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楽して勝って笑いましょう  作者: 未出舞
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タイトル詐欺もいい所

初投稿ですよろしくお願いします

 プロローグ━━━


 暗い一室、石でできた壁に窓一つない部屋、あるのは唯一鉄の扉のみ、そんな部屋の中で一人の女がブツブツと何かを呟く、女の前には一つの魔法陣がクルクル周りながら光っていた、女は魔術師だった。


「ようやく……ようやく悲願が達成される……」


 何かを呟き終えた女は次に自分を最後に震え立たせるが如く独り言を思わず呟いた。次の瞬間扉から大きな音がした。


「休ませてくれないのね、帝国の連中め……仕方ないこのまま始めるしかないのね……とにかく召喚するしかない、召喚さえすれば……」


 扉からは激しい音が鳴り続ける、破られるのも時間の問題だろう、すぐさま女は作業を始めた、と言っても二つの工程をこなすだけだった。髪を手元のナイフでばっさりと切り髪をばら撒くと呪文のようなものを呟いた。


「……救いを与え、希望を与え、祝福を与えよ」


 魔方陣に髪が落ちきった次の瞬間、扉が破られると同時に部屋は光に包まれていった、既にそこに女の姿はなかった。



  第一章


 気だるい、それはそれは気だるい午後、9月も終わりを迎えるであろうこの時期、葉山ゆうきはベッドでグダグダゴロゴロとしていた、彼は今年で18才、受験生である、なのに彼といえば人が見れば口を揃えて大丈夫か?と心配されるのが容易に予想できる状態を保ち惰眠の限りを尽くしていた。と、言うのも彼は既に推薦での大学入試が決まっていた。

 見た目に似合わずやることはやる、という訳ではなくただ単に受験は高校だけで充分だから、めんどくさい事を極端に嫌いそれを回避するために必要最低限の力で対処する、俗に世間が言うクズに分類される人種だった。


(……トイレ行くかなぁ……ダルすぎ……)


 寝ぼけたまま立ち上がろうとした時なんだか声が聞こえた気がした。耳をたててみるが何も聞こえない。


(……なんだ、気のせいか)


 死亡フラグのようなものを建てながら彼はのっそりと起き上がりトイレへと向かった、トイレの前まで行き扉を開けた、いつものトイレが広がる(?)そこは穴だった。



 〜数分後〜

「黒い短パン黄色いTシャツ!空を舞うこと蜂の如し!葉山!参上!…っていつまで落ちんだよ…ダルすぎ……声も可愛くなっちゃって」


 落ちていた、敢えていうなら何故か女の子になってた、それにひたすら落とされることに飽きてきたゆうきは自己紹介(?)をしていた、人は焦ると何をするかわからないと言う、しかし彼女は下に着くまでに余裕、もしくは落ちることがないと気づくと落ち着きを取戻して、自分の状態を確認していた、要するに元からこんな感じだった、そして更に状況確認を続けた、すると様々な事に気づく。


「同じところをループしている?アノ壁の破壊跡は特徴的だもんなぁ……同じものが何度もあるとは思えない、んでもって壁はドラ〇エのゴーレムみたいな壁だな、5秒おきに跡が見えるから……大体125m位か……って事は時速50km?いや、人間は落下したら空気抵抗やらなんやらあったとしてもで時速200kmは出たような……ってかTS病かよ……」


 そうして悩み、いくつかの事象をまとめ覚悟ができた頃にようやく


「ここ……地球じゃなくね?」


 普通はもっと早く気づくとか言ってはいけない。むしろ適応力の高さに目を見張ってほしい、更に彼女はここから脱出するための最適解(ゆうき調べ)を出していた、その方法とは……


「だれかーー!!たすけてくださーーーーい!!」


 人が作ったと思われる建物、自分ではどうしようもできない、これしかないでしょ?がゆうきの答えだった。



 

 

  〜????視点〜

 

  時は戻って5分前、彼女は一人歩いていた、ここは世界でも有数のダンジョンであり到底一人で来るような場所ではなかった、しかし、彼女の格好を見れば分かる人には分かるだろう、ポニーテールはボサボサになり、腰には剣、胸当てと腕と足に鎧、ところどころが返り血で赤くなり、首にはドッグタグのようなものが4つ下げられていた、いわゆるパーティーの全滅というやつである、正確には彼女は生きてはいる、が彼女の目には光がなく誰もが時間の問題だろうと言うのも無理はないほどだった

  そんな彼女に変化が起きた


「……声?」


  彼女自身、自分は死ぬと思っていた、なればこそ自分の知的好奇心を満たして死のうと思い、声の聞こえたような方にフラフラと歩いていった。

  そうしてたどり着いた場所はこのダンジョンの中枢に位置する大きな吹き抜けだった、このダンジョンが世界有数と言われる所以でもあった、壮麗な景色と深くまで続くレンガの壁、所々から木やその根が飛び出して自然と人工の調和が取れた景色だった。

  そこに一つの違和感があった、いや居た。


「……は?人?」


  少女が落ちてく吹き抜けを、知的好奇心を満たし死のうと思っていたが逆に疑問が増えてしまった怒りと意味が分からない、この二つから絞り出した言葉である。しかも少女は何か言っているがドップラー効果とやらで聞こえない


「ってとにかく助けないと!”地に逆らえ”」


  すると次の瞬間落下していた少女の身体がふわりと浮き上がった。ストンと地面に下ろしてやる、するとやっと彼女の声が聞こえた。


「おお!?助かった?ありがとー!」


 彼女はショートヘアに整った顔立ち、清楚という言葉が似合う綺麗な顔をした少女だった、がその言動がすべてを台無しにしているのが一言目で分かった。


「……軽いな」


  「えへへ、僕はそんなに軽かったですかぁ?」


「違うわ!」


  何だこの娘、疲れる。とにかく何があったか聞かないと、そう思い彼女が口を開こうとすると少女ははつらつと喋り始めた。


「今のって魔法?!僕にも使える?」


「今はそれどころじゃないでしょ?何があったの?」


「落ちてた、で魔法か?」


「それは知ってるわよ!何でそうなったかを教えなさい!」


「トイレ入ったら落ちてた。はっ!トイレ!どこ?」


  彼女はなにか諦めたような顔をして


「……無いわよ、その辺でしなさい」


「まじ?」


「まじ、ダンジョンなんだから当たり前でしょ、ほらとっとと行く」


  こうして数分間尿意と理性と格闘したゆうきは漏らすよりマシと結論づけ初めての野ションを経験したのであった。



  そうして少女がスッキリした顔で戻ってくると、彼女はしばらく自分を見つめたあと自己紹介を始めた。


「いやーありがとねー!あ、自己紹介しないとね、葉山ゆうきです。宜しく!お姉さんの名前は?」


「聞いたことない雰囲気の名前ね、私の名前はアリシア、宜しく。で何であんなことに?」


「いや、だからトイレ入ったらあぁなった」


「まじ?」


「まじ」


 立場が逆転していた。



 

  〜ゆうき視点〜

 

  助かると同時に襲い来る尿意から開放されると自己紹介をしてない事に気づいた。

  ゆうきは自己紹介が最も良い人間関係の始まりと知っていた。

  めんどくさがり屋の彼女にとって友人を作るのは面倒ではなくむしろ必要な存在であると知っていた。


「良好な関係は挨拶からだよねー」


  一人つぶやきながら名もしらぬ彼女の元へと戻っていった。

  そうして戻った時に彼女の格好を改めて見た。

  ポニーテールに絶世とは言わないでも整った顔立ち鎧に剣を携えた、いかにも冒険者と言った格好そして何よりも……

  (ドッグタグ?あんな首飾りなんかなぁ、それに血塗れの服って事はなんかあったよねぇ……これ)

  ゆうきは最初に見た顔から何かあるとは思っていたが、ただ事ではないと確信した。

  そうして場面は自己紹介の場面へと収束していく。


 


  その後、数分かけてゆうきは自分の状況を説明した、と言ってもトイレに入ろうとしたら落ちていた、自分でも何が起きたか分からない、としか言えなかったのだが。

  しかし彼女はなにか思い当たったことがあるような顔をした後こんな質問をしてきた。


「もしかして転移者か?地球という言葉に心当たりは?」


「ありありおおあり、なんで知ってんの?」


「私も会うのは初めてだが、知っていることだけなら……」


  そうして彼女は語り始めた、何百年も前に魔女と呼ばれる存在が何かを召喚しようとした、この世界で最大の軍事力をもつグレオール帝国と呼ばれる国が止めることに成功したと言われている。

  言われている、と言うのは魔女は何かを召喚しようとしたこと、そしてその阻止を皮切りに多くの転生者が生まれた、という事しか分から無かった。

  しかも、実害はないむしろ転生者がもたらす知恵でこの世界は潤っているため、悪意あるものの召喚は阻止した事になっている。

 

「なにせ何百年も前の話だしな、信じられる理由はあなた達、転移者、こっちではゲーギスだったかな、あまり数はいないけどゲーギスの街があって……」


 未だ続く説明を聴き流すゆうきは


(だりぃ……なんか面倒くさそう、と言うか転生者普通に認知されてんのかよ、でも街は行きたいなぁ、つか待てよ……)


「もとの世界に帰れる?」


「……ごめんなさい、戻れたという話は聞いたことが無いわ……仮に戻れたとしても伝える手段がないわ」


「そうか、まぁいいや」


  ゆうきの順応性はカンストしていた。ゆうきは続けて質問を続けた


「水洗トイレってある?」


「……あるわよ、あれだけシリアスな質問しといて次の質問はトイレなの……」


「何言っての!トイレって大事だからね、公衆衛生ってもんがあってね……」


  こうしてゆうきのトイレ講義が始まった。



  数十分後ヘロヘロになりながら開放されたアリシアはやっとの思いで切り出した。


「あ、ありがとうよく分かったわ、とにかくここから出ましょう」


「あいさ、んでどやって出んのさ?通路いっぱいだけども?」


「印があるのよ、星型のマークない?」


「僕が探すんかい、場所は決まってないの?」


「ランダムなのよねー、本当にめんどくさいわ」


  そうこうして探しているうちに無事星型を見つけた。


「これか?」


「あぁ、そうそれ!やっと出られるわ」


  通路の入口の上に小さな白い五芒星がみえる。

  そこでゆうきはあることに気づく


(ドキドキしてるねぇ、やっぱり楽しみなのかな、新しい世界……いや、女の子になったから見放題だからかな……)


  順応性は高いが気持ち(主に助平心)まではそう変わらないみたいだった。

  そうして通路へと二人は歩みを進めた。





ちちをもげ聞きながら作りました。

頑張って続けられるようにしたいです。


ちなみに葉山ゆうきくんはトイレにかなり苦戦した模様

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