終わりよければすべてよし
取り敢えず2話目まで作れました。ある程度戦闘も書きました。
異世界チートはまだ無いです。
二人は通路へと入ろうとした、しかしその直前アリシアが声をかけてきた。
「ここは危険なダンジョンだから離れないでね、モンスターもだけど知識がないと迷うからね」
そうこのダンジョン何故世界有数のダンジョンとよばれるか、モンスターも危険だが一番厄介なのが歪な空間である、ゆうきがハマっていたのが代表的な例である、例えるならそこら中にワープホールがあるようなものである、しかも毎日ランダム配置される。
「え?大丈夫なのか?」
「君は女の子なんだから言葉遣いに気をつけなさい、あと大丈夫よ、あなたにもすぐ分かるから」
(野望があるので元・男は黙っとこっと)
「と言うと?」
「……言葉遣いは無視なのね、ここは空間に穴が空いてるの、でもその部分はよく見れば気づけるわ、ほらそこもアウトよ」
指さされた場所をよく見ると水面が波打っているような、不思議な空間があった。
「おぉー気持ち悪」
そんな感想を述べた次の瞬間、アリシアに乱暴に押し倒された。アリシア姉さん!そんな強引になんて思ったのも束の間、目の前にぷるぷるした透明な何かがいた。
「スライム?可愛いな」
「アホな事言ってんじゃないよ、あんた死ぬところだったんだからね?」
「へ?」
「アイツは獲物に頭の上から飛びかかって身体を溶かしながら窒息させて殺すんだよ、液体だからなかなか剥がせないし、捕まったら絶望だよ」
「ま、まじかドラ〇エに騙されてたけどそうだったな、ありがとう助かったよ」
確かに油断していた訳では無いが、過信はしていたかもしれない、自分は大丈夫だと、ここは平和なあの世界ではないという事を改めて認識させられた。
「こちらもいきなり押し倒してごめんなさい、でも気をつけてね、あとドラ〇エって何?」
お母さん……という言葉を飲み込んで何も聞こえなかったことにして歩みを進めた。
そうして何度か変な鳥やカエルみたいのに襲われたりしたり、時に魔力なしで使える魔法を教えてもらったりして指先から水やら火やらが出せるようになったり、魔法の他にも”スキル”というものが存在しているらしい話を聞いた、そんなこんなで興奮しながら歩いているとアリシアがまた声をかけてきた。
「そろそろ出口に着くわ、でも外は夜だし、雪が積もっているからすぐに野営の準備にするわ、なにか聞きたいことはある?」
「外雪積もってんのか!と言うか荷物持ってなくない?そのバックパック位しか」
「よくぞ見抜いた、これこそ我がパーティーがやっとの思いで手に入れた……」
そこまで言って彼女は言葉に詰まった。
今の雰囲気と今までの感じから彼女のパーティーは間違いなく……それを察したゆうきは、すぐに話を変えた。
「野営?マジですか?虫とかいないよね?雪とか大丈夫なの?あ、魔法で火出せるもんね!」
(雑だったけどいけるか……?)
「……いるに決まってるじゃない、寒さもそうね、大丈夫よ。あと、今更急に女の子出さないでもらえる?」
(よっしゃー!チョロかったぜ!)
そんな事を思っているゆうきに気づきもせずに、アリシアは全くこの娘は、と呆れ返っていた。
というのも、ここに来る道中でアリシアはゆうきの事を女の子として見れなくなっていた。
そうして話ながら角を曲がると道が大きく開けて外に繋がっていると思われる出口が見えた。
外からの風の運ぶ冷気のため鳥肌が立つぐらいには寒かった
「寒っ、でも意外とダルくなかったな」
「あなた何もしてないでしょ、まぁあとは出るだけですから余裕ですね!」
(それってフラグじゃ……)
予想の通り前方に大きな音とともに巨大なカマキリが降ってきた。
「ダルすぎ……」
そんな言葉も意に介さずカマキリはその自慢の鎌を振り下ろしてきた、とっさに横に飛んで避ける、当たった場所に大きな窪みと土煙が上がる、その際にアリシアと鎌をはさんで分断されてしまう。
「アリシア!大丈夫か?!」
しかし返事はない、何事かと見るとアリシアは座ったまま動かなかった。
良く見るとガクガクと震えていた。
これではアリシアは戦えない、一瞬でそう判断するが、だからと言って僕が戦えと?
「ダルすぎでしょ……ま、死ぬよりゃマシかな」
何とかするしかない、素早く思考を切り替えると、すぐさま作戦を練り始めた。
(まず第一に当たったら即死だよなぁ、でも当たらないでなんて無理だよなぁ、取り敢えず撃退及び時間稼ぎを第一に考えようかな、さっきの魔法は精霊?の力借りてるからいくらでも撃てるらしいし、やるだけやりますか)
今までの魔物でなれていたのと高い順応性のお陰ですぐに動き出せた、まず気を引くために走り出しながら初めての魔法を撃った。
「”我が手に集え火撃よ”」
(はずかしいぃぃぃ!)
そんな事を思いながら右手から火の玉を放った、それはカマキリの顔面に直撃して上手くこちら側に気を向けることが出来た、がダメージはあまりない。
カマキリはキシャァァァと不快な声で鳴くとこちら側に顔を向けた。
次にゆうきは手から水を連続で放った。
「”我が手に集え水撃よ”」
(もう慣れたわ……)
そうしてカマキリの身体を次々水流が襲っていったがあまり効果は無さそうだった。
「やっぱ倒すのは駄目かぁ……んじゃあ、第二作戦やるか」
次にゆうきはさらに水流を撃った、カマキリの足元と体はびちょびちょになった。
そこへすかさず次の呪文を唱えた。
「”我が手に集え火撃よ”」
手から火の玉が飛んでいった、着弾するとジュッという音と共に煙が発生した、それを繰り返し続ける、時折水流も放って水も補充する、すると外の冷気で水蒸気が濃い霧へと変わっていき、二人の姿をうまく隠した。
カマキリは暴れているがアリシアから距離はあるので大丈夫だろう。
(よし、アリシア抱えて撤収じゃあー、さっきの魔法パクるかな)
そうして濃霧の中を進みアリシアの元へと行き魔法と謝罪の言葉を口にする
「アリシアごめん”地に逆らえ”」
そしてアリシアを思いっきり出口に向けて吹っ飛ばした、無事外に出たのを確認して自分も外に出ようとしたが、そこに誤算が生じた、身体に急に力が入らなくなった。
本人はその時分からなかったが、魔力切れであった、アリシアに教えて貰ったのと違い自身の魔力を消費する魔法だったのだ。
(とにかく外に出ないと)
しかし、カマキリは徐々にこちら側に寄ってくる、更に悪いことにはいらいらし始めたのかより一層めちゃくちゃに鎌を振り回した、勿論その時はそう待たずして来た。
鎌は見事ゆうきの左腕を抉った。
「ぐああぁぁぁぁああ」
思わず悲鳴をあげてしまう、当然カマキリに見つかってしまう。
容赦なく鎌を振り上げて、こちらへと振り下ろした、初めて襲い来る死の恐怖、心構えも何も無い、どんなに順応性が高くとも死の恐怖には抗えない、その時ゆうきは人生で初めて必死で祈った。
(死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない)
カマキリの二激目がゆうきを襲った、しかし鎌は不自然な動きをして、ゆうきの1mほど左の地面を抉った。
カマキリも自分の鎌を不思議そうに見つめる。
今しかない、逃げ出そうとしたがそれは叶わなかった、と言うのもゆうきは出口へと駆け抜けるアリシアに抱えられていた。
「ごめんなさい、あなたみたいな子供をこんな目に遭わせるなんて……」
ゆうきは何も言い返さず黙って抱えられていた、と言うより最早喋る気力もなかった。
こうしてゆうきの初戦は敗走という形で締め括られた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
前回を中途半端に終わらせてしまったので構成がグダグダになってしまわれた、次から気をつけたいですね。