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百聞だけで済ますんじゃねぇ。  作者: さんまぐ


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8/18

第8話 忘年会の怪談。

年の瀬、忘年会シーズン。

今年も残すところ後10日というところになり、小規模グループで狭山家に集まり、ホームパーティを催した。

夏前の結婚式から散々だった。

それを来年に持ち越さず、今年に捨ててしまう気持ちでホームパーティをした。


メンバーは狭山夫婦に渡辺咲良と宮田蓮、バランスを取る為というか、狭山和美が気にして佐野結衣と鈴木海斗を呼び、最後に雨空晴を呼んだ。


人数的に雨空晴を呼ぶのは無理があったが、電話だけでは今後会いにくくなると心配した狭山和美が言い出してきてもらう。


少し手狭だが穏やかな会。

皆楽しそうにしている。

軽く問題があれば、鈴木海斗と佐野結衣は「ラブラブを見せつけやがって」、「いいなー!」と不満タラタラにビールを煽ることくらい。


雨空晴は「男?いらね。とりあえず職場で中堅になるまで恋愛とか無理」と言っていて、それ以外だと、渡辺咲良には「よかったよ続いてくれてて。安心した」と姉御肌なところを見せ、狭山夫婦にも「ほんと、一生の思い出を台無しにしてごめん」と謝っていた。


面倒見のいい性格と責任感の強さが雨空晴の魅力の一つで、穏やかに会は進んでいく。


狭山夫婦もそうだが、皆が会話を選ぶ中、宮田蓮だけはその事に気付かずに、雨空晴に「雨空は今日は穏やかで安心したよ」と言ってしまう。


「あ?」と苛立つ声を出した雨空晴は、「アタシは関係ないだろ?あのウンチクンが居なきゃアタシは穏やかだっつーの」と言ってハイボールを飲む。


こうなると、場を和ませる為に鈴木海斗が「いや、本当だって。雨空さんは悪くないって」と口を挟み、佐野結衣が「悪いのは田村君だから、今日だって居ないだけでこんなに平和なんだし」とフォローを入れる。


やめておけばいいのに、ここで話題は田村大地になる。

いつからあの性格なのか、それは中学からで、昔から変わっていないどころか、年々悪化しているとなる。


狭山和美が「最近は連絡減ったよね」と夫の狭山寛容に言うと、横で聞いている佐野結衣と鈴木海斗は顔を暗くして、「うん…。そうだよね」、「あー…、寛容と和美さんは知らないか…」と言った。



田村大地は12月いっぱいでリストラされる事が決まっていた。

話が出たのは10月で、最初はごく普通の雑談でリストラの話になる。


ついつい珍しい話なので、田村大地相手なのに「それでそれで」と相槌を打ってしまうと、田村大地は話題の中心になれた事が嬉しくて、近況報告で飲み会を催してしまうし、鈴木海斗達もそれには参加してしまう。


聞いていくと、最初は余裕だった田村大地も、残った有給休暇を使って就活をするが鳴かず飛ばずで、箸にも棒にも当たらない。


12月になると人相まで変わってしまった話になる。


鈴木海斗と佐野結衣が田村大地から聞いた話を統合して、独自解釈も足して話をする。


事務職は別に簡単でも楽でもない。

繁忙期もあれば、やる事も覚える事も沢山ある。

キチンと責任のある仕事だ。

税制が変わったり、法制が変わったりすれば覚え直す事も多いし、資格だって取る事で受け持てる仕事に幅ができて増える。


だが田村大地は「どうせ新しく覚えてもまた変わります」と言って覚える事を拒否し、資格にしてもわざとなのか、本心からなのか三級に意味がないと言って、いきなり二級や一級を受けて落ち続けていた。

その結果、給与面は8年目、でも仕事的には3年目や4年目と変わらない田村大地はリストラに組み込まれる。


しかも上司達も嫌味満載なのか本心なのかはわからないが、「田村はなんでも知っていて、なんでも簡単そうに言うから、ウチである必要はないよな」と言っていて、残留したいと強い意思表示もしなかった田村大地は、そのまま追い出される事になった。

退職金と最後のボーナスで妙に気が大きくなり、「後で吠え面をかくなよ」という気持ちで勤め先から放り出される事になった田村大地は、もうあと数日もすると職場から追い出されてしまう。


なんとも酒の不味くなる話に、狭山寛容は「あー…、和美、聞かなかった事にするし、近づくのやめよう。巻き込まれたら愚痴聞かされて、仕事探せって言われる」と漏らすと、狭山和美は「本当だね。紹介しても問題を起こしてほしくないし、チェンジとか言われたくないね」と答えている。


宮田蓮は「え…、そんな人いるの?」とドン引きすると、雨空晴が「いるんだよ。だからアタシがキレてぶん殴ったんだろ?」と言った。


改めて田村大地は危険となり、雨空晴が「ならなんでツルんでるんだ?」と狭山和美に質問をする。


狭山和美の回答は、古い知り合いで、田村大地だけを切り捨てることは、ここまで来ると無理で、それをするなら自分がそのコミュニティを抜ける事になる覚悟が必要で、結婚や転勤なんかが丁度いいと説明した。



引き顔で「ウザ」と言ってサラダを口に運ぶ雨空晴を見ながら、佐野結衣は顔を暗くする。


「あれ?和美知らない?去年新潟に転勤になった高尾君、この前のシルバーウィークに田村君が遊びに行って、ずっと酒蔵とか漁港とか海水浴場側のご飯屋さんに案内させられていたって」


佐野結衣がそんな事を言い、鈴木海斗が「転勤も場所によってはアウトなんだよ」と怖い声で言っていた。

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