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World_Connection_Online  作者: 銭子
3章‐DEVELOPING
32/44

31st-dungeon[2]

そんなことで、トウガンはイベント参加のために〈王都〉を離れて〈始まりの街〉に戻ってきた。

尚、両都市間の移動はどちらにもある〈転移門〉によって簡単に行える。



「しかし…、イベントの開催地がこことはな」


トウガンは目の前の風景に、無意識にそう呟いていた。



キキョウとの会話の後、トウガンは妹の言葉に従って公式サイトを確認すると、やはりイベントについての情報が載せられていた。


開催地は〈始まりの街〉北方の城で行われるらしい。


北方の城―――それは、《WCO》サービス開始前の公式サイトのスクリーンショットで最も注目された施設だった。

それというのは、この城の異名――《混沌城》というものに全て現れている。

西洋の宮殿を思わせる下部構造と、優美な天守閣を備える上部構造という外観で全プレイヤーの度肝を抜いたというまさに《WCO》を代表するような建築物。


しかし今まではNPCの門番によって門前払いされ、中に入ることは叶わなかったのだが、このイベントによって内部が初お目見えといくらしい。



「ま、眺めてても始まらないしな。入ろう」


そう呟くと、トウガンは城内に入っていった。




中の様子は、どちらかといえば日本の城郭に近い構造だった。梁や柱が大理石と思われる真っ白な石だったのは流石《WCO》スタッフだと言わざるを得ないが。


トウガンはNPCによって城の中でもひときわ大きな部屋に誘導され、今回のイベントについて説明を受けた。


掻い摘んで言えば、以下の通りだ。



〈始まりの街〉を統治する侯爵の城――つまりは《混沌城》だが――に、突如異世界ダンジョンに繋がるゲートが出現した。

すぐさま侯爵が出した斥候によると、内部に魔物など生命はいないようだが、未だ不活性状態の《魔穴》があり、それが活動を開始すればダンジョン内部は魔物で溢れかえり、ゲートを通してこの城にも魔物が現れて大惨事となると予想された。

よって自身の腕に覚えのあった侯爵自らが自慢の家臣団を率いて《魔穴》を壊そうとゲート内部に突入するも、ダンジョンの構造は侯爵の想定を超えて複雑で、帰って来れなくなってしまう。

これは一大事と驚いた大臣は、冒険者が多く集う市井より有志を募り、ダンジョン捜索を依頼するのだった―――。





「ま、在り来りな設定だな」


トウガンの感想といえば、苦笑を交えたそんなものだった。



兎も角、イベントクリア条件としては2つ。

侯爵及びその家臣団を救出することと、ダンジョンを無力化することだ。


説明にあった《魔穴》とは、ゲーム的に言えば『破壊可能なポップ地点』ということだ。現在は不活性状態ということで敵mobがポップすることはないが、その《魔穴》がダンジョン内に計5つある。それを壊せばダンジョンを無力化したことになり、ゲートも消えるらしい。


ミニマップが視界の右上に表示されるらしいが、この5ヶ所及び侯爵の所在は表示されない。

つまり、自力でダンジョンを踏破しつつそれらを見つけることが必要になる。





「…ま、うだうだ考える前にまずはサクッと挑んでみるか」


城内のゲートをくぐると、一瞬のエレベータに乗ったときのような浮遊感のあと、洞窟のようなところに移動していた。松明のような人工光源は無いが、紫色に淡く光る水晶のようなものが通路の壁から露出していて、視界にさほど不自由はなかった。


「さて、行くぞーっと」


トウガンはそう呟いて自身を鼓舞したあと、思い切り地面を蹴って駆け出した。





✽     ✽     ✽





結果、5ヶ所の《魔穴》と侯爵たちを見つけ出すのにかかった時間は10分程度だった。


「これが良い方なのかは分からないが……、闇雲に探す以上運の要素がかなりデカイなこりゃ」


トウガンは苦々しげに呟く。



探索してみると、ダンジョン内部は網目状にかなり複雑に広がっていて、少しの探索では大した成果も上がらなかった。しらみつぶしにダンジョンを進んでいって、やっと見つけたというのがトウガンの感覚だ。

またミニマップが見えているので、ある程度は効率的にルートは選べたものの、あとはやはりどの位置に《魔穴》が出現するかという運に身を委ねるしか無さそうだった。



「結局できることは歩き回るだけか…。スキルの使用は制限されてないんだし、何か有用なモンがあればいいが……」


うんうんと暫く唸っていると、


「あ」


閃いた。

トウガンの持つ、スキル【招来符・子鬼】の存在に。



「そうか…ポップ地点の破壊ならゴブリン共でも出来る。ならうまく操作すれば時間も単純計算で半分になるか」

続いてトウガンはそれが実践可能かを考察していく。


「問題はゴブリンの制御がどれほど遠くまで、どれだけ精密に出来るかってことだな。あとは同時に何体のゴブリンまで操れるか…。MPが持つかどうかも問題だからその辺は折り合いをつけないとな」


【招来符】による召喚体の生成は、【符生成】の時にMPを必要とするのみで、【招来符】の発動自体にMPを消費しないというのが特徴だ。他の召喚(サモン)系ジョブでは召喚体を生成する際にMPを必要とするので、同時に出せる召喚体の数は限られる。


しかし逆に【招来符】のデメリットもある。というのは、召喚体を維持するのにMPが消費されるのだ。

そういう訳で、結局のところ【招来符】を用いても無限に召喚体を用意できるという訳でもない。むしろ数を出せば出すほど【招来符】のコストパフォーマンスは召喚(サモン)系ジョブに劣っていく。




「ま、ここで色々考察しても結局机上の空論だしな…。まずは検証してみないと始まらない、か」


ポンと膝を打ち鳴らし、呟いたトウガンの顔はまさに科学者のそれだった。


「合金作りからは段々かけ離れていってる気がするが。……気分転換だ、気分転換」


最後にポロリとこぼしたのは、何かを振り払う自己暗示のようだった。

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