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悪党のすすめ  作者: と
悪党→政党編
43/63

41 ハンニバル

いやぁ飲めや歌えや、もっと料理を持ってこい!」


晴馬たちは会社に帰るや宴会騒ぎであった、理由は言わずもがな明日の戦勝ムードが原因だ。晴馬自身はいくつかの実験を考えており、銀の性質か赤霧の教会の言う加護をついているから金属が変形したのかを証明するつもりだ。まず言って負けるはずがないと晴馬は自信ありげに語る。


「仮に連中が魔法か何かで金属の性質を変えたとしてもローレが見抜いてくれる」


そういいながら晴馬はテーブルにおかれた料理を頬張る、ソーセージや穀物をはじめとした豪華な料理、会社の皆がその宴会に参加したが、社長たちの話に入ろうとするものは少ない。


「ヒック!そうよ、連中がどんな小汚い細工を仕掛けてきても魔法であればまず見抜くことが出来るわ、勝ったも同然、地位低下を狙って国教を何としても阻止するのよ!」


「そうですね!連中は大体我々を舐め腐っています!他国にマスケット廃止を呼びかけた例はありますがここまで強制力を持ったことを面目上国家に対して行うなどありえない処置です!」


「そうなんだよベルイー君、そこから考えてもなお謎が残るのは、グリーフラント王国を連中はどう評価しているのかだ。我々を玩具にすることはたやすいかもしれないが接触は王国にすでに聞こえているだろうし関係悪化は避けられない、なぜそこまでして我々に接触したのか・・・」


晴馬はその場で考える。とりあえずのどが渇いたので酒瓶に口をつけ、ビール特有の満腹感と多幸感を味わいつつ、答えを出す。


「まぁどうせ坊さんの頭じゃそこまで考えが回らなかったか!アッハッハッハ!」


「そういうことね!ヒック!」


べろんべろんである、それにつられローレやベルイーは大いに笑い肩をたたき合いまた食事を再開する。これが晴馬たちから社員を遠ざける原因となったものだ。遠巻きのテーブルからその様子を見ているカロリーネとフェリシーはもはや苦笑いだ。カロリーネは社長が酒を飲めばここまで陽気になるのかとある種関心を見せるが、近づきたいとは思わなかった。


「せっかくの戦勝確定祝いなのに、こんなバカ騒ぎ・・・」


「まぁまぁカロリーネさん、ハルマ様はああやって息抜きをしているのかもしれませんし今日は無礼講ということで」


「そうは言うけどさぁフェリシー、こういう時って会社とか、国とか、そういった未来をみんなで淡々と語りあうみたいな雰囲気が似合うとは思わない?私としてはそういうのを望んでいるんだけど・・・この会社にはロマンチストはいないのか」


「まぁ、そういうのはハルマ様は一番似合わない人ですから」


「そうなの?」


フェリシーの言葉にカロリーネは意外性を感じた。フェリシーほど晴馬のことを知っているわけではないが何か事情でもあるのだろうか?


「ハルマ様は自分のためなら人の命を簡単に放り出す怖い人でもあります、私がマティネスで使用人をしていた時にそれを痛感しました。村に駐在したときも、闘技場の時も・・・あの男との決闘でも、ハルマ様は周りが見えなかったように見えました。だから、自分のことを満足に把握できないのにかっこつけるなんて今のハルマ様にはできませんよ」


「ふうん、なら何で社長について行ってここに来たの?もうこんなところにあつまる連中なんてどんな奴らかわかってるんじゃないの?」


「そうですね、でも不思議と後悔はないんですよね、多分私もハルマ様に出会った時点でそういう人種になってしまったのかもしれませんね」


「なんでさ?失うものはフェリシーは最小限、もう一度ここから逃げ出してやり直せると思うけどな」


「いいえ、気付いてしまっては遅いんです」


フェリシーはそういってジョッキを片づける、カロリーネはその言葉に引っ掛かりを感じ少し考えてみるも、自身も酔いが回ってきてそれどころではないことを後悔する。


「次はチーズを使った料理だそうですよ?すぐに配膳の用意をするので楽しみにしていてください」


「ちょ、ちょっと」


「ああそれと、そこに長くいるのは得策とは思えませんので逃げた方がいいかと」


「は?」


カロリーネがその言葉を聞いている時にはすでに彼女の拘束は始まっていた。両端の方には酒臭い息をした晴馬とローレがにやにや笑いながら肩をがっしりと掴んでいる。


「おいおいゲス子、こんな祝いの時にそんな難しい顔をしてどうしたんだ?場の雰囲気を落とした罰として踊れよ、社長命令」


「ええ、めんどく・・・ひゃう!」


「カロリーネ、あたしすごい気になることがあるの、胸ってどうやったら膨らむの?ヒック!こう?こう揉めばいいの?」


「ちょっとちょっとお二人とも飲み過ぎですよ、ベルイー!何とかして」


「ぐう、ぐう」


ベルイーはすでに夢の中のようで、とても助けてくれそうにはなかった。この役立たず!こういったときくらいしゃきっとしろ!


「それでは私は配膳の用意があるので」


「ちょっとフェリシー?!あんた謀ったね、私を謀ったね?!ひう!」


「こう?ヒック!それとも吸えばいいの?」


「そうだカロリーネ、お前腹踊りやれよ、腹に顔書いてやるよ」



「いややあああああ!」


会社銃に響き渡るカロリーネの叫びに社員は唖然したが、まぁ結果的に目の保養になったからそれはそれでよしと思い誰も通報はしなかった。しばらくして宴会場には人の気配は去り、一人笑い続けている晴馬と、赤子のようにカロリーネを倒して乳を吸うローレ、爆睡するベルイー、そして腹に顔、乳にローレをたずさえたカロリーネが服を乱して肩で息を呼吸していた。


「はぁ、はぁ、覚えてろー!ああん、ローレ様やめてー!」


「ちゅー」


「うひひひひ!今日は楽しいなぁ!」


「「晴馬落ち着いて!かむばーっく!」」


何という光景だろうか、この情景を四字熟語で表すなら魑魅魍魎とでもいうべきか、何とも独自性に富んだ世界が広がっているようであったが、晴馬は尿意を覚え席を立った。


「う~い、しょんべんと~」


「「これでアルコールが出ればいいのですが・・・ん?」」


ユッタは何かの気配を感じ取った、素人では隠しきれない気配、そんなものを感じるときは決まってその者は隠れている時だ。敵襲か?しかし気配が多すぎる。


「「晴馬、何やら敵襲の気配が・・・」」


その時、窓の向こうから人影が動くのが見えた。それも一人ではなく、組織的に動いている。ここは二階であるか動きがくっきりして見えるのは屋根を動いている物だけだ、ユッタはそれを確認して確信した。何者かがこの会社を包囲していると。


「ヒック!そんなことどうでもいいだろ!まずは飲みなおしの酒を買ってくることが重要だ」


「そんなことを言っている場合じゃないでしょう、すぐに部屋に置いてあるグングニールを取りに行かないと、取り返しがつきませんよ?!」」


「まぁまぁ、こんな時に来る無粋な奴はいないって」


完全に酔っぱらって警戒心を失っている。このままでは対処しきれない。


「おおっと、ここがトイレだったな」


晴馬は便所に籠った、ユッタは焦った。便所は比較的狭い部屋だ。これでもしドアをこじ開けられれば逃げようがないし、最悪ドアごと刺してくる恐れもある。早く用を済ませて退室しなければ!


「おおん?ヤケニ今日は勢いがいいな」


「「・・・」」


今はとやかくいう場面ではない。もし晴馬に悟られたたりでもしたら彼は恥ずかしくて死んでしまうかもしれない。ともかく静かにことを済ませ、こんなことをしている自分への羞恥心に勝つことこそが勝利への道と言えよう。


「じゃあ戻りますかねぇ、なんかカロリーネとローレが面白いことをしていた気がするし、いい加減夜も深いからここらでお開きにさせよう」


晴馬は千鳥足で部屋に戻ろうとするが、その時とある異変い本人が気づいた。足跡だ。現在二階にいるはずなのに土を踏んだ連中の足跡が廊下にそこらじゅう散乱しているのだ。


「なんだこの足跡・・・ふむ」


「「来ましたね、連中来ましたね」」


「誰だようんこ踏んだまま歩いたやつー!片付けろよー!」


「「ああああ!すっごいムカつく!」」」


晴馬はいまだ酔っぱらっている。それ故に事態の把握が出来ていないのだ。大声を出して笑う晴馬に向こうは気づいたに違いない。このままでは確実にやられる。


「「すぐに感情の同化をしましょう、このままでは奴らに先を越されます!」」


「はぁー、なんか今日のユッタは慌ててるね、まぁいいよ、そこまで言われるならやりましょう」


晴馬の精神にダイブして体と思考を同一とする感情の同化、しかしながらそれはユッタに予想外の展開を見せる。


「う、うへえ、これは酔っぱらってますね間違いない」


自身は酔っぱらう経過がないので当然素面ではあるが体はそうとは限らない。寄った体は平衡感覚を失っているのに脳は強制的に平常、無論この負担は相当なものであることはまりがいない。動かない体を引きずりながらユッタは歩いた。


「壁にもたれないと歩くこともできない・・・昔の腐り病の自分を思い出しますね」


事態は一刻も争う、今は自身のコンディションを嘆いている場合ではないすぐに行動に移さなくては!社長室に足を進め、そこから聞こえる声に注意した。中でローレと男が言い争っている。誰だ?いったい中には誰がいるというんだ。


「何でそんなことを言われなくちゃならないのよ!」


「酔っ払いだとしてもやりすぎですよ!我慢の限界というものがあります!」


どういう状況だ?聞いているだけでは中の様子がわからない。ここは意を決して入ってみるか。ドアを思い切って開け、中の様子を探る。そこではローレとベルイーが言い争いを繰り広げていた。


「いいじゃない寝ている間に耳ハムハムしたって、カロリーネの負担も減るはずよ!」


「それはまぁ百歩譲って認めましょう、しかし起きてもなお続けるのはどういうつもりですか!いじめでしょうこれは!」


「だって柔らかかったんだもん!」


どうやらただの漫才だったようだ。しかしながらここで倒れていたはずのカロリーネの姿はない。彼女はどこいったというのだろうか。


「カロリーネはどこに行きましたか?」


「ん?何で今日は敬語なのよハルマ、あ!ひょっとして今日は団長だったりするわけ?!団長ー!」


「んぅ、抱き着かれても体は私ではないのですが、それよりもカロリーネは?」


「はい!おっぱいが痛いから冷やしてくると言っておりました!」


「ということはどこに行ったのでしょう、ここには湯浴みの部屋なんてないし、いや待てよ?確か鍛冶職人の放射熱の対策のために顔や体を冷やす石風呂みたいなものがあったはず、そこに行ったとすれば・・・」


ユッタは焦りだす、すぐに棚にかけていたグングニールを取り出して部屋を出ようとするが、ローレやベルイーはそれを見て困惑した。


「団長?!なぜその武器を持っているのですか?」


「敵襲です!すぐに準備をしてください!」


「なんですって、何人?姿は?!」


「分かりませんが相当数です、あなた達はここで待機し、何者かが来たときはローレがベルイーを守りなさい、私はカロリーネを探しに行きます」


「私も一緒に!」


ローレは真摯な表情でユッタに訴えるが、彼女は拒否した。


「ベルイーを一人にするのは危険です、何より泥酔した貴方に来られても戦いが有利になるかどうかは不透明、まずは敵の把握に努めなさい」


そういったのちに部屋を出て、まずは周辺の安全を確認、会社の中にある試作品を作る鍛冶場の方向へと急ぐ、現在の会社には晴馬たちを除いて誰もいない、ということはここから遭遇する人は敵である可能性が高いということだ。警戒しつつ、かつ迅速に全員を集め会社から脱出させる必要がある。皆が働く営業部の部屋や技術部の部屋を抜ける、おかしい、敵に遭遇しない、この会社によからぬものがいることは間違いないのにいないのはおかしい、ということは侵入していないということか?


「もし、敵はこの会社の内部は知らないまでも製造している物や外部との通路を知っているとしたらどうでしょうか?マスケットを作っていることを知っていれば間違いなく保管所に飛びつく!」


ユッタは走り出すが恐ろしいことに息が続かない、酒を飲んだことで呼吸がいつもよりも早いのだ。仕方なしとペースを下げて走るも、そこには想定道理の光景が見受けられていた。大きくため息をついたのちに、隠れて様子を見る。


「おい、ここの銃はこれですべてか?」


「ああ、間違いない。ここは調査によると出荷前に保管する倉庫になっている」


倉庫出入り口前にはすでに多くの男たちが詰めかけていた。皆、一見町民のような服装をしているがとにかく臭い、恐らくはいつも街の内部ではなく外部の盗賊をしている連中で間違いないだろう。このご時世、治安局を組織したのは英断だといえよう。なぜならそれまでは街を守る役割を果たすのは自警団といった民間の組織で貧弱な装備と訓練で守る必要があるからだ。ごもっとも英断かどうかはこういう時に来てくれればの話だが。


「連中は事前に調査をしていたとこ言うことですか、計画されてやってきたのかこの数はなんだ?盗賊団とかいう規模ではない恐らく誰かがバックにいる可能性がありますね」


しばらく監視していると男は誰かを連れて会社の別口出口から出て来た、隣には無理やり歩かされているような女の姿が見える。


「オラァ!早くこの倉庫の鍵もってこいや!手めぇがこの会社の幹部なことぐらい知ってんだよ!」


「嫌です!絶対に嫌です!」


「遅かったか・・・」


どうやらその女は体を布で覆っているカロリーネであった。試作品を作る鍛冶場は倉庫に近く又会社の棟とは別に設けて作ってあるため潜入しても誰かに遭遇するリスクはない、それすら調査して彼らはやってきたのだ。恐ろしいほどの用意周到さ、ただの盗賊でないことは明らかだ。さて、どうやって制圧するか、非常に重要な選択だ。


「いいから開けろっつってんだろぉ!俺たちはここの銃に用があんだよ!開けりゃあおめぇの命は保障してやるよ」


「どうせ開けたらそれを使って社長たちを殺しに行くんでしょ!?絶対に開けない!」


「生意気なことを言いやがって~、一度痛い目に合わないとわかんねぇか?どうしますお頭」


カロリーネを捕まえている男がそう呼ぶ男は不敵に笑うとカロリーネの顎を無理やり使い、自身の顔に近づけ始めた。


「お嬢さんよぉ、おめぇ頭がいいだろ?ならわかるだろうが俺たちには時間がねぇんだ。夜が遅い今としてもこんな大人数を動かしちゃあ誰かにばれる危険性がるし朝が来れば逃げなきゃなんねえ」


「なら早く逃げてくださいよ!私たちはっ、つ~!」


「痛いだろ?これが痛いんだよなぁ」


男はそういってカロリーネを蹴飛ばしたのだが、その反動はすべて押さえつけられちたことにより自身で衝撃を逃がすことが出来ず、蹴飛ばされた顔には靴の跡と鼻血が出ていた。


「じゃあ質問を変えよう、今日中に死にたいか今死にたいか」


「鍵は知らない!本当なんです!」


「あっそ」


頭領はそう言うと暴行の限りをくらわした。ユッタはすぐに駆け込もうとするが、ハルマの自制で動くことが出来ない、なぜだ?目の前で淑女が暴行を受けているにもかかわらずなぜ動こうとしない?!


「落ち着けユッタ、気持ちはわかるがあれで致命傷にはならない、まずは連中がこちらに完全に警戒していないのを確認してからお頭を殺す、少しでも失敗すればカロリーネの命が危ないから一発で決める可能性を上げるんだ、合図があるまで動くんじゃない」


そういいつつ、晴馬はグングニールを片手で持ってやり投げの態勢に入る。一人の男に狙いを定めもう片方の手には鍵を携帯する。彼は意識的に感情の同化をやめ自身で対処することを選んだのには理由があった、晴馬にとってユッタは感情的過ぎるのである。


「「何をしているんですか?!すぐにでも助け出さないと彼女一生の傷を負いますよ!」」


「わかってる、しかし考えなしに行っても失敗のリスクを上げるだけだ」


カロリーネはやっと終わった暴行に絶え絶えの呼吸で反応する、盗賊はそれを見て笑うが頭領はそうはいかなかった、彼は冷静で計画の遅れを気にし始めたのである。


「いい加減マスケットを手に入れねぇと全員分の武器が手に入らねぇ、最悪治安局との抗争になっても銃があればこっちのもんなのに・・・どうだ、まだはかねぇんか?」


「ぼんふどうに、じらない!」


体力の消耗でカロリーネは舌が回らなくなっていおり体中痣まみれで瞼が腫れている、頭領は腹を蹴り上げるてさらに反応を見る。最早立つ体力も残っておらず、毛布がはだけるの事すら気にしならないようになっても彼女は吐こうとせず、思わずため息が出た。


「おい、こいつを見はってろ、こうなれば銃なしで計画を進める、別動隊を動かして社長室でバカ騒ぎしているセージと社長共を殺してこい」


「しかし武器を持ってるのは10人ですぜ?本当にいいんですか?」


「かまわん、酔っ払いが30人相手に戦えるはずがないからな、それが終わったのを確認したらこいつを殺す」


「あんたらなんか社長にかなうはずないだろ?!あの人はマティネス学院の元パラディンだぞ」


カロリーネが吠える。


「面白い、一回パラディンという連中を殺してみたかったんだ」


頭領は何事もないかのような言い方で話を進行させた、カロリーネは焦った、このままでは連中に社長たちが殺される、何とかして止めなければと必死になったのだ。すると頭領はカロリーネのその焦った表情を見てニヤッと笑った。まるですべてを悟ったように理解した頭領はカロリーネに近づき屈んで顔を近づける。


「ここで最後のチャンスだ、連中と運命を共にしたくなく、かつ生命の保障をしてほしいならば鉤のありかを教えろ、大方この町に流れてきたような奴だ、お前もあいつら同様国に捨てられたかいられなくなったかどっちかだろ?ならあんな奴らに同情する心はないよなぁ?」


「ぐ・・・」


「お前は結構頭がいいんだろ?話せばそのあと殺されると思ってるからしゃべらない。だから命の保証はする、危害は与えん。さぁ話してみろ」


最後のチャンスだと言わんばかりに頭領は彼女ののど元にナイフを押し付ける、カロリーネは目を泳がせて考えているようだった。連中に尻尾を振るのがそれとも命を懸けて社長たちを守るか、どちらが利口な判断なのだろうか?考える時間がほしいがおそらくこの男は待ってはくれないだろう。頭領は顔は嗤ってはいるが相変わらず目が焦ってる、下手な返答が死をもたらすのは間違いないだろう。


「さぁ禊のお時間です、どうしますかお嬢さん」


頭領の最後となるであろう尋問が始まった。カロリーネは何か言いたげに口を動かすも言葉にならない。しかし自信のない顔から察するに自身の道理から外れたことを言おうとしているのだろう。


「わた・・・エります」


「なんだって?大きな声で言ってくれよ?」


「私は・・・仲間を・・・~ッ!」


頭領は喜んだ。その口調から発する言葉が正しければ正常に計画を勧めることが可能だ。若干時間がかかったが大方計画通りといえるあろうその口調に満足しナイフをしまった。その瞬間カロリーネの口が歪んで尋問に答えた。、先ほどと打って違って涙目で頭領を睨み勇気を振り絞っているようにも見える。頭領hが混乱して「は?」といった。カロリーネが何といったか理解できなかったのだ。


「もう裏切ってもどこにもあてはないし・・・社長を失望させたくない。鍵のありかは知りません!」


カロリーネは折れそうになった心に叛逆して頭領に笑って見せた。それはまるでお前の拷問なんて聞かないと言わんばかりの天邪鬼で独りよがりの満面の笑みであった。


「ふ~ん、そう」


冷酷に言い放つこのお頭と呼ばれる男、カロリーネは鍵を渡さずにずっと黙っているこの状況、完全に時間の無駄、そう頭領は考えた。彼は冷酷な男だ、自身お怒りを完封し計画の信仰を優先した。もう男にはカロリーネの生命の保証などどうでもよかった、それを体現するかのように再びナイフを取り出してカロリーネを抑えている男に渡す、男は意図を理解して頭領に対し頷いた。


「仕方ないな、別動隊を社長室に突入させろ、連中は丸腰の酔っ払いだできるだけ迅速にやれよ」


頭領の合図に屋根にいた男が走り出した、おソラクほかの屋根にいる仲間に伝えに行ったのだろう。


「社長以外にもローレさんはあれでも騎士団分隊長、あんたらなんかに負けるはずないでしょう!」


「30人相手でもか?あの部屋にそこまで詰め込まれたらまず言って無理だ。それに男を守って戦う人数のではないよなぁ?」


「負けない!絶対負けない!」


「そうだな、じゃなきゃ命かけた意味がないもんな、おい、こいつを殺せ」


「了解で」


「?、どうした」


頭領はなぜ男の声が途中で途切れたのか理解できなかった。しかしよく見ればその男は倒れて降り、代わりに一人の男がその立っていた。男は血の滴る槍を構えて頭領の前に佇んでいる、その顔はターゲットに酷似しており・・・。


「やっと動けました・・・晴馬のマテに従っているのはつらいですね、仲間を見捨てるような行為はなれません」


独り言のうるさい男は槍を強く光らせた。


「だ、誰だてめぇ!」


一人の盗賊がユッタに向かって叫ぶ、それを聞いてユッタは振り返り、敵意むき出しの歯を見せた笑顔を男に向ける、不気味で背筋が凍るような笑顔に盗賊は思わず身をすくめる。


「貴方に名乗るような名前はありません、しかし実力を見せつけることはできます。私の神髄である烈火のパラディンの能力、とくとご覧ください」


「離れろォォォ!」


頭領の大声があたりに響き渡るがそれもあの槍の熱量には叶わなかった、槍は奇声を上げるように変形して、氷点下を感じるような蒼い炎に身を包んだ。まるで樹木のように複数の枝のような鋭利な刃を多く備えて乱れる。槍の使い手は名手というには異質の才能を持ち合わせているのは間違いない。まるで歴戦の勇士のように、単身で王の狙うアサシンのように、精緻に大胆で残酷な動きを見せて盗賊達を蹂躙した。


ひっかきのための鎌のような刃で地面にたたき伏せて殺す。股から斬馬刀のような刃渡りの刃を使って二枚おろしにする。晴馬の腕は盗賊に動きを読まれぬように斬る仕草に複雑な構えを見せている。盗賊たち十桁殺された頃、頭領の声が響いた。


「俺のかわいい子分を殺すのはそこまでだ!」


頭領はカロリーネを抱きこんで首元にナイフを押し付けていた。ユッタはしまったと冷静になるも時既に遅い。


「今すぐその槍を下ろせ、さもないとこの娘の命はないぞ」


「社長、私は大丈夫ですから・・・」


カロリーネは絞り出すような声でそういった。


「くそ、こうなることは予想していたのに失態です」


槍は捨てられた、頭領の子分はそれを見てすぐさま槍を拾いに歩き出す。


「とでもいうと思ったんですか!」


そういったユッタは子分の腹を思いっきり蹴り上げて頭領に投げつけた。頭領は払いのけて視界をよくするために子分を両手でキャッチする。その時を見計らってカロリーネは逃げ出した。


「ち!余計なことを!俺の計画を狂わせやがってええええ!」


頭領はナイフを拾うとすぐさまカロリーネに投げつける。人質になら無いならば必要ないということだ。しかし、そんな冷酷な判断は一発の銃声で阻止されることとなった、ナイフは高い音を立てて宙を舞いそのまま落ちてしまったのだ。


「どういうことだ!?」


頭領は銃声のした方角へと視線を向けるとそれは鍵の空いた倉庫であった。先ほどまであけられていなかったのにも関わらず、すでに開いている。中に誰かいる証拠だ。


「お前ら、だれか中に入ったか?」


頭領は子分たちにそう問いかけた。


「いや、だれも入ってないですぜお頭」


一人が返答した。すると、もしや・・・。


「命中に難があり、私は扱えますかね?」


「大丈夫ですよ社長!装填はお任せください!」


再び銃声が聞こえる、それは少しづつ、確実に間隔が短くなっていた。倉庫の中に逃げ出したカロリーネの姿が倉庫に見受けられる。誰かに装填した銃を渡しそいつは子分の頭を弾いてる。倉庫から出て月明かりに照らされた男は、さっきまで槍を携帯していた男であった。


「さて皆さん、第二ラウンドに移行する前に一つ確認があります、キン〇マは撃ってほしくはありませんか?」


「や、野郎背中が!」


晴馬は背中中にベルトを張り巡らせ、フリントロックのマスケットを大量に装備していいた。片手には長身のマスケット、もう片手には拾ったグングニールを身に着けて大いに笑う。


「私は不公平が嫌いです、なので対等になるために槍で組み伏せて止めに撃ちますね」


盗賊達は逃げ出せなかった。マスケットの弾よりも早く足を動かす自信がなかったからだ。ただその場に立ち尽くし、地獄の第二ラウンドのスタートを体験するほか彼らに選択は残されていなかったのである。


「れでぃー、ごー!」

















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