そして僕は105円を握りしめてここで立っているわけだが
アダムスキー円盤にワクワクした頃が懐かしい。
コンビニの前である。
電車の乗り換えに20分近くあったため、駅を出てコンビニで小腹を満たすため唐揚げ串を買おうと思っている。
で、105円を財布から取り出したわけであるが、ちょっとした問題が発生した。
なぜコンビニの駐車スペースにアダムスキー型空飛ぶ円盤が停まっているのだろうか。
ていうか、これ本物?
行き交う人がこれに興味を示さないのもそれも気になった。おい、ビックリするだろ普通。
人々は平然とコンビニに入っていくのである。
これって変じゃないだろうか?
いやいや、ここではこれが当たり前の風景なのだ。
この商店街はアダムスキー型円盤に乗った金星人も立ち寄る人気の場所なのだ。
……ないない。絶対ない。有り得ない。
そんなSF設定な日常が繰り返されている商店街があったら、既にテレビで取り上げられているだろ。
あ。もしかして。
金髪の男女が店から出てきた。一見北欧風の金髪外国人の男女(20歳ぐらいか)がソフトクリームを舐めながら円盤に近づいてきた。
そして凝視する僕と目が合った。
「ども」金星人の男性の方がきれいなな日本語で挨拶してきた。
「あ、どうも」僕も思わず会釈した。「あの、これって空飛ぶ円盤ですか?」
「あ、いいえ。違います」
「そうですよね。改造車か何かですか?」
「いいえ。タイムマシンです」
「え?」
気がつくと二人は既に円盤に乗り込んでいた。
「ちょ、ちょっと待って…」
僕の声は届かず、円盤は光りに包まれてパッと消えた。
えーと。どういう事?タイムマシン?
以降このコンビニに訪れる機会があったが、二度と出会うことはなかった。
だがどうしても真実が知りたくて後日コンビニ店員に聞いたことがある。
すると、こんな回答が返って来た。
「タイムマシンなんて珍しくないですよね」
こいつ、誰だ?
コンビニの前にはいろんな人間がいる。ヤンキーだけでなく。
宇宙人がいてもいいかもね。で、店員の正体は?ってさあねえ?