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World_Connection_Online  作者: 銭子
3章‐DEVELOPING
31/44

30th-dungeon[1]

「やー、やっぱ戦闘してると時間って滅茶苦茶早く過ぎちゃってさー。お姉ちゃんから来てた連絡にも全然気付かなかったよ」


広場に着いて開口一番、キキョウはそう口にした。


「まぁお前のことだしそんなとこだろうと思ってたけどな」

「わー凄い信頼だね!流石お姉ちゃん」

「…お姉ちゃんってなんだよ」


はぁ、と呆れたようにため息をつきながら、トウガンは妹の発言を追求した。


「まぁ傍目には女の子に見えるわけだし?というかアタシお兄ちゃんも好きだけどお姉ちゃんも欲しかったんだよねー」

「都合が良かったとか言うなよ?」

「都合が最高」

「更にランクが上だと!?」


トウガンは遂に堪えきれなくなり声を荒げると、キキョウは『にへら』とはにかんだ。


「でも何だかんだでお兄ちゃんと《WCO》で話したのってこれが初めてだよね?」

「あ…それもそうだな。でも、お前の話は聞いたぞ。何やら『最強』サンと肩を並べてるらしいな」

「ん、シエル姉から聞いたの?参ったなー」


キキョウはそう言いながら満更でもなさそうに後ろ頭を掻いた。しかしすぐに苦笑を浮かべ、


「あ、でもアルトリアと肩を並べるなんて滅相もないよ。アタシなんてアルトリアのお零れに預かってるだけだからね」

「そうなのか?」

「そりゃね…。アタシ一人で《ゴーレム》を倒そうものなら、アルトリアの3倍は時間がかかると見積もらなきゃ」


その言葉には、隠しきれないアルトリアへの羨望が見えた。


「……っと、そうだ。元の目的を見失うとこだった」

「あ、金属鉱石だったね。めぼしいトコはシエル姉とかスクードさんが渡したと思うから……じゃあこの辺かな?」


そう言いながら、キキョウはウィンドウを操作して鉱石をリストアップした画面を可視化させた。トウガンが覗き込むと、



――――――――――――

アメジストクオーツ*20

カーネリアン*10

オニキスクオーツ*15

ブラッドストーン*25

ルチルクオーツ*10

ローズクオーツ*15

――――――――――――




「また全然違うラインナップだなこれは…」

「こいつらは全部レアドロップだからね。設定では《ゴーレム》って水晶をコアにして動いてるらしくてさ、だからこういう水晶をドロップするみたいだよ」

「ほー……流石は討伐者本人ってとこか」

「やめてよー」


頬に手を当てながら器用に体をくねらせて恥じらうポーズをとる。

しかし『にへら』と臆面もなく笑っているせいで、肝心の恥じらってる感はトウガンには全く見えてこなかったが。



「ま、今日持ってきたのはウチの専属《錬金術師》が必要ないって言ってたのばっかりだから、遠慮しなくていいよ」

「そうか?じゃあありがたく。代わりにといっちゃアレだけど、トレードはこれで勘弁してくれ」


そう言ってトウガンが手渡したのは[活力水]。本数にして20本で、これはシエルにもスクードにも同じ数渡してある。


「え、これいいの?コレ、今市場じゃめちゃくちゃ高騰してるんだよ?」

「そうなのか?俺はヒグマにしか卸してないしな…」

「じゃあ、転売屋だね。次から次に転売屋の元を動いていくせいで値段がバカみたいに上がっちゃったのかな」

「製品の性能以上に、か……。ヒグマがキレる訳だそりゃ」


商人として製品を適正に扱うことに誇りをかけているようなヒグマにとっては、この転売の動きは迷惑なことだ。ヒグマの店で買えば安く手に入るものの、それを知らずに高騰した商品を手に取ってしまう客がいることにも憤っているのだろう、とトウガンは今更ながらに悟る。



「それに、今は《調薬師》の連合が躍起になって[活力水]を作ろうとしてるみたいだよ。難航してるとは聞いてるけどね」

「《科学者》に出来て自分たちに出来ないことはない、ってことかね…。つくづくコイツの認識は地雷職なんだな」


キキョウの言葉に思わず苦笑を零す。やはり長い時間で定着した考え方というのは簡単には覆らないらしい。




「ともかくありがとね。……それでお兄ちゃん、金属鉱石で何するつもりなの?」

「あぁ、それがな……」


トウガンが今までの流れを一通り説明すると、キキョウはもっともらしく腕を組んだ。


「ふーん……。厄介そうなことだね」

「ま、こっちとしても今は手詰まり状態だ。正直、気が滅入ってるな」


そう自嘲するトウガン。それを見たキキョウは、大げさに手を『ポン』と鳴らした。


「専門的な事は分かんないけど、もしモチベーション下がってるなら良い息抜きがあるよ!」

「息抜き?」


トウガンが怪訝な目を向けると、キキョウは更に目を輝かせた。


「そう!ホラ、今はイベントやってるじゃない」

「……やってるのか?」

「…お兄ちゃん、公式サイトくらい覗こうよ。てか時々運営から通知来るでしょうに」

「お、おうすまん」


トウガンは突然の妹の呆れた口調にたじろぎながらも、言葉を続ける。


「で、何なんだそのイベントってのは」

「んー、簡単に言えばダンジョン踏破系なのかな?敵は出てこないんだけど、アリの巣みたいに広がったダンジョンの攻略速度を競うんだよ」



希梗の話をまとめると、そのイベントというのは専用のダンジョン内各地にあるチェックポイントを回り、最終ポイントに至るまでのタイムアタックのようなもので、ゴールタイムに応じた景品が出る他、イベント終了後のランキング上位者にも同じく専用の景品があるらしい。


「このイベントは第2陣組の《WCO》参入記念だからねー。第1陣組が一方的に有利になるイベントにならないように作られてるね」

「あーだから所謂『討伐系』イベントじゃないんだな」

「今回のイベントも結局AGIの関係で第1陣組が有利ではあるんだけどね。でも、単純にダンジョンを踏破するならプレイヤースキルでいくらでも引っ繰り返せる範囲だね」


「…よし、なら俺も行ってきてみるか。こっちも随分と長く研究所に篭ってたからな、久々に体動かしてくる」

「…………お兄ちゃん、頼むからニートとかなんないでよ。ゲームをするために引き篭る人は聞いたことあるけどゲームの中で引き篭るなんて前代未聞だからね」

「ならねぇよ!?」

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