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海の覇者  作者: リック
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第5話 決意と名付け

タグの『ハーレム』を『ハーレム予定』に変更しました。

このまま進むとハーレム要素はまだ先になりそうです。楽しみにしていた方がいましたら申し訳ございません。この後絶対にハーレムはやって来て甘々のトロトロで、もしかしたらグチョグチョになる可能性があります。そうなった場合はノクターンの方に移ろうと考えております。


朝日が瞼越しに感じたため布団の中でゆっくりと意識が覚醒されていく。


(ああ、やっぱりあれは夢だったんだ。だが一体いつ布団に入ったのだろう?無意識に入ったのだろうか?てかこの布団こんなフカフカだったっけ?)


そう思いながら寝返りを打つと


≪おはようございます。よく眠れましたか?≫


そんな声が枕元から聞こえたため、まどろんでいた意識をフルスロットルで覚醒させ目を開ける。


「ギャー!目がー!」


目が覚めて一番初めに見るのが直接の太陽なのはきつい。目の前が真っ白となりチカチカする。

目が回復したので体を起こして周りを見渡すと、八帖くらいの広さで、正面に机と椅子、壁に大きな液晶テレビが設置されその右横には出入り口であろう扉がある。

右方向を見ると二つの扉とクローゼットらしき折れ戸があった。

後方は丸窓がついており雲一つない青空と太陽が見える。実に眩しい。

左方向、ベットが接している壁には小さなガラスが張られており中には自然環境を小さく模したテラリウムがあった。


(夢ではなく現実か。やっぱり自分は転移もしくは転生でもしたのだろうか?)


そう考えていると


≪あの、大丈夫でしょうか?≫


そう声を掛けられ、思考を中断して、返事をする。


「あぁ、おはよう、ごめん大丈夫だよ」


≪無理はしないでください、そのお身体ではまだ免疫などが弱いのですぐに体調を崩してしまいますよ≫


そう忠告をされ


「あぁ、気を付けるよ」


そう答えベットから出ると、裸のままだったことを思い出す。


「ねぇ、何か着るものはない?」


≪申し訳ございません。今現在何かしらの着るものはこの艦には無く、あるのはシーツや毛布、タオルといった物しかございません≫


なんと着るものが無いとな?それはまずい。


(最低でも下着は欲しい、もしこれが癖になったらどうしよう)


なんてことを考えているとお腹からキュルルルと可愛らしい音が聴こえた。


「そういえば昨日の夜は何も食べずに寝たんだっけ」


空腹なのが分かると余計にお腹が空いてくる。昨日から体に巻いていたブランケットと端末を持ち、ペタペタと歩きながら再びブランケットを体に巻き部屋を出て食堂を目指す。歩きながらAIに尋ねる


「ねぇねぇ、あの部屋にあった二つの扉って何?」


≪はい。あれはトイレと浴場になっております。またご主人様の部屋は艦長と司令長官両方の部屋を兼ね備えた、この艦に存在するすべての部屋の中で最上級の部屋となっております≫


とんでもないことを言ってきたので聞いてみる。


「兼ね備えているのはいいんだけど。最上級の部屋だとして、もし来賓とかが泊まるとなったら部屋はどうなの?」


≪戦艦に来賓が来て泊まるような事は無いと思いますが。もし泊まられるなら二番目に良い部屋になります≫


「いいのか?」


≪いいのです。ご主人様が私の一番ですから≫


そんなことを話していたら食堂に到着した。


「さて、何があるのかな~」


厨房に入り、そこらへんにあった台を持ってきて上り、冷蔵庫を開け食材を確認する。


「いろいろあるなー」


中には、穀物、肉、野菜、海鮮系など様々な食材が入っており、調味料もあるようで当分は食料に困らなそうだ。


「これでいっか」


取り出したのは。卵、パン、マヨネーズ、ケチャップ

それで出来上がったものは、焼いたパンに、両面を焼いた目玉焼きをのせ、マヨネーズ、ケチャップをただかけたのものが出来上がった。ようはラ〇ュタパンである。


「いただきまーす」


コップに牛乳を入れ、手を合わせ食べ始める。


十分後


「ごちそうさまでした」


朝食終了。

食器を洗い、食堂の席に戻って腕を組んで自分のこれからについて考える。


(さて、ここはもう夢の世界ではなく現実のものだろう。おそらく自分は転生か転移かは分からないけど異世界に来たんだろう。戻る方法もわからん。あるのかすらもわからないけど。親戚も友達もいないし、病院は…まぁええやろ。少々罪悪感が湧くけど最近居心地が悪かったからな、自分が居なくなっても何とかするでしょ。それに元の世界に戻りたい気持ちは…特に戻りたいという感情、気持ちはこれっぽっちも無い、逆にこの世界で生きていけるかもしれないことにワクワクしている感じがしているんだよなぁ)


出来る限り冷静、客観的な見方で自分の今の感情を分析し、決意する。


(よし、この世界で生きていこう。後悔の無いように、思い残すことが無いように、楽しんで伸び伸びと生きていこう)


≪これからどうなさいますか?≫


決意した瞬間、この艦の人格ともいえるAIが尋ねてくる。もしかして自分が答えを出すのを待っていたのだろうか?


「そうだね、まずは名前を決めようか、お前さんと自分の」


若葉勇という名前はあるがそれは元の世界(ちきゅう)に居た時の名前で、こちらの世界で生きていくと決意したからには別人として生きていった方が良いと思ったので新しい名前が欲しい。


≪なまえ、ですか?≫


「そう、名前が無いよりあった方がいいでしょ?もしないと「なぁ」とか「おい」とかなんか感じ悪い呼び方でお前さんを呼ぶことになるし、そう呼ぶとお前さんを物扱いしているようになるからね。それに今後人と会うことがあるだろうし」


≪私はある意味、物なのでそれでも構いませんが?≫


「構います。お前さんに人格がある以上一人の人間として扱うつもりだから、無くても扱うだろうけど」


≪はい。わかりました。≫


なんだか嬉しそうに聞こえた。画面には顔が表示されておらず真っ暗なままなので気のせいだろうか?


「という事で、お前さんの名前は決めているぞ」


≪なんでしょうか?≫


「うむ、アウラなんてどうでしょう?」


≪アウ…ラ≫


「やー、昨日本体を見せてくれた時のあの粒子があまりにも綺麗だったから、その粒子の色を使った名前なんてどうだろうか。と思い考えたのですがどうでしょう?嫌なら全然断ってくれてもいいんだけど」


≪…いえ、とんでもありません。素晴らしい名前を付けて下さりありがとうございます。これより私はアウラと名乗らせていただきます。もう一つ、この艦にも名前をいただいてもよろしいですか?≫


「ん?別々の名前でもいいの?」


≪はい。先ほどは人格としてのAIの名前、今度はこの艦の名称が欲しいのです≫


「はぁ、そういうなら……御影か、びゃく――」


≪御影です≫


「え?」


≪御影です≫


「いや、他にもある―」


≪御影がいいです≫


「ア、ハイ」


何とも言えない圧に押されこの艦の名前は御影となった。


「まぁ、気に入ってくれたようでよかったよ。じゃあ次は自分のなんだけど…なんかない?」


≪そうですね…≫


三十分ほど意見を出し合ったがなかなか決まらない。


「…もう記憶喪失で行くか」


≪…はい。それでよろしいかと≫


結局自分自身の名前は決まらず記憶喪失というそのままの設定でいくこととなった。ちなみに、アウラの案はすべてキラキラネームとなっておりすべて却下した。


≪これからの航海はいかがなさいますか?≫


のどが渇いたので厨房で水を汲んで戻ってくるとアウラは尋ねてきた。


「今はどこに向かっているの?」


≪申し訳ございません。衛星との通信が今の装備ではできないためGPS機能が働かず今現在どこにいるのか分かっておりません≫


「大丈夫なの?」


≪はい。食料も水も十分ありますので特に問題はないかと≫


(そういう問題なのだろうか?まぁいいか)

「端末のGPSも使えないのか?」


≪はい。ですが御影もしくはこの端末の半径10km以内に御影、端末があればそれぞれの位置はわかります≫


「なるほど。それじゃあこのままゆっくりと航海を楽しもうか」


≪わかりました≫


 まぁ、進んでいけば何かしら見つけたり、すれ違ったりするはずだよね

ここまで読んでいただきありがとうございます。

この物語を読んで評価してくれたり、ブックマークに登録してくださり、誠にありがとうございます。

読んでくださる方がいるとわかった今、必ずこの物語を完結させたいと思います。かなりのスロウで不定期になると思いますが、愛想付かずに付き合っていただけると幸いです。

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