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海の覇者  作者: リック
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第1話 この船は…

船の甲板上を探索してみて、約30分後


「ふぅふぅ、疲れた」


この小さい体で往復約500mは少々きつかった。


「だが収穫はあった。」


最上甲板を歩いて上部構造だけを見てみた結果は


「大和でも武蔵でもないな」


という結果だった。大和型というのは間違いないのだが構造が大和でも武蔵でもない所が見られた。それは煙突の横にある上部構造基部で、大和、武蔵だと表彰台みたいに三段の基部があるがこの大和型は無い、煙突がある基部から直接伸びて台の様になっているのが左右に2つずつの計4つの台があり、その下は空間ができて通れるようになっている。この構造のある艦艇は…


「もしかして超大和?」


計画段階で白紙となり実際に建造されなかった幻の戦艦…超大和。

ほとんど資料がないため想像上でのプラモデルやゲームで登場する戦艦、もしかするとそれに自分は乗っているのかもしれないと思うと鳥肌がたった。


「胸が熱いな……中に入ってみよう」


艦橋部を見上げる。


甲板を歩いてみた時この船には炉に火がついているらしく煙突からは白煙が昇っておりゆっくりとだが動いているようだ。ということは動かしている人がいるはずなのでその人に話を聞いてみよう、ということで艦橋になら人がいるはずなので船内に入ることにした。


「どうしよう」


ここで最初の壁にぶち当たる、それが


「入り口はドコ?ココ?」


艦内に入るための扉が見つからない。


大和型と同じ吸気口の下に扉があると思い探してみたが扉は無く、溶接の跡や段差、隙間、溝も何も無いただのっぺりとした鋼鉄の壁と甲板が続いているだけで、扉を探すためにグルグルと上部構造部の周りを歩き回ってみたり、格納庫の方も探してみたが見つけ出すことはできなかった。


(どうしたものか、危ないがタラップを登って外階段で上がっていくしかないだろうか。でもこの身長で登るのは怖いんだよなぁ)


と考えていると、先程調べた吸気口の下部分の壁に人一人が通れるくらい入口があらわれた。


(…ヤダ、怖い、さっきまでそこ何も無かったし開かなかったじゃん、そんな段差や隙間、溝なんてまったく無かった筈なんだが)


なんて思いながら少し離れてみると扉は横にスライドして閉まりそこから前に動いて壁に合わせるように、スーっと隙間も溝も消え壁の一部となった。簡単に言うと車のスライドドアの動きが外側ではなく内側になっていて、閉まると隙間や溝が消えるのだ。不思議ですね。

そこに扉があると知らなければさっきの自分の様にグルグルと探すはめになるのでしょう。


再び扉に近づくと扉は一定の位置まで―ほんの少し―後ろに下がるとそこから横にスライドして開いた。


「…行くか」


扉を探していたので問題ないのだが、なんだか誘われているような感じで少々不安ではある、でも他に選択肢も無いため覚悟を入れて扉をくぐり艦内に突入した。


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