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World_Connection_Online  作者: 銭子
1章―BEGINING―
11/44

11th-Chance

夜が明けた頃、トウガンは再びログインしていた。その直後にメニューから時間を見ると、6:30を示していた。窓から外を見ると太陽が昇り始めており、うっすらと白んでいた。


「じゃあ、早速コイツを試していきますか」


トウガンは火薬を手に取り、呟く。そして足早に研究所の外へ出た。




✽     ✽     ✽




彼女は、街に足を踏み入れた瞬間、なんとなく違和感を持った。

通る人通る人、皆浮き足立っているというか、落ち着きがないように感じたのだ。


「なんだ…?誰かに聞いてみるか」

そう呟いて、彼女はすれ違ったプレイヤーを呼び止めた。


「…え?なんで盛り上がってるのかって?アンタ、情報遅いな」

「生憎と、部屋から一歩も出ずに生産作業に勤しんでたもんでな」

「…わざわざゲームの中でまでヒキニートするって変わってんな」

「ほっとけ」


ずれかけてきた話題を一言入れて軌道修正。


「あぁそれで、盛り上がってる理由だったか。何でも、ついにボスが1体倒されたんだと」

「…へぇ、早いな」

「だろう?まぁ、βテストでは最強プレイヤーだったアルトリアの率いるパーティだからな。やってくれるとは思ってたぜ!」

「そういうことか、ありがとな」


段々と語り口調に熱を帯びてきたプレイヤーAのもとから離れ、進路を街の南側へ定める。



―――好機だ。


トウガンは直感していた。

ボスを倒したプレイヤーが現れたのなら、そのパーティメンバーによってボス戦の『How to』がwikiなどを通じて他のプレイヤーに伝わるのも時間の問題だ。

そして、その情報を頼りに、ボス戦に向けていくつものパーティが装備を整えるのも、然り。

目に見えている。


「なら、コイツの需要もある程度は期待できるかな」


右手に握った[火薬]に、トウガンは目を向けた。


「性能試験を、急ぐか」


呟いて、未だ訪れたことのなかった〈南の森〉へ駆け出した。





✽     ✽     ✽






「……見つけた」


〈南の森〉を歩くトウガンの目の前には、非好戦的(ノンアクティブ)mobの〈ジンメンジュ〉がいた。

プレイヤーから攻撃をしなければ戦闘にならないこのタイプのmob、プレイヤーの初撃をノーガードで受けてくれるので、今のトウガンにとっては格好の獲物だった。


トウガンはすっと火薬を構える。投擲の心得などないので、構えは素人のそれだ。だが、どんな投げ方でもかなり近い位置での投擲だ。外す方が難しい。


ドン!


小爆発、と呼ぶにふさわしいであろう程度の音が響き、ジンメンジュの幹が大きくえぐれた。


「!!!!????」


声とも音とも取れない響きがジンメンジュの口(に見える辺り)から溢れ出た。HPゲージは1回の爆発で半分と少しだけ削れていた。怒り出して攻撃を繰り出そうとするジンメンジュの先手をとり、もう一発の火薬を投げると、ジンメンジュは沈黙と共にポリゴンと化した。


「ふむ…試作品としては及第点、か?」

トウガンは結果を元に考察する。ジンメンジュが、初期の雑魚mobの中では破格の防御力を持つことは聞いていたので、一応満足いく結果を得られた、と思っていた。


だが、ここで浮上するのが魔法の存在だ。


消費型の攻撃アイテムとの比較は、過去の様々なゲームでなされてきたが、たいていの場合魔法に軍配が上がっていたと思われる。

射程は、明らかに魔法の方が上。魔法にMPという上限があるのと同様に、こちらにも個数という限度がある。そして、MPは回復できるが、個数の回復にはお金がかかるのだ。


「やっぱこのゲームでもアイテム攻撃は敬遠される、のかな」


一抹の寂しさから、トウガンは無意識に呟いた。


しかし、攻撃アイテムにはそれの良さがある。

固定ダメージである、という点だ。


〈陰陽師〉や〈盗賊(シーフ)〉のように、常に攻撃力不足に悩ませられるジョブは一定数存在する。そういった攻撃力の低さに影響されない『固定ダメージ』には、魅力を感じる。


「そういえば、高校生の夏休みも近いな。……新規プレイヤーも増えるし、初心者に少し安めに売ればうまく稼げる気もする」


時折、独り呟きながら、トウガンは更に考察を加えていく。

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