表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海の覇者  作者: リック
28/34

第24話 トラウマ


楽しみにしてくださっていた方々、先週無断で休んでゴメンナサイ。


筆が進まなかったんです。あと宿題が面倒でやる気をなくしてました。


そして日曜までに投稿しようとして間に合っていないホント申し訳ない。


おはようございます。

アホ親父との戦闘で重傷だったのをお母さんに治してもらい二時間程眠っていました。

そして現在、私はお母さんに抱っこ、いえ、しがみ付いています。


原因は――。


「ヘッ、ヘッ、ヘッ、ヘッ、ヘッ」


――こいつ、犬です。

後で知ったがこの犬は姉さんの家の犬で、種類はジャーマン・シェパード・ドッグのメス。毛並みは真っ黒なので名前はクロ。


俺は自分の部屋で目が覚め起き上がったが、血を少し失ったためか頭がボー、としていた時にこいつは現れた。

いや、現れたというより、いた。

襖を少し開け、こちらを見ていたのだ。めっちゃビビった。


実は俺、犬が苦手なんです。


俺がまだ小学生の時だ。近所に大型犬を飼っている家があった。

俺は登校するためにその家の前を通るんだが、いつもは繋がれていたはずの犬がその日は何故か繋がれておらず放された状態であり、家の前を通った俺に襲い掛かってきた。

今思えばあの犬は遊んでほしかったんだろうが、自分と同じくらいの大きさの犬がこちらに向かってきたら、それはもう怖いもので……まぁ、逃げますよね。

そして犬は遊んでくれると思って追いかけて来て、とループする恐怖体験をしたのだ。


それ以来、犬のことが苦手になった。

でも成長して20歳超えた頃には小型から中型ならまぁ大丈夫、大型だと緊張しながらではあるが触れるくらいにはなった。


そんな俺の過去など全く知らないこいつ()、クロは急に動き出し部屋に侵入、こちらにダイブしてきた。

それを避ける俺、ちゃっかり頭の上にいるムー。

避けられたクロはこちらを見ているが、その目は獲物もしくは新しい玩具を目の前にした子供のようでとても生き生きしていた。

その目、思い出すぜ。俺にトラウマを植え付けたあの犬も同じような目をしていた。


そして火蓋が切られた。


逃げる俺、それを嬉しそうに追いかけてくるクロ。

過去の反省を全く生かせていないこの状況。

仕方ないよね。考えるより先に身体が動いちゃうんだから。


「いぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁ!!!!」


そして叫びながら逃げ回り、辿り着いた先はお母さん達がいる客間。


お母さんを見つけると顔を隠すように正面から、ひしっ、と抱き付いて今に至るわけだ。


「フフ、まさかクロ()が怖いとは」


「……べつにこわくないです」


お母さんは俺の頭を撫でながら可笑しそうに言ってくる。

自分自身の顔や耳が赤くなっていることが分かるぐらい、熱く、恥ずかしい。

その理由が……


「だいじょうぶ?クロは怖くないよ?」「むぅ~。おばあちゃまからはなれてよ~」


両脇から姉さんの娘さん、真里菜ちゃん、愛莉ちゃんが見ているから。

外見は5歳とは言え中身はほぼおっさんの28歳。

なのに犬に怖がり、こんな姿をしているのを幼い子に見られて恥ずかしくないだろうか、いや、恥ずかしい。


「意外ね~、まさかりっくんにこんな弱点があったとは」


「じゃくてんじゃないです」


「うふふ、いい画が撮れたわ」


「さっさとけしてください」


どうも佳枝さんは先程の俺の姿を何かで撮ったらしい。

姉さんはそれを見せてもらっているのか笑っている声が聞こえる。後で絶対に消させる。


「ふん。犬ごときで怖がるとは情けない」


「う゛ぅーー」


「お義父さん、クロが怒っています。早く謝らないと噛まれ――あ、遅かった」


クロをバカにしたアホ親父は腕を噛まれ、正彦さんはクロを何とか離そうとしているのが聞こえる。


「……叔母様、その子は?」


聞き覚えの無い声で一番真っ当な事を言っているのは佳枝さんの娘さんだろう、名前は知らんけど。


「そうですね。ほらリツ、紹介しますから降りなさい。真里菜と愛莉もお母さんの所に戻りなさい」


「「はーい」」


二人が離れたのを感じてお母さんの膝の上から降り、隣へと座る。


「さて、雪音、真里菜、愛莉。この子は一週間前から私の息子となった貴女達の従弟、叔父となるリツです。さあ、自己紹介を」


「リツです。5歳です。よろしくお願いします」ペコリ


「私は神護真里菜って言うの、6歳だよ。よろしくね」


姉さんの隣に座りこちらに満面の笑顔を向け手を振ってくれている女の子が姉さんの長女、真里菜ちゃん。

髪は手入れの行き届いた艶やかな黒髪でロングヘア。


「…あいり、4さい…」


次は正彦さんの膝の上に座り、拗ねた顔でこちらを見ている女の子、次女の愛莉ちゃん。真里菜ちゃんと同じような黒髪でサイドテールにしている。


二人共、将来を約束されたような美幼女だ。


「……家守雪音……よろしく」


そしてもう一人。

佳枝さんの隣で綺麗な姿勢で正座をし、先程からずっと俺を見ている中学3年から高校1年くらいでモデル雑誌に出ていてもおかしくないくらいのクールビューティーな美少女。

髪は黒に近い茶色で髪型はショート。眼鏡をかけているため知的に見えるのだが、何より彼女、胸が大きい。その歳でその大きさ……けしからん!

っと、いけない、いけない。初対面の人の胸を見続けるのは余りにも失礼。

そう思い、雪音さんから目を離すと、彼女は微かに悲しそうな顔をした、ような気がした。


「リツについて何か聞きたいことはありますか?」


「はーい」


お母さんが3人に俺の事で何か聞きたいことがないか尋ねると、真里菜ちゃんが元気よく手を上げる。


「いいですよ真里菜。何か気になることが?」


「うん。リツくん?は男の子なの?それとも女の子?」


「男だよ」


「そっかー。髪が長いし、かわいいから女の子かと思ったー」


真里菜ちゃんの無垢な言葉が俺の心に突き刺さる。

可愛い、女の子にとって誉め言葉なのだろう。

それは良い、しかし……女の子に見えていたのかー。そっかー。

髪、どうにかしたいなぁー。なんで切ったらいけないんだろうなぁー。


「あい」


「愛莉もいいですよ」


おっと、今度は愛莉ちゃんのようだ。


「おじちゃん?」


「……」


愛莉ちゃんの言葉を聞いて俺の心の傷は更に広がる。


「ええ。この子、リツは貴女の叔父さんですよ」


お母さんも分かっているのか、可笑しそうに言う。

確かにお母さんとアホ親父の猶子となった今、姉さんの娘達からしたら叔父さんにあたるわけで……でも俺はまだ5歳でして、いや中身は28歳のおっさんだ。はい、わたしはおっさんです。


……でも、いつまでも中身は28歳というわけにはいかないよな。

生まれ変わったつもりで生きていくと決めたんだ。俺は今は5歳。

前世の記憶がある、ただの5歳だ。……頑張って5歳児らしくしていこう……羞恥心に耐えながら。

あ、変なのに目覚めないよね?ただでさえ、危ないのに目覚めかけているというのに……


「おじちゃん!」


愛莉ちゃんの無垢なその言葉に俺は…


「くろ!おじちゃんにイケー!」「ワン!」


「ん?」


悲しみに浸る寸前、次に愛莉ちゃんが言ったことが気になり犬畜生の方を見ると、犬畜生がこちらにやって来ていた。

大変嬉しそうな犬畜生、ではなくクロ。だがよく躾けられているのか畳を痛めないように走らずトコトコと歩いてくる。

そしてクロとの距離が2mくらいの所で、俺とクロの間にムーが立ち塞がった。


「フシュッ、フシュッ!」


毛を逆立てて威嚇をするムー。どうやら俺を護ってくれているらしい。


「ギュー!」


「バウ」


「…キューン」


クロの威嚇ともいえない、挨拶の様な小さめの鳴き声でビビり、俺の肩へと戻るムー。

……俺を護ってくれるんじゃなかったのか?


「ギュー!!」


いや、肩から威嚇しても全く怖くないぞ。


「わぁ!かわいい!」


ムーを見て興味を持ったらしい真里菜ちゃん。


「近くで見る?」


クロに身体中を嗅がれたり、舐められながら提案する。


「いいの?」


「うん。雪音さんもどうぞ」


「…ええ」


雪音さんも近くで見たそうだったので誘ってみる。


「わー。かわいい!」

「…アルビノ」


「触ってみますか?」


俺がそう言うと、掌に移っているムーは「えっ?!嘘でしょ!?」と言っている様な驚きの表情でこちらを見る。

ムーにはこれから家族となる神護家の人達には警戒せずに慣れて欲しいと思い提案してみたのだ。


……決して、先程の護ろうとして早々に諦めたことを根に持っているわけではない。

そう、護ってくれなかったがために、現在クロに顔中を舐められている事への仕返しをしてやろうとは思ってはいない。ないったらない。


「優しくね」


「わぁ、フワフワのサラサラで気持ちいい」

「…すごい」


ムーの毛並みは好評だ。毎日丁寧に洗い、ブラッシングしている甲斐があるというものだ。


「も、持ってみてもいい?」


「うん」


ムーを真里菜ちゃんの掌に乗せる。ムーは緊張していて固まっている。


「わぁ、可愛い!ぬいぐるみみたい!」

「…私も」


真里菜ちゃんの次に雪音さんにもムーを持たせる。


「…オッドアイ」


雪音さんはあまり話さない人らしい。先程から一言だけだ。


「名前は何て言うの?」


「ムーだよ」


「へー、ムーちゃんかぁ。よろしくねムーちゃん。私は真里菜っていうの」

「…雪音」

「ワン」


二人と一匹はムーに自己紹介をし、してもらったムーは


「キュ、キュゥ」


何とも弱弱しい返事をした。


「リツ」


「何?お母さん」


「愛莉にもムーを紹介してあげてください」


そう言われ愛莉ちゃんの方を見ると、愛莉ちゃんは頬を膨らまし涙目だ。

始めは拗ねていたのから、俺がクロが苦手だとわかるな否やクロをけしかけ意地悪な顔へと変わり、そして今は不機嫌かつ羨ましそうにこちらを見ている。

コロコロと表情が変わる娘だ。


「あー。愛莉ちゃんも触る?」


「!!……い、いらない!」


ありゃりゃ、これは完全に拗ねてますわ。

どうしようか考えていると、クロが愛莉ちゃんの方へと行き愛莉ちゃんの襟を咥え連れてくる。

この犬、できる。


「……」


不機嫌な顔のままそっぽを向いている愛莉ちゃんの前にムーを置いてみる。

何とか見ないようにしているがやはり気になるらしく、愛莉ちゃんはムーをチラチラと見ている。


ムーは相変わらず動かない。いや、微かに後退してこちらに戻ろうとしている。

さて、どうしたものかと思ていると。


グギュルルル


と、お腹が鳴る音が聞こえた。

音が鳴った先にいたのは……


「うむ。すまん。腹が減って鳴ってしまったようだ」


親父でした。


「もうそんな時間でしたか。ではお昼にしましょう。何か食べたい物がありますか?出前でもいいですよ」


お母さんが言うと、真里菜ちゃんが


「オムライス!卵はトロトロのやつ!!」「あいりも!」


と提案する。


「構いませんよ。他に食べたい物がある人はいませんか?……では全員オムライスでいいですね。リツ、正彦さん手伝ってください」


「はーい」「分かりました」


こうして三人で台所に向かおうとすると


「……私も手伝う」


雪音さんが申し出る。


「珍しいわね雪音。自分から料理をするなんて」


「ん。意識改変」


「私はその間にクロの散歩に行ってくるわ。真里菜、愛莉一緒に行く?」

「うん!」「おじいちゃまもいっちょにいこ?」


「うむ」


「あ、それなら私も付いてくー」


こうして散歩チームと調理チームに分かれた。


―――――――


料理が完成し、現在はみんなでできた昼食を食べている。


部屋は客室ではなく、リビング――もちろん和室でこの部屋も12帖くらい――に移り昼食を食べている。

そんな部屋は今、静寂に包まれている。

いや、食器の音や飲み込む音といった食べている音はしている。要は誰もしゃべらず、一心にオムライスを食べているのだ。

そして一人、また一人と食べ終わるとスプーンを置いていく。

姉さん、真里菜ちゃん、愛莉ちゃんはもっと食べたいのかスプーンを咥えたまま、綺麗になった何もない皿を見続けている。


さすが親子だな。正彦さんがそんな3人の行儀の悪い行動を止めさせている。


そして全員が食べ終わるが、未だに誰も声を発しない。

そういえば前にもこんな事があったような……


「……」ジー


「……」


そして、俺は先程から雪音さんに凝視されている。


「あ、あの、雪音さん?どかしましたか?」


「……」


尋ねても雪音さんは答えてはくれない。

当然の事だが雪音さんの様な美少女に凝視されたことなど、あちらにいた時から今まで一度も無い為、大変居心地が悪く、ソワソワしてしまう。


先程の昼食を一緒に作った時に分かったのだが、彼女、雪音さんは余り喋らない寡黙な人であり、表情があまり表に出ない、というかほぼ無表情なため何を考えているかわかりずらい人だった。


そんな彼女に凝視されているわけだが、何か彼女の気に障るようなことをしてしまったのだろうか?。


やはり昼食を一緒に作っていた時、彼女の立派な御胸様が俺の頭の上に乗っかってしまった事を怒っているのだろうか?

だがあれは彼女の包丁使いがあまりにも怖かったため、彼女の前に潜り込み彼女の手を持って包丁の使い方を教えたんだ。その際、頭に彼女の胸が乗ったことは不可抗力というか、乗るなんてこれっぽっちも思っていない。ホントだぞ?

いやホント。彼女の包丁使いは恐ろしかった。

食材を抑えず、片手で包丁を持ち、顔の高さまで上げたと思ったらそのまま振り下ろすんだから。完全に料理初心者で包丁の使い方を知らない人だった。


話が逸れた。


とにかく、あれは不可抗力、偶然におこったことだ。

それに彼女は怒っている様子ではなかった。むしろ彼女、雪音さんは頬を薄っすらと染め逆に喜んでいたような――


「……ちゃん」


「え?」


雪音さんが何かを喋るが、凝視されている原因を考えていた俺は彼女が何を言ったのかを聞き逃してしまった。


「……私の事は……お姉ちゃん、って呼んでくれて……構わない……」


「……ああ、はい。わかった。雪音お姉ちゃん」


雪音お姉ちゃん、そう言うと雪音さんは無表情で頷いた。いや微かに頬を染めているので嬉しいようだ。


「全く、雪音ったら。それを言い出す為にりっちゃんを事を凝視していたの?」


「……だって、どう言い出せばいいのか分からなかったから」


どうも凝視されていたのは、緊張していた為らしい。


「私もお姉ちゃん、って呼んでいいよ!」


「わたしも!」


真里菜ちゃん、愛莉ちゃんもお姉ちゃんと呼んで欲しいらしい。しかし愛莉ちゃんは俺より年下なのでお姉ちゃんと呼ぶのは無理がある事を伝えると。


「おじちゃんなんかきらい!!」


はい、嫌われました。


そんな事があった昼食の後、事前に姉さん達が来ることは分かっていたので、前日に作っていたシフォンケーキをおやつで出す。


「おじちゃんすきー」


好きになってくれました。チョロい。

他の皆からも好評であり、午後からは真里菜姉ちゃん、愛莉ちゃん、雪音お姉ちゃんそしてクロと遊んだ。


ちなみにお腹が盛大に鳴っていた親父は昼食、おやつ抜きで庭の修復をさせられていた。

どうやら罰らしい、ちなみに俺にもあるとか……一体どんな罰になるんだろう……。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


行き当たりばったりで書いているので色々と変更しています。


・主人公の両親が亡くなったのは小さい頃となっていましたが中学生の時に変更。

・主人公の名前は「律」ですが呼ばれるときは「リツ」に変更。

・真里菜の年齢を10歳から6歳に変更。


過去のも変更しておきます。


これからもちょくちょく変更する可能性が高いです。

あと更新が週1から不定期になる可能性が高いです。やる気の問題で。

更新が週1、週2、週3でされなくても失踪はしないつもりです。もしやめたり、何かあれば活動報告の方に書きます。


ここまでお読み下さりありがとうございました。

ようやくヒロインが出せた。今はまだ幼いですが気長に読んで下さい。では、バイ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ