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World_Connection_Online  作者: 銭子
3章‐DEVELOPING
33/44

32nd-dungeon[3]

「さて、まずは一匹だ」


【招来符・子鬼】を発動、同時にゴブリンが1匹現れた。

相変わらずニヤけた表情を浮かべているあたりでトウガンは何処となく全幅の信頼をおけずにいるのだが、今まで召喚した中で命令に反抗したことは一度もないので、単にデザインの問題なのだろう。


「じゃ、俺は右の通路に行く。お前は左の通路に行って魔穴を見つけるんだ。いいか?」

「キッ!」


意図が通じたのか通じていないのか、ゴブリンは迷いなく頷いて走り出した。

トウガンは去っていくゴブリンの背を眺めていたが、丁度視界から消えたくらいで頭に妙な感覚が浮かび始めた。


「…これは、向こうのゴブリンの感覚か?」


トウガン自身は立ち止まっているが、頭の中には小走りで動いている感覚がある。これは召喚体であるゴブリンと感覚がリンクしているということになるだろう。

状況を統合して考えれば、召喚体はプレイヤーの視界にあるうちは独自のAIで動き、視界から消えると感覚をリンクさせることで半マニュアル制御として動くということだろうか。


「厄介な仕様だな。……というより、想像以上にキツいぞこれ」


頭に2人分の感覚があるというのは、やはり慣れない以上混乱する。

逆に、慣れてしまえば脳を分割して考えるような作業は得意だと自負するトウガンは、静かに集中して制御に没頭する。



まずはトウガン自身が動かず、ゴブリン1匹の制御に集中する。

前進するだけでなく、左折右折や棍棒を振らせてみたりもした。その制御にはそれほどの時間も掛からなかった。


次に、トウガンが動きながらのゴブリンの制御。

これには打って変わってかなりの時間を要した。ダンジョン攻略と並行して行っていたのだが、一瞬でも意識を外すとゴブリンは制御を離れて消滅してしまうのだ。

どれほどの時間をかけたのかといえば、具体的にはダンジョン内で1時間以上篭っていたことを運営が発見し強制退出させられた後、〈始まりの街〉から〈南の森〉まで移動して続けて5時間ほど篭っていたくらいだ。

だがその膨大な時間の成果として、何とか1匹の制御を安定させることができた。



「脳の神経が焼き切れそうだが………感覚は掴んだはずだ」


今は自宅兼研究所でぐったりと横になっていたトウガンは、小さくもはっきりした声でそう呟いた。





✽     ✽     ✽





あれから2週間ほど、つまりはイベント終了までの期間だが、トウガンはダンジョンに挑んではそこでゴブリンを複数体召喚する訓練をして、運営に強制送還を食らう日々を過ごした。

尤も、最後の方は運営も諦めたのか何時間トウガンが篭っていても強制送還させることは無くなったが。


その成果と言えば、それはとある掲示板を見るのが一番早いかもしれない。



―――――――――――――――――――――――――

【異世界】第二陣組参入記念イベント【ダンジョン】13


104.リリー

【速報】イベント終了と同時に、ランキング発表


105.カラカラ

まだやってたのかこの運ゲーイベント


106.リリー

そう言いながらカラカラさんずっといましたよねww


107.ユート

誰かランキング貼ってくれよ


108.カラカラ

>>107 言い出しっぺの法則というものがな…


109.ユート

カラカラさんこっち絡んできた…ヒィ

ま、ともかく仕方ないので貼っとくわ ほれ


===========

1 トウガン 0'58"

2 トウガン 1'23"

3 トウガン 1'56"

4 トウガン 1'59"

5 トウガン 2'05"

6 トウガン 2'08"

7 トウガン 2'11"

8 トウガン 2'19"

9 トウガン 2'24"

10 トウガン 2'32"

===========


110.カラカラ

…は?


111.リリー

…は?


112.アルゴハート

イベント終わったから盛り上がってるかと思ってきてみればなんだこれは…


113.カラカラ

え、コイツ何したの


114.ユート

さぁ?運ゲーと思われていたイベント、蓋を開けてみればランキングを独占するプレイヤーがいた


115.リリー

訳がわからないよ…

何か昔馴染みの名前と同じっていうのに妙な寒気を感じるのだけど気のせいよね?


116.ユート

>>115 リリーさん化け物の知り合いいたの?


117.リリー

>>116 化け物じみていたことは否定しないけど…いやまさか…


118.ユート

そういやコイツ、西のボスをソロ討伐したやつじゃなかったか?


119.カラカラ

>>118 あぁ道理で……とはならねぇだろオイ


―――――――(中略)―――――――――


256.カラカラ

このタイムの理由が分かった。召喚系のスキルを使って同時に攻略したんだな


257.ユート

>>256 なるほどその手が…って、それだったら誰かがやってるんじゃないのか


258.アリス

私も試したわよ


259.ユート

お、本職さんキタ


260.アリス

でも無理よ。このタイムってことは、最低4体は同時に召喚した上で並列して操っていることになる訳だけど、召喚体の操作って繊細なのよ。AIでの補助もあるけどそれはプレイヤーの視界に召喚体が入っている時だけ。そこから外れれば自力で操作しないといけないわ。


261.カラカラ

頭の中で命令する感じか。でもちょっと難しいかもしれないけど出来なくはないだろ?


262.アリス

>>261 あなたが自分の脳を5つに分割して別々のことを考えられると自信を持って言えるならその認識で間違いないわね


263.カラカラ

……


264.リリー

でも、別の線も思いつかないけどね…


265.ユート

つまりトウガンってのは俺らの知恵じゃ気付けない方法でダンジョンを高速クリアしたか


266.アリス

脳を並列して稼働できるロボットみたいな化け物ってことね


267.カラカラ

そんな技能持ってるならこんなイベントじゃなくて他のとこで使えよと…



――――――――――(中略)――――――――――――


392.ユート

あ、そういや余りの衝撃に忘れてた。11位以下の結果も貼っとくぞ


393.カラカラ

嫌な予感しかしねえ…


394.アルゴハート

安心しろ、俺もだ


395.ユート

デデドン


==============

11 トウガン 2'38"

12 トウガン 2'39"

|

~~~~~~~~~~~

|

97 リース  5'49"

98 トウガン 5'49"

99 リース  5'50"

100トウガン 5'56"

==============


396.アルゴハート

>>395 うわぁ…


397.リリー

>>395 独壇場じゃない…


398.アリス

意地で二桁にランクインしてるリースさんが健気ね…


399.カラカラ

むしろ真っ当なAGIで化け物相手によく善戦したと取ろうぜ…


400.カラカラ

てかこの場合ランキング報酬ってどうなるんだ?トウガン独占?


401.リリー

どうなんでしょう?流石に運営も同プレイヤーは一つのみとか制限掛けるような気もするけど


402.ユート

むしろ掛けなきゃまずいだろバランス的に…。この状況は運営の想定外だろうとは思うが


403.リリー

ネットの方でもこの話題で持ち切りね。しばらくは熱も冷めないでしょうね…


404.ユート

一躍有名人だなトウガン…。


405.カラカラ

>>404 主に運営泣かせとしてな


―――――――――――――――――――――――――――――――――




と、まぁ散々なものである。

ゴブリンの遠隔制御に熱心になるあまり、手段の目的化とでも言おうか、結果としてはイベントのランキングに異常を撒き散らすことになった。


そして肝心のゴブリンの遠隔制御だが、掲示板でのプレイヤーの推察通り、4匹までの同時操作を可能にしていた。5匹の制御が出来ないのは、それがトウガンの能力的に難しいのかと言えばそうではなく、単にMP不足で5匹同時展開が維持できないということだ。


トウガン曰く、「慣れれば、コツをつかめば、どうという事は無い」

これは、何をしたらそんな事になるのかと詰め寄ったキキョウに対して放った一言で、それを聞いた彼女が瞑目して大きな溜息をついたのも無理はないだろう。





✽     ✽     ✽





トウガンのマイホーム兼研究所。


イベント終了の2日後に当たる日この日に、イベント報酬がトウガンの手元に届いた。

『運営の想定を超えた事態が発生した為、イベント報酬の選考基準を一部変更させていただきました。これにより、本来予定していたあなたへの報酬の一部をお渡しできません。申し訳ありませんでした』という、簡素な文章を添えて。


当のトウガンとしてはイベント報酬には元々それほど執着もしておらず、そうなのか、とやや落胆の色が見えた程度だった。



ちなみに変更になったイベント報酬の選考基準とは当然ランキング報酬のことで、トウガンが得られるのは1位報酬のみ、次点で報酬を得るのは97位に滑り込みランクインしたリースで、100位以内報酬ということになる。

尚リースからは既にフレンドコールで、何て迷惑なことをしたんだとお叱りの言葉を頂戴済みである。



肝心のイベント報酬はというと、


1位報酬:【上位スキル枠】

タイム報酬:[上級HPポーション]

      [上級MPポーション]

      [蘇生石]

      [鳳雛の羽]

      [巨岩兵の心臓核]

      [大蛇の毒唾液]

      [地龍の外皮]

      [島亀の朱光甲]

      [連撃の腕輪]

      [無機殺しの剣]

      [光加護の紋章] etc...



「何か、俺には過ぎたアイテムの数々なんだが…」


豪華すぎるラインナップに、トウガンがようやく絞り出した言葉はそんなものだった。彼女は1分切りなどという途方もない記録を打ち立てているが、タイム報酬は10分切りから存在している。故に、個数に関しては1スタック―99個を軽くオーバーし、2スタック目に突入ししているアイテムもあるほどだ。


「ま、使わなさそうなアイテムならシエルとか希梗にでもやるか」


思考を一旦止め、逆に使えそうなアイテムの選別に入る。使える、というのは『合金制作に有用なアイテム』ということだ。報酬で入手した素材アイテムや装備アイテム、消費アイテムまで多種多様だが、逆に言えばその組み合わせも無数に存在することになる。

故にそこから求める合金を制作するのには、【合金知識】とインスピレーションに頼って『選り分ける』作業が必要になる。



数分間の黙考。トウガンは暫く瞑目して固まっていたが、やがてはっと目を見開いた。


「…そうか、これならいけるかもしれない」


自然と、口角がつり上がった。欲しかったおもちゃを手に入れた子供のような、無邪気な笑み。


「さて、早速作業に取り掛かるか。……この高揚が冷めちまう前に」


トウガンは小さく一人呟いた。

試験的に掲示板形式の部分を使ってみましたが、どうでしょうか?私は掲示板サイトには疎いので不自然なところがあると思いますが、ご容赦ください

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