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悪党のすすめ  作者: と
奴隷編
10/63

8 尋問

窮鼠猫を噛むとはよく言ったもので、僕もできる限りの抵抗を繰り広げてはみたんだけど、結果は惨敗だった。数という数、能力、そして筋骨、それらがどれ一つとしてかなわないのだから至極当然の話である。結局僕はその場で捕まり、その後連行されて兵舎に拉致される形となった。


「さて、聞きたいことはやまずみではあるが、それの中でも一番聞きたいことは、ここで何をやっていたかってことだ」


椅子に縛られ、身動き一つとれない僕に、そういいながら何度もこん棒で殴る。これはまさに拷問であるが、こんなものルッツの一撃に比べれば微塵の恐怖も感じない、まぁ、感じないだけで今回は激痛が走るから、できることならやめてほしいのだが。


「ふん、あくまで答えないつもりか、大した根性だよまったく、しかしながらそういうやつは長生きしずらいんだぜ?だからもう一度聞くぞぉ、仲間はどこだ?」


「いない」


再び頭部への鈍痛が走る、少し意識が遠のき、水をかけられ覚醒する。


「じゃじゃ、もう一つ聞いていいかい?何しに来たんだ?ここがどういうところかは分かったか?」


「…放火さ」


「おお、放火か、それはどうして?誰に言われてやったんだ?」


「誰にも言われてなんかいない。僕は復讐のためにやろうとしたんだ」


完全に視界を失い、勢いよく倒れる自らの椅子が倒れることを予測しきれず大きな音を立てて倒れた。


「だ~か~ら~、それは嘘だろって言ってんだろ?本当のことをはなっせよ」


「だから・・・本当なんだって」


「か~、骨が折れる、ラインハルト、お前どう思う?」


となりでただこの作業をずっと見ていた男、ラインハルトは、ん?といった後にこう続けた。


「おれは〈眼〉のパラディンだからこいつが嘘をついてるかはわからねぇ、だが、こいつの魂には感情抑制の魔法がかかっているのは〈視える〉、だからお前の拷問に耐えられるんじゃねぇのか?」


そう端的に語るラインハルトという男は続けて言う。


「でもまぁもうすぐ分隊長が来るからお前が焦ることはねぇよ、あの人は〈洗脳と読心〉のパラディンだ、この手のことなら敵はいない、特に秘密について答えさせるなら分隊長が一番得意とする方法だし、場合によっちゃそれ以上のことも聞ける、何より施錠の能力は逆に解除もできるから、こいつの魔法も解除できる」


「わかってるさラインハルト、でもま、わざわざ隊長の手をわず割らせることもないだろうと思ってやってるだけだ」


視界がよくなるにつれ、その男が門番であった男だということに気づき、ニヤッと笑った。


「なんだその目はぁ?なんか文句あるのかぁ?」


「いや・・・あんたよく見れば俺に服を貸してくれた門番だったなって」


かすれ声でそう言うと、気が抜けたような返事が返ってきた。自らが置かれた状況も分からないのかと少しあきれ気味だ。


「おうよ、俺はゲラルト、騎士団随一の剣豪にして分隊副隊長だ」


「そのセリフを聞いた途端、ラインハルトはぎょっとして、焦った顔で話し出した。


「お、おいなに騎士団のことを言ってんだよ?極秘事項だぞ?」


「問題ねぇって、こいつはどうせ虫の息、それに俺たちの行動を知っている以上は生かしてはおけないだろう?つまりこれは冥土の土産ってことだな、それにだどうせ隊長が来たって殺される」


「いや、しかし」


軍事施設だった。俺の予想通りであり、また俺の生存はもうはや絶望的であることも決定的だ。まぁ、これと言って問題ない。なぜならそれでも都合がいいから、そもそも生きるつもりなどもうとうにない、これで終わるならそれはそれだ、本気でそう思っている。これはあきらめの感情なのだろうかずいぶんと落ち着いたゆっくりとした感情が心を支配しているのがわかる。不思議と心地よいその感情は僕の表情を苦悶から少し和らげた。


「なんだぁ?その顔は、覚悟でも決まったっていうのか?そんな静かな顔をしているやつは初めてだぜ」


少し不気味そうにゲラルトは言った。興覚めなのかもしれない、あっけに足られたのかもしれない。一度席に着くとため息をついた。


「はん、拷問してもはかねぇし、もう殺しちまうかぁ」


「おい、それはよせ、分隊長の命令を守れよ」


ラインハルトは静かに指摘する。


「だってよぉ、こいつをどんなにいたぶっても全然苦しまねぇし、そもそも何の情報も得られてないじゃねぇか」


「何言ってるんだゲラルト、こいつが基地に放火をしようとしたことはすでに分かっているじゃないか、問題はだれに言われてやったかだ、そこをわかれば・・・」


「だからその情報がいまだ出てきてねぇだろう?もうこいつは用済みの方が絶対いいって」


「お前がへぼなだけだろ」


急に第三者の声がその議論に入ってきた。


「あ?なんか言ったか小僧」


途端ゲラルトの表情が再びこわばる。


「お前の拷問じゃ、僕は吐かないぞ」


ゲラルトは自分が座っていた椅子を思いっきり蹴飛ばし、斧を持つと怒鳴り込んできた。



「あ?なんだそりゃあ?俺のやり方じゃわかんねぇか?ああ!?足があるうちに話した方がいいんじゃねぇの!?」


「別に・・・おれはどうなってもいいんだよ」


「なら、もうその足はいらねぇよなぁ?」


男は青筋立てた剛腕に薪割り斧を持つと俺の足めがけて振り下ろす、がそれは同僚によって止められた。


「よせゲラルト!!今ここに回復のセージはいないんだぞ!?ここで死んでしまったら何も聞けなくなる!」


「うるせぇぇぇ!これはなぁ、こういういちいちかっこつけているやつを見るとむしょうにはらがたつんだよぉぉぉ!」


暴れる男を必死で抑えるも、なかなかにある馬鹿力か、振りほどくのも時間の問題だ。


「聞けよ脳筋、僕はこれでも一回死んでるんだよ、いや、ある意味二回死んでいるんだ、おまけにそれが原因で体も失ってしまった。この体は似ているようでまったく違う、僕の分身ですらない作り物、そんなものに何百回何千とムチを食らおうが、たたかれようが切られようが、僕には関係のない、まったく違うものにしか感じられないんだよ」


「何言ってるんだぁぁぁ!?俺じゃ効果なしってか!?俺をコケにしやがってぇぇ!」


振りかざした斧は容赦なく、この体に向け振りかざされた、だが、それは閃光のごとく一瞬でテントの外へ放り出された。一見ゲラルトがブーメランでも始めたのかと思ったが。人影が一つ増えたことから、それは第三者の行動だときづかされた。


「やれやれ、少し待っててって言ったのに、まったくもって心外だわ!」


マントを羽織った小柄の人が、二倍はあろうかというゲラルトの巨躯を片手で押さえつける。ゲラルトははじめ反発するが、やがて拘束さているのだと自覚した。


「ぶ、分隊長!いつからここに!?」


「そ れ よ り も !あなたはなぜこの男を殺そうとしたの!私そんなこと頼んでないかないよ!?教えて!?ラインハルト」


急意図せずに指名され一律不動で返答する。


「は、はい!それはこの男の口車に乗ってゲラルトが殺そうと・・・」


「なんですってー!ゲラルト!分隊の規律を乱したわねー!罰として今週の飯当番はあなたが仕切りなさい!」


「は、はい分隊長!」


ずいぶんと明るい女が来たもんだ、背も高くないしもしかしたら俺よりも年下かもしれない。だが、そんな人が果たしてあの大男どもをどうやって統率するというのだろうか?それを考えればこの女も決して只者ではないことは明白だ。


「さてと、次はあなたの番ね?あなた名前は?」


吉備津を返し今度はこちらに質問してきた。だがどうにも名乗れる名前などとうの昔になくしてしまい、今は何といえばいいやらわからないので、適当に返すほかない。


「ナナシノゴンベイ」


「そう、ナナシ・ゴンベイね?どこから来たの?」


「どこでもいいだろ?僕はどこからも規定なんだしな、この体の時点では」


「むか、いいから教えなさい!どうせ吐くことになるのよ!さぁ早く!」


「・・・」


ラインハルトが言いたいことがあるらしく、おずおずと話しかけてきた。


「いいか小僧、この人は(洗脳と読心〉のパラディンだ、お前がどんなに隠し事がうまくても、この人の前にかかればつつ抜けだ、恥ずかしいことがばれないうちに吐いた方が身のためだと思うけどね」


「余計なことは言わなくていいの!あなた出身は?!」


「わからん、まじで・・・日本?あれ?何で?」


「日本?聞いたこともない国ね、あなたは視たところ我々と同じユーギリア人であることは明白でしょ?ならそんな遠くの国の人とは思えないんだけど?」


「お前何を言っているんだ・・・僕が同じ人種なわけ、あぁ、そうか、そういわれれば確かの同じ肌で間違いない、だろ?」


とっさに口をふさぐがどうも間に合わない、先ほどから全く同じことをして抵抗しているのに無駄でしかないのだ。こうなれば手で口を押さえてしまおう。


「何のためにここへ?」


「放火?およ?」


「なぜ放火を?」


「それはこの世界の最後に俺の棺としてこの基地ごと死んでやると思ったんだが?・・・なんでだ?口が勝手に言いたくないことまで言いそうだぞ!?」


状況からして何をやっても答えてしまう、これはどうゆう心理トリックが働いているというのだろう。なんてことをしているんだ彼女は!まったく意味が分からないぞ!


ここまでの一連の流れは我ながら滑稽だ、自分ではどんなに言わないようにしていても、必ずと言っていいほどこの女の前では答えてしまう、それは条件反射に近い、日に手を近づけると手がぱっと離れるように、この女が言うのだから答える、そういうシステムのようなものが、この環境下で起きているのだ。わけもわからず、しかし現実に起きているこの現象は混乱を招き、僕の思考回路をめちゃくちゃにした。冷汗が止まらず、心臓はどんどん高鳴っていった。



ラインハルトはため息をつき、僕の疑問について説明するように言った。


「だから言ったろ、この人は読心ができるんだ、お前がどんなに抵抗しても、それはほとんど意味なく筒抜けになる、これがこの人のパラディンの能力だ、だからゲラルトみたいに拷問しなくてもこうやって勝手に会話ができちまう、まぁ、この人はもともとセージだから、この人は攻撃系の魔法はできないがな」


「な、なんだよさっきからパラディンって?いったい何言ってんだ?」


「あなたパラディンも知らないとかどこの田舎者よ?魔法の使える騎士のことを言うんでしょ?それで、あなたは放火は誰に頼まれてきたの?」


「だから、僕自身で決めてやったんだってば、それをこの大男、何も調べず疑いやがって、そのおかげでこのざまだ、っていうか魔法なんざ・・・この世界ではあるのか?」


「??、あら、あなた感情抑制の魔法がかかっているのね?そんなことをして拷問を耐えるなんて普通じゃないわね、あなたもしかしてパラディン?」


「いいや、ただのアウタースレーブだ」


「ん?今なんて?もう一度いってみなさい」


「アウタースレーブ」


「はぁぁ!?あなた契約書もないのにどうやって来たっていうのよ?!そもそも主人が死ぬまで一人にはなれないはずでしょう!?ラインハルト!」


「嘘っすね、契約の魔法がこいつにはかかっていない」


「この嘘つき!悪い子ね!」


そういうとまっすぐな蹴りを一発腹にもらう、鈍痛がもうマヒして何も感じなくなってきた。


「グハッ・・・嘘なわけねぇだろ?おれは正直に言っただろうが」


「そんなわけ・・・は!あれ!?わたしが質問したことって?!」


「いや待ってください分隊長!パラディンかどうか聞いただけづからそれ以外は何とでも言えます!」


「そうね、なら質問を変えるわ!あなたはアウタースレーブなの?」


「そうだよ」


このことは彼女たちをより一層混乱させていた・個人としてはただありのままの事実を伝えたはずなのkだが。彼女たちには信じられないことのオンパレードだった。


「おかしいわ!だって、あの世界では魔法は使えないはずでしょう!?なのにこの子は魔法を使って感情抑制しているってどういうこと!?、そもそも誓約書!あれはどこいあるっているの?!」


「いや、そんなことを言ったって、そうだゲパルド!お前門番のときに始めこいつを見たんだろう!?その時に何か見ていなかったのかよ?!誓約書とかそういうもんは!?」


「い、いや、だってこいつ全裸で来たんだぜぇ?!何も持っていなかったし、それ以前にアウターースレーブだったら体に刻まれた紋様があるはずだがこいつにはなかった、おそらく本当はアウタースレーブじゃないんじゃ・・・」


「じゃあなにかしら?私の魔法はポンコツだっていうの!?そんなわけないでしょ!!それにどう見たってあの子はユーゴラス人じゃない?!」


「い、いあや、そういうわけじゃ・・・、逃亡とか?例えば誰かに買われることなくどこかでにげたとかあるだろぉ?」


その時、みなが納得と疑惑の渦に巻き込まれた。


「それが有力か・・・?しかしそれならあの小僧は王位継承記念の人狩りの時に連れてこられた可能性が高い、もし過去のアウタースレーブだったらこんなに若くはないし、あうあたースレーブの子だったら赤ん坊の時点で、誓約書を主人が刻むことは間違いないしな」


「そうね、ラインハルトのゆうとおりだけど・・・じゃあこの子はセンター・アウタースレーブってところかしら?はだのいろや体格が近く見えるのはそのせい?」


「そうかもしれません分隊長ォ、こいつはぁほかのアウタースレーブと違って肌が白いし、体格は細いが骨がしっかりしてて俺たちそっくりでさ」


お互いで納得するまで議論していたところで、彼らはひとつの問題に立ちはだかったようだ。


「で、仮にこいつが逃亡奴隷だっていうんだったら、こいつは一体だれのものなんだ?」


もうだいぶ慣れたが僕がいつまでっても者として扱われるのは癪だ、いい加減俺はそういう存在ではないということを教えてやらねばならないようだ。


「なら僕は奴隷じゃないんじゃないのか?」


「「「は?」」」


なぜそんなに全否定されるんですかえねぇ、まったく損の通りだと思うんですけど。


「あなた自分で何言ってるかわかっているの?普通にあなた、自分で奴隷だって言ったじゃない」


「それは昔の話だ、いまは僕は普通の人間と扱われて当然じゃないのか?だって僕はその誓約書はないし、何より僕には主がいない、それはまごうことなき事実だよ」


「でもそんなの、だって、ねぇ?」


そう分隊長が言った。それは不思議がってというより何やら気味悪がっていた。それはこれから店員の見ている前で万引きをしようとしているようなものだ。そう、つまりは違法のように、ルールを犯しているように本人たちは認識しているようだ。


「あのな、アウタースレーブ、お前はどう考えているか知らんが、お前がほかの階級の人間になるのは不可能だ、それはお前が生まれたときから決まっていることなんだよ」


「ええ・・・そこまで言われるか普通、おれはただそんな可能性はあるんじゃないかと」


「あのね、アウタースレーブ、もう王国ができるずっと前からそういう世界なのよここは、あなたがいくら否定したところでその事実は変わらない、あなたがアウタースレーブ、である以上、それ以上もそれ以下もないのよ?もし仮にあなたが主人から解放された解放奴隷であったとしてもあなたはアウタースレーブとしてしか生きていけないの、ほかの生き方なんて存在しない、あなたがいくら財産を持っても商人や農民とは結婚はできない、これが当たり前なのよ?」




なにか諭すように言われるのがまた腹が立つが、こいつらが言いたいのはそれは当たり前のことだろう。と言いたいようだ。もうなんかだいぶ慣れたし、今回は割愛してこの後の始末を聞くほかない。こいつらの価値観は到底理解できないし、それは向こうにとっても一緒だ。うすうす感ずいてはいたが、やはりこの世界では僕はずっとこのままらしい。

居直り強盗、、今の僕にはそれが一番似合う言葉だということは僕にも分かった。もう自身でできることはない、これ以上やりたいこともない。だが、もともと死にたいことには変わらなかったのだからここでいいだろうと、心の中で思っているのだ。もう、どうでもいい、やりたいことはやった。あとはどうとでもしてくれと、心の中で思っているのだ。


「おお、こんなにふてぶてしい放火魔初めて見たぜ、どうします分隊長?どうせこいつ逃亡奴隷であることは変わりないですよ?もし仮に主人から解約された奴隷なら、例えば高額な資金を乗って自らを買い上げたとか、名のある剣闘士だったとか、貴族の従者として高い教養を受けたためだとか、そういうやつらが普通なるもんでしょう。それなのにこいつは発見当時は裸一貫でのこのことやってきた。どう考えても解放奴隷のなりではないでしょう。ここはひとつ、こいつの主が誰なのかを尋問するべきじゃないですか?」


分隊長はラインハルトの言葉をうなずきつつも、うーんとうなりながら考え事をしているようだった。


「まぁ、とりあえず聞いては視るけど、もし逃亡奴隷である証拠や、解放奴隷である証拠がなかったらどうしようか、こいつは結何者になるのかしら?どう処分すれば?」


「そんなん決まってますよぉ、分隊長ぉ」


ゲラルトはさも楽しみのように語りだす。その意見は、僕の将来をそのまま決定づける可能性を大いに秘めていた。


「略式処刑っすよぉ、たとえどんな身分であても、こいつが軍事施設に放火をしたのは変わりないんすからぁ罪人ってことで普通に侵入者を殺したって上に報告すればいいじゃないですかぁ」


まぁ、当然の結果である。今更助命する気もないし、どうなろうが知ったものではない。それこそ火あぶりでも貼り付けでも好きなようにしてくれ。


「ただ、そん時はお願いがあるんですけどぉ、俺にこいつの処刑の方法を考えさせてくれないですかぁ?」


「ええ、まぁ好きにするといいわゲラルト、では、尋問を再開するわ!でも今回は必ず有力な情報が必要だから、悪いけど感情抑制の魔法は解除させてもらうわね?それが原因で聞き出せてないなんてことが、万に一つあるかもしれないものね!」


こうして再び再開された尋問は、主に二つのことを聞かれた。一つ目は逃亡奴隷であるかについてである、これは本人たちを一番悩ませた質問であったことは想像するに値しない、なぜならその答えは「いいえ」のみで、それで尋問は終了してしまうのだ。当然である。これ以上の情報が手に入らない以上、そしてその情報が真実である以上は話にならないのだから。それ以外の言葉は一切出てこなかったのである。これは本人たちが自然に解放奴隷であると考えるのは当然であるが。結果は言わずもなが、シロであった。どれどころか、ある種彼らの質問は僕の重要なところを避けるような質問し化しないため、ついぞ自身の身分や体の転生については、触れられることはなかった。二つ目は自身が何者であったか、この場合元の世界では何をやっていたかという意味になる。僕は高校生をやっていたので、高校生、と答えたが、向こうにしてみればちんぷんかんぷんだ。


「うそでしょ、じゃあ、ほんとうにあなたは何者なのよ?解放されたわけでもない、かといって逃亡したわけでもない。そんな不安定な人間がどこにいるというのよ?しかもアウタースレーブである証拠の情は潤沢に出てくるし、本当頭痛になりそう」


分隊長は苦悶の顔でうつむく、これはもはや自身ではどうしようもない現象が起きていると自覚しているようだ。


「かといって上に報告しようにも何も報告できそうなことはないし、面倒な奴だな、お前は」


ラインハルトは皮肉交じりに言う。正直疲れたので早く終わらせてほしいものだが。


「まぁ、なんだっていいさ、なぁ、アウタースレーブ、お前は俺たちにとっては面倒みたいだし、罪人には変わりねぇ、だから俺が直々に処刑してやる、分隊長もそれでいいですね?」


半ば疲れたのか思考が回らず、分隊長もおおむね同意のようだ。


「そうね、尋問に失敗したなんて報告、分隊の規律を乱すわ、ここは一つ悪いけど、彼には死んでもらって記録には残らないでもらいましょう」


この日、僕の処刑が決定した。どうやらゲラルトが処刑法を現場で教えてくれるらしいが。今日はもう遅い、まぁ放火のする時間がすでに深夜だったから当然といえば当然ではあるが、翌朝に処刑が決定した。

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