや、森だけではない人工物も焼けている。馬車や荷物、そして人。

 何かが焦げる鼻をつく嫌なにおいと、とどまるところを知らない炎の中、小さな人影がそこにあった。


 年端も行かぬ少女であった。膝を地面に着きすすり泣く。轟々と燃え上がる炎によってかき消されそうなほど、か細く力ない。

 少女の足元には、同じような少年と少女の亡骸。友達だったのだろうか。体の一部は欠損し、焼け焦げ、苦痛にゆがめたその顔は、生きている少女に助けを求めているかのようにも見える。

 いや、少年少女の亡骸だけにとどまらず、老若男女の亡骸が瓦礫と炎に包まれいたるところに横たわっている。原形を留めぬものから、炭と化しているもの。生きている者は見当たらない。

 傭兵団か旅団か。焼け焦げ破れた団旗や馬車、生活用品などがそれを物語っていた。それらすべてを灰と炭に変えていく。

 胃袋を逆なでする刺激臭。炎の熱気で、肌が焼けるように痛い。息も苦しい。呼びかけに答えるものはいない。


 死体、炎、焼け焦げた荷物。炎、死体、死体。

 孤独と熱気が、ただただ少女を絶望で包んでいた。


 少女は泣きながら、よたよたと、炎と焦げ臭い死体の中を彷徨さまよう。口からこぼれ出る言葉は、人の名だった。母を、友人を、共に旅してきた仲間を。このままでは、いずれ横たわる彼らと同じ運命をたどる。絶望の中でも、何かにすがろうと歩きだしたのは生存本能のなせる業か。


 遠くでかすかに何かの声が聞こえた。

 そして金属音。

 幼い少女に宿るかすかな希望。音の鳴る方へ、走り出す。瓦礫に足を取られ転んでも、炎にあおられても、瓦礫で肌を切られても走った。

 誰かいる。


 そして――


 炎と瓦礫をぬけて出た先、そこには人影があった。

 その人影の後ろで炎が燃え盛り、逆光で陰になり誰なのか識別はできない。それどころか、その人影には羽のようなものが何枚か、生えているようだった。

 少女の仲間にそのような鎧を身につけたものは居ない。それに仲間の誰よりも体が大きいようだ。


 恐る恐る近寄っていく。人影から、何かを砕くような音がする。

 何かを食べているようにも見える。人影がこちらに気づき、振り向く。


 振り向いたその人影は、生きたままの母をむさぼり食う、5つの羽を生やしたした化物であった。




 イリアナは目を覚ました。

 開けられた窓から入る初夏の暖かな日差しが、そよ風とともにイリアナの頬をやさしくなでる。


「またあの夢……」


 目に浮かんだ涙を、寝間着の袖口で拭う。暴走したあとはいつもこの夢を見る。この夢ばかりは何度見ても慣れるものではない。

 小さいころの記憶である。


 イリアナの母親は傭兵団を運営していた。百人あまりの規模の大きな傭兵団で、魔物などの討伐を主に仕事としていた。

 母親とその仲間たちは、イリアナにとって家族だった。

 だが、ある日、化け物に襲われ傭兵団は全滅。買い出しに出ていたイリアナとレオンとカーチャだけが生き残ったのだった。あとは夢と同じである。禍々しくもおぞましい体に5つの羽を生やした魔物が、母を食う姿。

 この出来事は、今に至るまでの十年間の、そしてこれから先イリアナの生きている意味であり、ある意味支えであった。


 復讐を果たすというためだけに生きている。


 ベッドから起き上がると、ナイトテーブルの上においてある眼鏡を手に取り、掛けた。そのまま窓際の椅子に腰掛け、怪我をしなかった右手で頬杖をつき、外をぼーっと眺める。


 宿の三階から眺める景色。

 この宿は大通りと広場に面し、見晴らしがいい。街の景観は大体三階建ての建物で統一されている。赤作りのレンガの建物しかない。デザインも大体統一されている。似たような建物がひしめいており、入り組んでいる。

 また大通り以外の道幅は、広くても四、五人がすれ違うことが出来る程度である。市場以外の住宅街などは大体この程度に統一されている。道幅が狭く、似たような建物が多いのは、戦争時、敵に侵入された際に敵の進行を妨げるためであるとレオンから聞いた。


 部屋の中から鐘のなる音がした。

 壁掛け時計だ。

 針は午前11時。もう朝とはいえぬほど日が高く上っている。朝市のにぎわいも、とうに落ち着いている。

 街中を行き交う人は、農家から馬車、技術職や商人などへと移り変わっている。朝の活気が無くなり人通りが減ったとはいえ、それでも十分すぎるほどの人でごった返している。


 シーズ付近は山間部であるため標高が高い。夏になれば日差しも強くなるものの、気温は真夏でも30℃を超えることはほとんど無い。

 また湿度も低く、商品が傷みにくいので商人の中にもここを拠点にする者が多く、また、一部の裕福層の避暑地としても有名だ。

 そんな街の様子をただ眺める。


 イリアナの膝の上には先日痛めた左手。巻かれた包帯が痛々しい。

 襲撃者から襲われて今日で三日目。

 だが、イリアナが意識を取り戻したのは昨日の夕方のことだ。


 カーチャの話では、左手は襲撃者を殴りつけた際に砕け、手の骨が皮を突き破っていたそうだ。それどころか肩口に至る骨にまでひびが入っていた。

 重症であったイリアナの左腕も、一般の治癒の魔法で傷は回復するものの、痛みだけは取り除かない。

 これはちぎれた神経がつながっているかを経過を見て判断するためである。

 当然神経がつながっていなければ、動かない。戦士であるイリアナにとってそれは大きな問題だ。また、神経がつながっているからこその痛みである。

 もっとも、高い治療費を払い、高度な治癒の魔法をかければ、この痛みはすぐに取り除けるのだが。

 痛みは自分への戒めもかねているのだ。


 首に着けられた赤いチョーカーに手を添えた。 


 先日の無意識に起きた暴走。

 イリアナは狂戦士病という病気にかかっている。

 稀な病気ではあるが認知度は高い。症状は普段から怒り以外の感情が非常に乏しく、興奮すると自我を失い、周りで動くものが無くなるか自分の命尽きるまで破壊を繰り返す。症状によっては、発症すると高確率で死に至る非常に危険な病気なのだ。


 現在では症状が区分されていて、病状は大きく重度、中度、軽度の三つに分類される。


 重度であれば隔離施設に入れられる。

 中度ならば、就ける職に制限がかかり、武器の携帯禁止、都市や村などから入ることを許されないことが多い。

 軽度であるならば、就ける職に制限されるのみ。


 イリアナは軽度。

 自我を失っても敵味方、無関係者の区別がつき、攻撃対象のみを襲い続ける。さらに過剰な運動によってすぐに酸素欠乏症を引き起こし気を失うため、軽度と診断された。


 だが、狂戦士と診断された者は、専用のチョーカーを身に着けねばならない。ひと目で狂戦士病であることを周りに知らせるためだ。

 これは彼女が世間的に疎まれているという証でもある。これをつけている限り迫害や中傷を受け続ける。


 イリアナはいつも自分は普通ではないと言い聞かせ、人よりも努力しようと勤めてきた。

 だが、いつもその努力を棒に振るのは自分。

 毎度毎度同じ失敗を繰り返す、自制心の無い自分に腹が立った。悔しさで左手に力が入る。


「いたっ……」


 ちくりと左手に痛みが走り、左手をさする。痛みと悔しさで涙も出てきた。

 涙がこぼれたら、もはや泣くのをとめられなかった。

 イリアナの啼泣ていきゅうも街の喧騒にかき消されていた。


 大泣きがすすり泣きに変わるころ、


「もう気が済んだか?」


 声をかけられた。

 イリアナはぎょっとした。

 部屋の中を見回す。誰もいない。椅子から立ち上がろうとする。


「いいのよ。気の済むまでなきなさい。気持ちもすっきりするから」


 また別の声がした。窓から身を乗り出す。下は街を行きかう人々。上には誰もいない。


「そっちじゃねぇ。こっちこっち」


 部屋の中から声がする。


 しかし声はすれど、姿は見えず。

 取り乱し窓の外まで見たが、冷静になれば声のする方向はちゃんとわかった。声は、このシーズまで任されてきた箱の方からした。

 箱を狙う、間者の類か。箱を守らねば。

 イリアナは箱を抱え込んだ。


「だれ? 出てきなさい」


 今度は返事が無い。

 にわかにイリアナに緊張が走る。

 すると、抱えた箱がカタカタ音を出しながら揺れ始めた。


 驚き、思わず箱を落としてしまった。


「ウゲぎゃんっ」


 落とした箱から声がした。しかも二種類。

 イリアナは、反射的に箱から飛びのいた。

 もしかしたら魔物かもしれない。左手をかばいつつ、慣れない右手でテーブルの上にあったフォークを手に取る。


 箱は落ちたまま、まったく動かない。

 意を決し、箱に少しずつにじり寄る。イリアナの顔には汗がにじみはじめる。

 箱を手に取ろうとした瞬間、であった。


「何してんだばか者ー!」


 突然箱から二つの物体が飛び出してきた。

 イリアナは悲鳴を上げ、無様にもしりもちをついた。素人丸出しの情けない格好で右手に握ったフォークを前に突き出した。

 二つの物体はすぐに、止まった。イリアナの目の前、白と黒の対照的な球体のようなものが、空中でふわふわと浮いている。


「うわぁぁぁ!」


 イリアナはしりもちをついた格好のまま、後退った。テーブルの足に頭をぶつけ、逃げ場が無くなった。


「なにやってんだ? おまえ」


 呆れ顔でそういったのは黒い方。白い方は苦笑いをしている。魔物か、悪霊か、刺客の使い魔か。


「大丈夫。何もしないわよ。今までずっといたのにあなたに何もしてないでしょう?」


 白い方はやさしく諭すように言ったが、イリアナは信じる気になれなかった。混乱と恐怖で動悸が激しくなる。

 自分が首都まで管理を任されていた箱の中から出てきた二匹の生き物。

 この球体に短い羽と手足がついた天使と悪魔をモチーフにした様な姿に見覚えがあった。

 イリアナが小さいころ流行っていたミミズクのぬいぐるみだ。白と黒で番いになっている「オフェルとディフェル」である。どっちがどっちかはよく覚えていない。

 それが動いている。箱の中身はいつの間にか摩り替わっていた可能性がある。

 自分に近づく理由はさほどあるわけではない。


 レオンたちに恨みを持つものが、自分を人質ないし殺害するのが目的。

 もうひとつは、五枚羽の刺客による十年前の口封じ。


 どちらにしろ良い状況ではない。殺されるかもしれない。だが暴走だけは何とかせねばと、冷静になろうと必死だ。だがその表情はさらに強張った。


「だめだこりゃ。完全にすくみあがってる。ねぇ、エル。これじゃ何を話しても信じないんじゃないの?」

「うーん。そうですねぇ」


 黒い方に呆れ顔をされ、白い方はなにやら考え始めた。


「あいつらが帰ってくるまで待つしかないかな」

「けど……」


 白い方はイリアナを見た。

 目の前の少女は、警戒と恐怖で、とてもレオン達が帰ってくるのを待てそうにも無い。取り乱して暴れたり、外に飛び出しでもすれば大事になりかねない。


「やっぱり、説明したほうが良いと思います」

「うーん」と、黒い方が羽で頭を掻き、


「あー、その、なんだ」


 イリアナは、椅子に座ってやっと落ち着きを取り戻したのか、いつもの岩のような無表情に戻った。

 その様子を見て、黒い方も話せる状態と判断した。 


「さて。まずは、俺たちのことか」


 白い方を見て、話の段取りを目で確認する。白い方も頷く。


「まず、十五年前に邪神エスカーテが、八門徒はちもんとによって封じられたのは知っているな?」


 イリアナは黙って頷いた。


 この世の終わりをもたらすといわれている『邪神エスカーテ』

 子供でも知っている、語り継がれてきた伝説。


 その話は、邪神エスカーテの前身、『黄昏の邪神』が現れたことから始まった。

 約二千年前、この大陸は、魔法文明で、現在よりも進んだ技術で繁栄していたといわれている。

 だが、突如として現れた『黄昏の邪神』によって滅亡の危機を迎えた。

 邪神は、地面から這い出て来たとも、海から上陸したとも、空から火球となって現れたとも言われていてはっきりしない。

 どの記述にも『山のように大きな存在』として記されている。


 邪神は、破壊の限りを尽くした。

 数多の勇者や賢者が戦いを挑んだが、むなしく敗れ去った。

 大陸中の古の民は、最後の生き残りをかけて力を結集し、邪神を異世界へ追いやり、世界に平和がもたらされた。

 この戦いで高度な魔法技術の大半が失われたという。


 五百年後、空と大地を引き裂き、邪神が再び姿を現した。

 今度は異界の軍隊と交戦しながら。

 見たこともない格好に、見たこともない武器を携えていた異界の軍隊は、圧倒的な戦闘力と火力で邪神と交戦していた。


 古の民はこの軍隊との共闘を模索する。

 そしてそれを実現させたのは聖女エスカーテであった。

 故郷への帰還を条件に、異界の軍隊との同盟が締結された。


 程なくして、エスカーテと古の民は異界の軍隊の協力し、邪神を追い込んだ。しかし邪神は、古の民を率いていた聖女エスカーテを取り込んでしまう。

 聖女エスカーテを取り込んだ邪神は絶大な力を振るい、異界の軍隊に、力を振るうと自我を喪失する呪いをかけた。

 異界の軍隊は古の民と同士討ちになり、壊滅するかと思われた。


 邪神に取り込まれながらも聖女エスカーテは力を振り絞り、異界の軍隊の呪いを緩和するため、暴走の原因になっている『力』を切り分ける秘術を古の民に伝えた。

 力を半分に切り分ける秘術。


 これが『紋章』であるという。


 この秘術によって異界の軍隊は暴走を抑制することに成功した。

 しかし、異界の軍隊の弱体化は否めず、両者が力を合わせても邪神を封印するのが精一杯であった。


 聖女エスカーテは、封印によって邪神の力が弱まった隙を突き、軍隊の中から二人選び、邪神を打ち滅ぼす希望を作り出した。


 彼らは『つがい魔人まじん』と呼ばれ、男がハヤテマル、女がエルフィーナと言った。


 以後、両名は歴史の影で、もしくは表舞台で、千年近く戦いを繰り広げてきたという。

 魔人は八人の門徒、通称『八門徒はちもんと』を従え、邪神を弱体化させ封印を繰り返してきた。これを、およそ百年周期に。


 七回目の討伐にあたる十五年前の戦いにおいて、魔人たちは邪神エスカーテに洗脳され、この世に仇を成そうとしたため八門徒によってエスカーテとともに魔人を封印したと聞く。




「俺たちは、その魔人だ」


 黒い方はさらりと言った。


「は?」イリアナは目をしばたたかせた。

「俺はハヤテマル。こっちの白いのがエルフィーナだ」


 黒い方のハヤテマルに紹介され、白い方であるエルフィーナはニコニコと羽を手に見立てて振った。


 イリアナは理解できなかった。

 何の冗談か。


 魔人は前回の戦いで、邪神に洗脳されて封印されたとされている。たとえ、封印から逃れていても、洗脳されているわけだから、今のように正気でしゃべっているのはおかしい。

 イリアナは左手の痛みが実感できるくらい強く握りこんだ。夢の中ではない。


「まぁ嘘を言っているようにしか聞こえないよな」

「いつも思うことですけど、恥ずかしいですね。子供のつく嘘っぽいですもの」


 黒いのと白いのは苦笑いを浮かべている。


 それは聞いたイリアナが一番信じられないことである。

 だが、真偽はどうであれ少なくとも話を全部聴いた上で、つじつまがあわなければ信用しなければいい。

 ただ、レオンたちが帰ってくるまで、時間を稼げばいい。『魔人』だと言うなら最悪のことを考え、下手に行動を起こさないほうが得策だ。下級の魔物ならば隙を見て叩きつぶすでも捕らえるでもいい。

 イリアナは話に集中することにした。


「お前が知っている歴史だと、いわゆるエスカーテに洗脳された魔人が人類と敵対して八門徒に封印されたってのなんだけど、ソレ嘘だから」


 イリアナは目を丸くした。


「俺もエルも洗脳されてない。八門徒の内の六人がエスカーテと密約結んで俺らをエスカーテごと封印したんだよ」


 イリアナの顔が徐々にこわばり始める。


「あ、だけど魔人が人類に敵対ってのは間違ってないな。裏切られたショックで、エルは世界を滅ぼすってメチャクチャ怒ってたよね」


 黒い方は白い方をみてニヤニヤ笑っている。


「あたりまえです。千年もかけて追い詰めて、最後に裏切るなんて信じられますか。世界を滅ぼすのは止めるとしても、裏切り者は絶対ゆるしませんから」


 イリアナは、白い方は怒ってはいるものの、本当に世界を滅ぼそうという意思はないように感じた。

 黒い方は、さらに続けた。


「今現在、問題なのはエスカーテよりもエルの方。魔人エルフィーナの封印のされ方なんだよ」


 黒い方は白い方を見た。白い方はコクリと頷いた。


「今の私たちのこの姿は、当然仮のもので、私の魔力で意識だけ封印の外に出しているの。言ってしまえば、今私たちが体験していることは、封印されている体が見ている夢のようなものなの。だから下手に封印が解けちゃうと、今のことはただの夢で、忘れちゃうかもしれない。そうなると、封印された時の記憶だけが残って、世界を滅ぼそうとしちゃうと思うのよね、私が」


 白い方はそう答えた。


「冗談にしか聞こえないかもしれないけど、世界を滅ぼしかねないのはエスカーテより、エルの方なんだ」


 ハヤテマルも困ったように言った。

 イリアナは黙って話を聞いている。理解しようとするために頭がフル回転している。


「と、本題に入る前に、私たちの封印された後の話をさせてね」


 白い方はそう言うと、黒い方に促すように頷いた。

 そして黒い方が同じく頷き、話し始めた。


「あいつらは封印に失敗したんだ。俺たちはエスカーテと一緒に結界に封印されたんだけど、エルの転移魔法で別の場所に逃げたんだけど、結局体だけが封印されちゃったんだよ」


 黒い顔にきれいな青筋が浮かび上がる。

 白い方も困ったような笑顔を向けた。


「封印が甘かったせいで、動けないのに意識だけはそこにある。あなたも動けないまま、ずっと同じところにいるのって苦痛でしょ? 実際、こんな目にあわせた裏切り者への殺意で頭がおかしくなりそうだった」


 白い方はしみじみと語りはじめた。


「だけどそんな時、今から……そう、十四年前。うちの子達と出会ったの。あの子達はエスカーテの手の者によって両親を失った、孤児だったのね。私たちが討ちもらしたエスカーテとの縁であの子達と出会った。皮肉よね。おかげで私たちは、自分の放つ悪意から救われた。けど、あの子達にとっては不幸でしかなかった。いってみれば私たちの油断が、あの子達に不幸を呼び込んでしまった。だからせめて、あの子達が生きている間くらい、理不尽な暴力怯えない暮らしをしてもらいたいの」


 イリアナは黙って聞いている。


「だから、私たちは、私ことエルフィーナが引き起こそうとしている世界の滅亡を食い止めたい。エスカーテを打ち倒したい。そのためには生身に戻らなければならないの。そのための協力者を探してる。その候補があなた」


 白い方は、穏やかだが真摯な眼差しでイリアナを見つめる。今の話はどこまで本当なのかまったく判断できない。嘘を言っているようにも見えないが、本当だという確証はどこにも無い。ましてレオンやカーチャがいるのになぜ私なのか。


 それに、協力するかは別の問題。


「私には、やりたいことがあるから協力は出来ない」


 イリアナはきっぱりと断った。イリアナにしてみれば、世界を救うだとかそんなものは出来る人、やりたい人がやればいい。

 まずしなければいけないことがあるなら、まずそれから片付けたいのだ。


「仇討ちでしょ?」


 白い方が間髪いれずにイリアナの理由を言い当てた。まさしくその通りで、イリアナにとって仇討ちだけが、この殺伐とした傭兵業をしている理由であり、生きている理由といってもいい。


「二人に話は聞いたわ。残念だけど仇討ちの助勢は出来ないわ」


 二人とはレオンとカーチャのことだろうか? イリアナは黙って頷いた。

 元より助勢を頼むつもりは無い。これはイリアナとレオンたちの問題だ。むしろ他人に踏み入って欲しくない。

「だけど、仇を討つための力を授けることが出来るわ」

「力を授ける?」


 イリアナは目を丸くした。


「俺たちが、お前を鍛えてやる。もっとも、いわゆる門徒。平たく言えば弟子になってもらうけどな」

「鍛える……」

「鍛えないと、俺たちの紋章の力に振り回されることになるからな」

「え?」


 黒い方が紋章の力と言った。

 レオンも持っている『紋章』のことなのか。


 紋章は冒険者や傭兵ならのどから手が出るほど欲しいものだ。

 古代の魔術の力で、偉人や英雄の力を収納した小型の魔法陣である。『印』にさまざまな力を収納させたもので、所有者に莫大な力を与えるのだ。

 中でも森羅三十六紋しんらさんじゅうろくもんと呼ばれるものは桁外れの力を秘めていて、生きながらにして神になれるといわれている。一説では、魔人の門徒が振るっていた紋章の全てが、その森羅三十六紋であったという。本物の魔人ならば、持っている紋章はその森羅三十六紋に違いない。


 こんなチャンス滅多に無い。

 いや、おそらくこれを逃せば、こんなチャンスにめぐり合わない。

 だが、彼らを師事するということは、同時に彼らの部下になることも同然。もし、彼らが世界を滅ぼそうとしていてその片棒を担がされることになれば……イリアナは頭を掻き毟った。


「ああ。あともう一つ特典がついてくるぞ? お前自身の問題を解決してやる。」

「私自身の問題……?」


 イリアナは顔を上げた。


「お前の首についてるそれだよ」


 イリアナは首元を押さえ、ハッとなった。


「お前さんの狂戦士病を治してやる。まぁ俺たちの修行をちゃんとこなせば、勝手に治るんだけどな」

「どうやって?」

「口ではなんともな……。お前の場合は過去のトラウマ、お前自身の心の問題なんだ。今言ったとおり、旅をしながら修行をこなす過程で、心身共にお前が強くなれば自然にそのチョーカーは外れる。ただそんだけだ」

「修行……」


 イリアナはチョーカーに手をやる。

 このチョーカーは強力な呪術がかけられており、一定時間以上暴走を引き起こすと、首を締め付け意識を奪おうとする。それでも止まらない場合は最終的に首を両断する。

 だがこのチョーカーは、単に装着者に死を与えるだけではない。完治すれば勝手に外れるのである。これは狂戦士になることが、心的外傷だけではないためである。

 悪霊に取り憑かれたり、精霊の怒りを買って呪われたり、紋章の力に飲み込まれたりと様々なのだ。チョーカーに施された呪術が、狂戦士病を感知しなくなるとチョーカーは外れる仕組みになっている。

 とはいえ、イリアナ自身、絶えず死と直面しているようなもので、気が気でないのも事実なのだ。


「お前がもし弟子になるなら、お前の仇討ちは後回しだ。今は時間が惜しい。俺たちの封印の方が先だ。絶対封印された時のままの俺たちを復活させちゃだめなんだ。弟子になったら、俺たちを無事に封印の地に連れて行くこと。これが最優先事項だ。記憶の無い俺たちが、お前たちや子供たちを殺すのなんか我慢なんねえ。絶対に今の記憶を持って封印から復活しなければならないんだ。」


 イリアナは黙っている。『お前たち』ということは、一応『レオンとカーチャ』のことも考慮に入れているのか。そう思った。


「ハヤテさん……」


 白い方がたしなめるような顔を黒い方に向ける。黒い方もそれに気がついた。


「あ、いや、すまん。でも、もちろん無理強いするつもりで言った。こっちも余裕無いからな。早くしねえと、俺たちが世界を滅ぼしちまう」


 けらけらと笑う。だが、目は笑っていないように見えた。白い方は軽いため息をつく。

 黒いほうが再びイリアナをちらと見た。


「お前にとっても魅力的だっただろ? だけど都合のいいことばかりじゃないはずだ。悩んで、自分で判断してくれ。俺たちの弟子になるなら、レオンたちともいずれ別れることになる。俺たちの封印の解除に失敗すれば、エスカーテか俺たちに殺されるだろうし。ついでに言えば、お前の仇討ちが済んでいようが済んでいまいが、最終的にはエスカーテの討伐か再封印をせねばならんしな。それまでお前に自由は無いんだしな」


 黒い方は、意地悪い言い方をした。だが、その顔は真剣だ。

 彼らの言っていることは説得力があった。二人の言葉には真摯さがあり、いくらか親近感すら沸いていた。だが親近感が、うまいこと言いくるめられているのではないかという不安をより煽っているのも事実だ。


「一つ良い……ですか?」

「なあに?」


 白い方がニコニコしながら答えた。


 一つの大きな疑問が残っていた。この答え次第では即断る。


「なぜ私なのですか? レオンやカーチャのほうが腕も立つし、経験も豊富だし……」


 イリアナはうつむいた。包帯を巻いた左手をさする。イリアナにとって狂戦士であることは大きな失敗を招くだけの災いの現況そのもの。だれも自分に期待などしない。頼りにもしない。


「そんなのきまってるじゃない」


 イリアナは思わず顔を上げ、答えを待った。


「かわいいからよ」


 白い方の答えは満面の笑顔で答えた。


「は?」

「あなた素直でかわいいから。だから協力して欲しいの」


 なんとくだらない理由か。イリアナはそう思った。

 黒い方が、さらに続ける。


「まぁ素直であるということは大部分を占める評価だ。それこそ素直に喜んでいい。それから、レオンやカーチャにも当然同じように頼んださ。けど、レオンはすでに紋章持ってるしな。俺たちの紋章が拒絶したんだ。カーチャは、カーチャ自身が紋章を拒んだ。誰か紹介してくれないか頼んだら、お前を紹介してくれたのさ。お前に関する前情報もないからここ二週間、箱の中に入ってお前を観察していたわけだ。おかげでお前と俺たちの紋章の相性も、問題ないだろうと判断できたわけだ」


 黒い方が、イリアナの疑問にあらかた答えた。


「素直に好意と受け取ってもらって良いぞ。人に好かれるなんて気分良いだろ」

「は……はぁ」


 イリアナは力が抜けた。というか、どっと疲れが噴出したといった感じだ。

 少なくとも、レオンとカーチャはこの二人を信用した。だから自分を推薦した。イリアナはレオンとカーチャが信用した相手なら信用できると判断した。だから安心して疲れが出た。


 正直、自分を必要だと言ってくれて、胸が高鳴った。顔に出ないし、『うれしい』と言う感覚が良く分からないので、この胸の高鳴りがそうなどだと思った。


「まぁ王都につくまでに決めれば良いさ。契約は王都まで俺たちを無事に運ぶことだしな」


 黒い方は、白い方と食べ物がないか、台所を物色しに行った。カーチャが用意していてくれた買い置きされたパンを見つけ、美味しそうにかじりはじめた。


「そんなところで悩んでたって何にも始まらないんだし、こっちで一緒に朝ごはん食べましょう」


 黒い方は悩めといい、白い方は悩むなと言う。あべこべだ。

 白い方が手招きをしている。イリアナはそれに素直に従った。

 一人と二匹が食卓を囲んでいる。

 魔人たちの子供たちとの生活を中心に話しをした。


 ここシーズから西に100キロメートルほど行ったミテケイア山のを望む丘陵地にあるヴェーカーが出身地ということ。

 この地はエスカーテの勢力圏内に近いが、この村に通ずる道は、エスカーテの手下である『器動衆きどうしゅう』が襲ってこないことで有名だ。これは魔人の白い方であるエルフィーナが魔力で清めているからだそうだ。

 ヴェーカーで四人の子供と暮らしていたが、全員が家から巣立っているらしい。その内の二人がこれから向かう首都にいるという。さらにその内の一人が、八門徒はちもんとの候補であること。


 レオンたちとの経緯は、魔人達の所属するスカウトギルド『沈黙の森』の紹介らしい。


 イリアナは二人の話に興味が尽きなかった。こういうのが『楽しい』ということなのだろうと内心思っていた。二人の表情はころころと変わる。

 特に笑顔だ。終始楽しそうにしゃべる。

 自分が笑えないことを知っていてもお構いなしに笑う。けど笑えないことで同情されることはあっても、二人のようにお構いなしに振舞うのは、レオンとカーチャくらいだ。

 イリアナにとって笑えないことや楽しいと思えないことは、さして問題ではない。遠巻きに同情されるほうが辛い。

 二人は分かってくれてやっているのだろうか。少し気になった。


 三人の食事中に、扉が開いた。買い物袋を抱えたレオンとカーチャである。


「おかえり」


 イリアナは二人を出迎えた。


「よー。おかえりー」

「おかえりなさーい。あ、りんご」


 魔人の二人も、家族にでもするかのように自然に出迎えた。二人の魔人は、レオンの持つ袋からはみ出したりんごに目が行っている。


「ただいま。二人とも箱から出たんですか」


 レオンは買い物袋からりんごを二つ放り投げた。魔人たちはそれをキャッチするとおいしそうに頬張り始めた。


「ああ、一応こっちの用件は伝えた。後はイリアナ次第だな」


 りんごにかぶり付きながら黒い方が言った。


「あんたたち、りんごなんか食べて昼飯入るのかい?」


 カーチャはかるく呆れたように魔人二人に言った。


「あー、今ちょうどイリアナちゃんと朝ごはんを食べたところだから……」


 エルフィーナは、羽で頭をかいて申し訳なさそうにした。


「じゃあ、あんたらの分は要らないね」

「いや、あとで食べるから……」


 カーチャと魔人たちは台所の方へ言った。おそらく旅に出る前に日持ちのする食料を料理するのだろう。魔人たちはそれを手伝うつもりらしい。手際よく袋から食材を出しては準備に取り掛かっている。


「感想はどうだ?」

「え?」


 イリアナはレオンの言葉に少し驚いた。魔人たちを夢中で見ていたので、不意を突かれた形となった。


「あの二人だよ」

「どう……って、とりあえず嘘を言っているようには思えない。人を信じる気にさせる魅力を感じた」


 イリアナの言葉にレオンはほっとした。イリアナが感じたことは、レオンもカーチャも感じたことだったからだ。少なくとも魔人エルフィーナは、大賢者と呼ばれる人物を二人ほど鍛えた魔法使いだ。魔法などで無理やり従わせることも可能だろう。だがそれをしない。しない理由は力で服従させる気がないという意思表示だからだと踏んでいる。


「レオンたちは知っていたんだね」

「ああ。あの二人は最初、俺とカーチャをスカウトしてきたからな」

「信じたんだね」

「『魔人』という話か?」


 イリアナは黙って頷いた。


「嘘か本当かは知らん。だが、騙す為に用意された『台詞』とは違う気はしたな。あの二人は言葉を選ぶことはしても、事実を歪曲させるようなしゃべり方はしていなかった。感情を隠さなかったからかもしれん」


 感情を隠さない……か。イリアナは合点がいった。彼らは感情を押し殺していないのだ。自分の感情に素直なのだと。


「で、お前はどうするんだ?」


 イリアナ自身彼らに魅力を感じてはいるものの、やはり得体の知れないのは確か。本意がどこにあるのか分からないのはやはり怖い。弟子入りして良いのか、彼らの仲間になって良いのか。


「……わからない」

「そうか……」


 イリアナはいろいろ考えているのだろうということはレオンにも分かった。だからあれこれどうしろとは言わない。イリアナももう今年で十六歳だ。そろそろ自分の将来を自分で決めてもいい頃だ。今回の仕事を引き受けたのも、将来を左右する判断をさせてもいいと思ったからだった。

 個人的には、もう少し広い世界を見てもらいたい。魔人の申し出を引き受けてくれることを願っているのだ。

 彼らの元で修行を積めば、イリアナはきっと人生の選択肢が増えるだろう。

 レオンはそのことを口には出さない。反発するのは目に見えている。でも、そう願わずにはいられなかった。


「腕は大丈夫か?」

「うん」

「熱は?」

「熱も」イリアナは短く切り頷いた。

「腕の痛みは?」

「痛みはまだあるけど大丈夫」


 レオンとイリアナの会話は、一言の会話も多い。

 お互いに口下手だが、長い付き合だけに、お互いの真意はある程度推し量れるのだ。


「ん? 痛み?」


 白い方、エルフィーナがイリアナの方へ近寄ってきて、イリアナの左手を覗き込む。


「おかしいわねー。さっき痛そうにしてたから、私たちの話している間にこっそり治したはずなんだけど……」


 イリアナは驚いて左手を握りこんだ。……痛くない。白い方を見てみると、ニコニコと優しい笑顔を向けている。


「あ、あの」

「うん?」

「ありがとう、ございます……」


 イリアナはおどおどしつつも素直な感謝の言葉を口にした。別に恥ずかしがっていたわけではなく、単に人見知りをしているだけであった。

 それでも感謝の気持ちは十分あり、エルフィーナにもその気持ちは伝わったようで、「んふふー」と笑うと、再びカーチャのいる台所へ飛んでいった。


「じゃあ、出歩いても大丈夫だな。昼飯の後、城に出向かねばならん。一昨日の時の状況を、伯爵が詳しく聞きたいそうだ」


 レオンはイリアナに出かけることを伝えた。病み上がりといえるような消耗したイリアナを連れ出すのだ。少々思いやりに欠けているところだが、レオン自身それを理解している。イリアナにしても重要なことなのだろうと判断した。


「わかった。用意してくる」


 イリアナは、洗面台へと歩いていった。

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