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最後の夏の日に忘れたくない思い出
走る。走る。
ついさっきまでの感情を追い越して。
旋律を覚えたのか忘れたの蝉達の声援を抱きながらどこまでも、いや、
君の街まで
今日は暑い。いや、昨日からかな。
どうでもいいや。今は目の前の宿題に集中しよう。
8月31日 午前9時20分 タイムリミットまで.....23時10分.....
「いや、お終んねぇって......クソッ」
こんな蒸し暑い中、さらにその温度を3度上げてしまいそうなモッサモサの髪をかきむしりながらシャーペンを机の端まで投げ飛ばす。
わかってる。何もやってこなかったからこんなことになってるんだ。
「ああぁ~、初日に戻りてぇ~」
いや、集中しよう。集中だ集中。
大学行くんだろ。二学期が始まったら整理考査もあるんだ。
「じゃなんでやってねぇんだよぉ、くそ!!」
嫌になる。嫌になる。もう嫌になる。側頭部が痛くなってくる。
「········はぁ、」
一旦中断してお茶を飲みに行く、人生最大の宿題を置いて。
「·····ップハァ」
冷蔵庫の麦茶を飲んでみた。
「はぁ、」
本日何回目かのため息をつく。