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運命の分岐点  作者: 溝端翔
〇〇編
10/10

終-B

 朝のおもちゃ屋、まだ開店していないらしく、シャッターが閉まっている。

「そう言えば、開いてる所見たことないな...」

 彼はそう呟きながら関係者専用の入口に向かう。

「開いてないよな...多分」

 が、彼の心配は杞憂に終わる。

 恐る恐るドアノブを捻ると、侵入を歓迎してるように、力は拒まれること無くドアノブが回り、ドアが開く。

「よかった」

 中に入りあの扉を目指す。

 半分しか開かない、あの扉を。

 早く、しかし警戒しながら。

 辺りの音が聞こえない。そう思えるほど、彼の心臓は大きな音をたてていた。

 いつも警備をしている場所に出る。周りにはいつも通り子供のためのおもちゃが展示されている。

 人気なのか変わった梨の形のぬいぐるみは入荷待ちとなっていた。

 他にも納豆豆の形をしたぬいぐるみや、兜をかぶった猫...彼は疑問に思う。

「知ってるよ、そんなこと。今更、なんでおもちゃなんて...死ぬのかも、なんて」

 不安を笑い飛ばす。笑いを勇気に変える。

「待ってて」

 知っている。しかし初めて来るような感覚を覚えながら扉を目指す。

 扉の前。

 彼は静かに開ける。

 音のならないように。

 しかし、高い音が耳に刺さる。

 半分も開いていない扉をすり抜ける。

 いつものように服が引っかかり破れる。服の一部をドアに残し大きな穴が空いた。その事に彼はもう気づいていない。

「この奥、この奥に」

 足が浮いている。そう感じるほどに恐怖で震えている。

 足の震えを隠すように彼は前に進む。

 無音の道、未知の道を。恐怖に飲まれないようにしっかりと足をつけて。

 しばらく歩くと、幾つもの小さな扉と大きな扉が現れた。

 扉の上部は窓になっていて部屋の中が確認できた。

 防音になっているようで、中の音は何も聞こえなかった。

「女の子!?」

 扉の向こうには鎖でつながれた女の子がいた。

 扉を捻ったが開かない。中の女の子は恐怖に押しつぶされているようで、こちらを見ようともしなかった。

「待ってて、君も必ず助かるから」

 彼は扉の窓を覗いていく。

「いない、いない、いない、いない、いない」

 小さな扉の中に彼女はいなかった。

 残るは大きな扉一つだけ。

 恐る恐る扉を開ける。

 心臓が張り裂けそうになりながらも、運命に抗うために。

 鈍い音が響く。扉の向こうは大きな広い空間になっていた。

「◻︎◻︎さん!」

 見つける。ひどい姿の彼女を。

 椅子に縛られ、いたるところに傷を負った彼女の姿を。

「大丈夫!?助けに来たよ!逃げよう」

「◯◯さん...え!?◯◯さん!?どうして!?」

「これ」

 彼は携帯を取り出し、ストラップを見せる。

「あ、私の、もらったやつ」

「落ちてた、僕の仕事場に。これ、ここに売ってないから」

 そう言いながら彼は縄を解く。

「ここは??」

 自由になった彼女は服をぱんぱんと払いながら聞いた。

「んー、おもちゃ屋かな?表向きは?」

 周りにあったダンボール。その中には明らかに犯罪の香りが詰まっていた。

「逃げよう!!今のうちなら逃げられるかもしれない!!」

 彼は彼女の手を取り全速力で走る。扉。半分開いた扉の前。足が止まる。

 焦っているからか、扉の前で戸惑う。この隙間を通れば。

「◻︎◻︎さん!先に...」

 背後から声が聞こえる。

「てめぇ、何してる」

「社長!?」

 後ろには黒く重い。何かを彼に向けている、この会社の社長。誘拐犯が立っていた。

「お前、確か警備員のやつか。うちの商品どこに持ってくつもりだ??」

 誘拐犯は彼女を商品と呼んだ。

 どうする、どうする。

 彼は考える、そして彼女と誘拐犯の対角線上にたった。

「◻︎◻︎さん。逃げて、早く!」

「でも、」

「早く!!」

 彼女は逃げる。隙間の抜けて。彼破れたの服の破片が引っかかっていたおかげで、彼女は引っかからずに済む。

「良かった」

「ちっ」

 強烈な破裂音。

 耳が聞こえなくなる。

 次第に目も。

「あれ?なんか、お腹、熱い?濡れてる。」

 そこで彼の意識は途切れる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 気がつけばそこは見慣れない部屋。

 白い。ほぼすべてのものが白かった。

「死んだかな?」

 呟いた瞬間強烈な痛みが腹部を襲う。

「◯◯さん!!良かった!!生きてた!!」

 彼女が腹部にしがみついている。

「いったい!痛い痛い!!」

「あっ、ごめんなさい!私嬉しくって」

 僕は生きていた。腹を弾丸が貫いて尚生きていた。大した生命力だ。

「◯◯さんが警察呼んでくれたんですよね??ちょっと遅かったけど!ちょうどよかった!◯◯さんが死なずに済んだ!」

「もうちょっと早くき」

「だめ!文句言わないの!」

 腹部を撃たれたんだから文句くらい良いじゃないか。そう言ったけど、彼女は嬉しそうにだめだと言った。

 僕は幸せだった。

 撃たれて良かったかな?何て思った。

「私、◯◯さんが撃たれて良かったです。だってこうやって、逃げられずに抱きしめることできます!逃げるでしょ?◯◯さん」

 残酷に嬉しいことを彼女は言う。

「私、幸せだな。また好きな人に会える。私が好きになった人のかっこいい姿が見れた。私を助けてくれた。本当に幸せです」

「幸せか」

「はい!幸せです!!◯◯さんは私のヒーローです!」

 運命、変えられたかな。

「あのさ、もし良かったら」

「僕と」

「私と」

「「付き合って欲しい」です!」

 声が被る。

 被される?。

「ずるいです。◯◯さん。こんなタイミングで、断れるわけない」

「◻︎◻︎さんこそ。断れるわけないよ」

 2人で笑う。変えた運命で。幸せに。

「あ、あのさ、名前教えてくれない?下の名前。」

「えー知ってるじゃないですか!」

「彼女になった君の名前が知りたいの」

「...芽衣です」

「芽衣。可愛い名前。」

「◯◯の名前も教えて...」

「僕の名前は...」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 運命。

 なんてものがあるとすれば、それは自分が決めるものだ。

 変えるも変えないも自分次第。

 この物語の彼は、小さなものでも変えようとした。

 この潰れたストラップ。もし彼がつけていなければ、彼は死んでいたかもしれないね。

 俺のあげたストラップ1つで運命を変えた。

 君は運命を変えているか?

 自分の意思で決めているか??

 自分が幸せになるように考えるのは楽しいと思うよ。

 俺のようにね。

 運命をお買い求め下さり誠にありがとうございました。

 またのお買い上げ、お待ちしております。

 次はあなたの運命を。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。調子に乗ってあとがきを書こうかなと思います。

僕は小説を書くのが苦手です。とてもとても苦手でした。

しかし、ちょっと、投稿してみようかな?何か自分の中で変わるかもしれない。

何て思って投稿してみました。

自分の運命を変えたかったのかとしれないです。

結果は大きく変わりました。

とても変わりました。何が変わったか、1番は小説を書くことが好きになりました。

1番かな??

んー、わかんない、それよりももう一つ大きな大きなことが変わったのですが、それは秘密です。

僕の場合は河童のおかげですかね?(笑


運命って言うのは、誰かに決められるものでも、すでに決まっているものでもないと思います。

自分で命を運ぶ。

自分で決めるのです。好きな事も、嫌いな事も、好きな人も、嫌いな人も、好きな物も、嫌いなものも、人に決めてもらう人なんてそういないと思います。

僕は自分で決めた道を突き進みたい。

誰に何を言われても自分の運命は自分で決めたい。

後悔のないように。

この物語を読んで、1人でも、半人でも、自分を信じてみようって思う人がいてくださったら、僕は嬉しすぎて嬉しすぎて、多分、すごく嬉しくなると思います。

プロの方っぽくあとがき書いてみました(笑

最後に、本当にここまで読んでくださり、ありがとうございました。

また、よろしければ、他の作品で。

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