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海の覇者  作者: リック
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第21話 え、私、弱い?

梅雨が明け、セミが鳴きだし、いよいよ夏本番!となってきましたね。

皆さんも水分をしっかりと取り、暑ければクーラーをつけましょう。


熱中症にはお気を付けくだしあ。


神護家本家(屋敷)があるのは、ある山の中腹。

その山は神護家のルーツとなった女神の付属神が降臨し、天へ帰ったとされる山だ。

神代家、神道家、神武家にもそれぞれのルーツの山があるらしく、特に神代家の山がある場所は女神が政を行っていた山とされており神国の中心になっている。

御三家の山はその山を取り囲むような地形になっているため、神代家、御三家の山の麓には人が集まり町ができ、都市となったようだ。

それぞれの都市を例えるなら、神代家の山の麓が京都にあたり政治が中心、神道家は大阪にあたり経済が中心、神護家は横浜で海軍、神武家は鹿児島で陸軍が中心となっていて、都市の名称はそれぞれの家名となっている。

そして御三家は神代家より領地を預かりそこの領地を運営している。

しかし実際に領地内にある都市、町を運営しているのは市民から選挙で選ばれた者達であり、御三家は緊急時や余程の事が起こらない限り口出しはしないらしい。


ん?今何やっているのかだって?ただいま屋敷の脇にある蔵の中でお勉強中だよ。

しかも検査をした日から一週間経っております。


あの後、三人にペペロンチーノを振舞い大好評を受けた後、お母さんや姉さんなどが良く超能力の訓練をしているという山中の開けた場所へと行き、五人――アウラ含む――と一匹に見守られながら能力を顕現させようとしたのだが…これが意外と難しかった。

そりゃ元々ない力を使おうとするのだから当たり前なのだが。

四人からアドバイスを聞いたり、超能力系のラノベにあったやり方だったりと様々な試行錯誤を繰り返し何とか能力を顕現させることが出来た。


この世界の超能力は脳波により、この世界に存在する元素スティウムが反応、何かしらの現象を引き起こす。

その現象は一人一人の脳波によって異なり、脳波の強さによって引き起こす現象の強さ、持続時間は伸びるのだそうだ。平均の100Pwだと威力については省くが持続時間は10分、これは超能力を発動したままにした状態での持続時間なので、必要時に発動したり、解除したりとすれば10分以上は使える、が、やはり脳波が高い方が発動したままでいられる時間は長くできるし発動のON、OFFをすれば更に長時間使えるため有利であるらしい。


問題は威力。

過去に1万Pwの脳波を持った人物がおり、その人物はアクアキネシスが備わっていた。脳波1万Pwの威力は約50万人が余裕で暮らせる規模のメガフロートを沈められるほどであり、実際にメガフロートを沈めたそうだ。そのメガフロートは既に放棄されたモノで、解体しようとする前に海賊などの無法者達が住処とし、違法な闇市が開かれ始めた。追い払おうとしてもかなりの数の海賊、無法者が集まっていた為、軍が動いた。ついでに1万Pwの威力の検証の為メガフロートへ攻撃させてみると、周りにいた海賊、無法者達と一緒に海の藻屑として沈めたそうだ。

当時は2~5千Pw――家を壊せるくらいの威力――が人間の最高値と思われていた時代に脳波1万Pwの人物が現れた。その威力は50万人規模のメガフロートを涼しい顔で沈められるほどであり、当然人々はその人を恐れ、国も恐れた。国はその人物を確保、管理する為、軍を使ったが当然抵抗され、軍は壊滅。その後その人物は姿を消したらしい。


その人物が消えた後にも1万Pwを超える者が出てきており、1万を超えた者はゼノと呼ばれ、今は世界に10人のゼノがいるのだそうだ。

あまりにも力が強すぎる所為で一種の兵器扱いとなっているので、1万を超えた者は幼少期から国に管理されている。一応戦争時は最前線へ投入されるらしいのだが、1万を超える者、ゼノが現れだしてから、いやそれ以前から国家間の戦争は起こっていないため、ここ千年、国家間の戦争は無いらしいが内戦は起きている。


と、話が逸れてしまった。今は自分の超能力についての話だった。

問題は10万Pwの威力だ。1万Pwで50万人規模のギガフロートを沈めるくらいは災害レベルらしいのだが、10万ならばそれはもう災害レベルを超えて異常だろう。しかし一週間前の自分はそんな事は知らない。

国に管理される程と言われてもよく分かっていなかった為、何となくその場で使おうとすると四人が物凄く焦った様子で止めたのだ。あの時はそれほど警戒する程のモノなのかと思っていたが、今ではよくわかる。

1万Pwの威力でも辺り一帯を吹っ飛ばせるほどの力があるのだから、10万Pwなんて、そりゃぁ警戒するよね。もう化け物だ。あの時の二人の怯えた目の理由がよくわかったよ。…ハハッ



で、山中で超能力を顕現させてみて判明した自分に備わっている超能力は、サイコキネシス、エレクトロキネシス、そして備わっていてよかったアクアキネシス。以上3つが備わっていた。

備わっている数は多い方らしく、普通は一つか二つらしい。

実際に使ってみるとかなりの集中力が必要だった。訓練し慣れればそれほど集中せずとも、ほぼ無意識レベルで発動させることが出来るようになれるらしい。

そして使っていくにつれ自分があとどれだけ、あとどのくらいの時間使うことが出来るのかが感覚的にわかり、限界までやろうとして四人に止められた。

聞いたところによると、超能力を限界まで使うとかなりの疲労感と頭痛、吐き気が襲い掛かり、脳にダメージが入るらしい。


四人に警戒され(見守られ)ながら色々と実験をしていくと以下の事が分かった。


まずはサイコキネシス


物を浮かせたり、身を護るバリアーにすることが出来きた。そしてそのバリアーを他人に付与することができることが判明。

範囲は50m以内の物を浮かすことが出来たのだが、浮かせることが出来るのは1t以下の無機物、もしくは無機物が含まれている物だけで、有機物()や自分自身を浮かせることは出来ず、操ることも出来なかった。

バリアーも50m範囲の物になら付与することができ、遠距離や至近距離から撃たれたり投げられたのであれはどんな物でも防ぐことが出来たのだが、何故か人が手に持った刃物や棒切れといった物には全く効果が無く人ごと通り抜けてしまった。

そして、波動のように遠くの物へ念力を飛ばすことも出来なかった。


つまり自分のサイコキネシスは1t以下の無機物しか()()浮かすことしか出来ず、バリアーは弾丸だろうが、石だろうが、刃物だろうが、有機物だろうが飛んでくる物は何でも防ぐことが出来るが、人の手に持って攻撃ししてきた場合はそれが無機物であろうが防ぐことは出来ず、波動のような念力を飛ばすことも出来ないという事が分かった。


エレクトロキネシスは木に向けて放つと、数本の木が貫通し、裂け、燃えていた。


アクアキネシスは安い水鉄砲のようにチョロチョロチョロと指先から出ただけだった。


俺の超能力を見た四人の意見は10万Pwにしては威力が弱すぎるということになった。


100Pwくらいのサイコキネシスであれば、人に押され1、2歩よろめくくらいの強さの念力を飛ばすことしかできず、2千Pwくらいから物を浮かせたり、バリアーを張ることが出来るようになる。飛ばせる念力も強力になり一軒家に穴を開けられる程になるらしい。

なので俺のように浮かせられるのは無機物だけだったり、バリアーを張っても無機物を持っていようが人や生き物であれば通り抜けてくる…という事は無く、浮かせられるのは無機物の他に、人や動物といった有機物も浮かせられる、つまりどんな物でも浮かせることができるし、バリアーは人などに接近されても通り抜けることは無く防げるとのこと。

結果、俺のサイコキネシスは一応2千Pw相当の(モノ)だが念力は飛ばせないし、浮かせられる物は無機物だけ、バリアーは接近されれば通り抜けて意味をなさない、といった不完全な(モノ)という事が分かった。


エレクトロキネシスは雷以上の威力らしく5千Pw相当の威力


アクアキネシスは……もう、ね、100Pw未満だって。



結果、三つの中で一番威力があるのはエレクトロキネシスなわけであるが…あまり使い道が浮かばない。物を壊すのは簡単だろうが、破壊以外で活かすことがあまり思いつかないのだ。あるとすれば電力の供給か、スタンガンくらいだろうか。

同じくエレクトロキネシスを持っている姉さんに訊いてみると


『威力を調節できれば携帯とかの充電や電力の供給が出来るけど、一番の利点は身体強化が出来る事ね。人の身体は電気が流れているから、それを少しエレクトロキネシスで補助してあげれば瞬発力や反応速度が飛躍的に上昇するの。でも少しでも調節を間違えれば神経は壊れるし、筋肉も使い物にならなくなって最悪死ぬから、使うならしっかりと体を作って、力を使いこなさなくてはいけないわよ』


と真剣に教えてくれた。

また、訓練していけば何かしら出来るようになるらしく、特にサイコキネシスは訓練をしていけば浮かせられる物の重量が増え、自在に操れるようになるらしい。筋トレかな?


こうして俺の超能力の確認、実験はいったん終わったのだが、10万Pwに見合う超能力の威力が無いため、四人の意見は10万Pwにしては威力は無いため、脅威とならないから帝には報告しなくてもいいという事になった。…いいのだろうか?

その後、姉さん夫婦と佳枝さんはそれぞれの家へと帰り、俺の超能力の訓練と身体作り、ついでに武術も教えられ始めたのが一週間前。

で、今は敷地内の蔵に保管されている書物でこの世界や神国についてより詳しくお勉強中というわけだ。



この惑星の名前はアルム、総人口は約1100億人、人工栽培や人造肉の技術がかなり発展しており大量生産が可能なため食糧問題は無いらしく、水も海水や汚水から大量に真水に変えることが出来る技術が進んでいるため問題はないようだ。

言語は地球(こちら)と同じく神国は日本語、ウォルス帝国は中国語、フォリア王国はロシア語、エウ連邦、ハルガント合衆国は英語で、国際語は特に無いらしい。

何でもこの世界の翻訳機能はかなり進んでおり話し手の声でラグなく翻訳したものを聞けるらしく、実際に話しても違和感がないほどらしい。



男女比はアウラに教えてもらったように、100年周期で生まれてくる男女が1:1から1:2に、1:2から1:1に変化し、今は1:2で女性が生まれやすい周期であり30年程経っているらしく、あと70年は生まれてくる男女比は1:2とのこと。


そしてこの世界で最も興味深い貞操観念はやはり逆転していた。

というのもこの世界の女性は男性より人数が多く、何より性欲が地球(あちら)の男性より強い。

そしてこちらの男性の性欲は地球(あちら)の男性と同じくらいの性欲であるのだが、女性の方が強すぎるためその陰に隠れている状態である。

また女性が性関係に積極的なため、雄としての自分の遺伝子を残すといった本能が薄れているというのもあのだろうが、何より女性があまりにも性関係に積極的なため、男性は性関係に関心が薄い。これは地球でいう女性の立場に当てはまる…のだろう。

まあ、そんなわけでこの世界の男性は性欲はあるが性関係についてはあまり興味を持っていないらしい。でも例外はいるわけで売春や援交といったビ〇チならぬヤリ〇ンが存在しているとか。

それと巨乳の女性は男性からあまり好かれないようだ。何でも巨乳=性欲が強いという象徴らしく、男性からはあまり良い目を向けられず、しまいには陰で「デブ」と言われているらしい。つまり太やかな女性、男子はもちろん「デブ」と言われるのだが、体、顔はスレンダーなのに胸が大きいだけでも「デブ」と言われるらしい。

なのでこの世界の女性は巨乳では無く貧乳に憧れており、豊胸手術ならぬ貧胸手術があり、手術する人がいるらしい。モッタイナイネ。


テレビを見てみたのだが女優やモデル、ニュースキャスターなど綺麗処はほとんどが貧乳なのに対し、お笑い芸人といった人達だと巨乳が多い。しかもお笑い芸人として出ているのは、地球(あちら)だと余裕で女優やモデル、特にグラビアなんかに出たら物凄く売れそうなくらい美人だったり、綺麗な人が多い。どうもこの世界の女性はかなりレベルが高いようだ。


閑話休題


夕方、テレビを付けるとニュースをしており内容は向こうとあまり変わらず、芸能界の事や、政治、事件について放送していたのだが、違っているのが、政治で議論している映像には多くの女性が議論し合っている場面が映し出されたり、朝の満員電車である女性が男性に痴漢ならぬ、痴女をし線路上を逃げる姿が映し出されたり、未成年の少年に対して盗撮だったり、性的行為、女性が男性に対して性的暴行をしたり、といった地球(あちら)とは逆転している内容のニュースが流されていた。

ニュースの後は『運動できない芸人選手権』と、聞いたこと見たことのある企画の番組だったのでそのまま見てみると、出演しているのは芸人なのだがやはり女性が多く、ゲスト兼お手本もしくは平均的な見本としては男性の俳優が出演していた。

短距離走や、球技といった種目をしていき水泳の種目になって俺は、開いた口が塞がらなかった。

何と女性芸能人の水着の格好がかなりきわどいのだ。きわどいハイレグだったりマイクロビキニだったり、もうそれ紐じゃんと言えるような水着だったり、しまいには下はパンツを履いているが乳〇にはニップレスを付けているだけといった格好をしていたのだ。

そしてそんな水着で泳げば当たり前ではあるが、当然ポロリする。しかしポロリした女性は全く恥ずかしがることなく逆にボケ、周りも笑いながらツッコんだりと笑いに変えていた。

そんな中、男性俳優もお手本として泳いでいたのだが、その恰好がウェットスーツを着ていたのだ。ウェットスーツといっても袖は上腕の中間くらい、足は膝上くらいまでの長さの半袖、半ズボンみたいな恰好であったのだが、それでも男性が登場すると「おぉ~」スタッフやワイプからも歓声が上がり、つま先から頭のてっぺん、後ろ姿までじっくりと撮るいわゆるサービスシーンが映し出された。因みにこの男性俳優、ポロリをした時には顔を真っ赤にし、顔を背けていました。


男性がこのような格好になっているのは女性社会の弊害と言えるものらしく、テレビで見た通り女性の水着の格好はかなりきわどい物であり、他の服装でも昔から男性に魅力的に見てもらうために露出が高い服装が多いらしい。その所為か無闇に肌を見せることに対して男性達は羞恥心が芽生え、番組の様なあまり肌を出さない水着や服装が一般的となり、服の下にロングアンダーアーマーやロングスパッツを着たり、履いたりする人が多いのだとか。


結婚観念も違う。

こちらは女性が多いため結婚できない女性が出てくる、という事で重婚が認められている。

基本は一夫多妻であり、一妻多夫は禁止、同性婚は認められているが、男性同士の同性婚は厳しい審査をクリアした場合のみ認められているのだとか。


他に調べていくとこの世界は飛行機がほとんどないらしい。

原因はこの世界特有の元素スティウム、こいつが上空2.5kmより上に行くほど多くなり飛行機のエンジンに吸引されることでエンジン内で結合、結晶化しエンジンをダメにしてしまうらしく、その際の修理、もしくは無事に飛行できたとしても細部までの点検を一回飛行するたびにしなければならないので、かなりのコストと時間が必要となるため飛行機はほとんど存在しないらしい。ほとんどと言ったのは一部の愛好家や収集家が持って使っているため絶滅はしていないが時間の問題だろう。

その為かこの世界では一段階進みロケット技術が発展している。ロケットは固定燃料や液体燃料などを使い外気を利用せずに飛ぶ為、飛行機の代わりに使われているらしく特にマスドライバー方式が利用されているらしい。マスドライバーによって周回軌道まで上げられたロケットは目的地に落下していくといったもので結構利用されているらしく、お値段も飛行機のビジネスクラスで乗れるらしい。

これによりこの世界には空母が存在しない。戦闘機が使い物にならないから。その為潜水艦やミサイルがとても重宝されており、空母で言う先制攻撃はミサイルか、待ち伏せしていた潜水艦からの魚雷となっており、最終的な決着は戦艦同士の殴り合いなのだとか。


で、今日は世界情勢と神国の事について調べようとしたのだが…


「律ー!!律は何処だーー!!」


何処かから俺を呼ぶ野太い声が聞こえるが面倒なため無視をする。

すると外からズダダッと聞こえると、蔵の扉が突然バンッと開かれた。


「律、ここにいたのか。さあ訓練を始めるぞ」


扉を開けたのは筋肉モリモリマッチョマンのおっさん、名を武信という。

そう一週間前初めての顔合わせの時、目を見開いていた状態で眠っていたおっさんだ。

武信さんはもともと神武家本家の人間で、神国一と言われるくらいの強者らしい。

本当なら武信さんが神武家の当主になるはずだったのだが、お母さんに一目惚れしたらしく、ついでにお母さんも武信さんに一目惚れをしてめでたく二人は両想いとなったのだが、二人ともそれぞれの家の当主となる人物だったため当時はてんやわんや、幸いな事なのかわからないが武信さんには妹がいたため、武信さんはその妹に当主を任せ自身は神護家に婿入りすることにして、今に至るとのこと。


そして一週間前、眠っていた理由が『猶子とは言え息子となる人物に会うのが楽しみで夜眠れず、トレーニングをしていたら夜が明け、待っている間に気付いたら眠っていた』らしい。


今は俺の体力づくり、武術、超能力の訓練を請け負ってくれているのだが…。


「武信さん、今日は姉さん達が来て娘さんと顔を合わせるので訓練は休みのはずでは?」


今日は姉さん正彦さんとその娘、真里菜ちゃん、愛莉ちゃん、佳枝さんと佳枝さんの娘さんがやって来て顔を合わせる予定の為、今日の訓練は休みとお母さんに昨夜言われている。

なので姉さん達が来るまでこの蔵でいろいろと勉強していた。

因みにお母さんは今いない。姉さん達を迎えに行くついでに買い物に出かけているから。


「む?そうだったか。ではそれまで訓練をするぞ」


「…俺の話を聞いていましたか?」


「聞いていたとも、だからこそ訓練をするのではないか」


彼の言動から分かる通り脳筋である。


「それとワシの事は『パパ』と呼べと言っておろうが」


「やだ。てか、その容姿でパパは無い」


一週間前、姉さん達と別れた後、お母さんと一緒に晩御飯を作っていた時の匂いで目を覚ましたらしく、武信さんが台所に入って来た…のだが、その彼の第一声は「ワシの事はパパと呼べ!」であった。その後お互い自己紹介をし今に至るのだが、この一週間ずっと「パパと呼べ」「パパと呼べ」と言ってくるのだ。しかしその容姿でパパは無く、呼ぶならば親父だろう。俺は仕方なしに「お父さん」と言ってみたのだがどうも納得がいかないらしく、未だにパパ、パパと言ってくる。正直鬱陶しい。

想像してみて欲しい、厳つく強面の筋肉ムキムキマッチョマンのおっさんの事をパパと呼べるだろうか。俺は呼べない。呼びたくない。


「頑固だのう。ではワシにどうやってもいいから一撃を直接入れてみろ。そうすればパパと呼ばなくてもよい。だが気絶をしたりと、戦闘行為自体が難しい状態となった場合はワシの勝ちとして、これから先はパパと呼んでもらうぞ」


何ともハードな提案をしてきた。てかどんだけパパって呼んで欲しいんだよ。

武信さんの訓練はかなりハードで5歳児にやらせるようなものではない。特に武術の訓練では寸止めなどはなく、普通に殴られ、投げられ、蹴り飛ばされ、挙句の果てに、剣術の訓練では模造刀を使っていたのだが、防具なし、寸止め無しの訓練だったため、切り傷やミミズ腫れはいい方で、骨は折られるわ、内臓が傷つき吐血したり下血や血尿が出るわ、と命の危機を感じる程ボコられたりしたのがこの一週間。幸いお母さんが治療系の超能力を持っているから訓練後に治療をしてもらい何とかなっているが普通なら死んでいてもおかしくないのだ。一応お母さんも注意しているのだが一向に改善される兆しがない。

だが命の危機を感じた為か、かもしくは子供の学習能力によるモノかは分からないが、殺気…と言えばいいのか、どこに、どのように攻撃してくるかが分かるようになってしまったというか、会得してしまったのが昨日の事。


「おっしゃぁ!やってやらぁ!」


そしてこの時、俺は余程武信さんの事をパパと呼びたくなかったのか、未だに訓練中に一撃を入れたことも、直に触れたこともないのに、その提案に乗ってしまった。


その後、あれほど恐ろしい事が起こるとは露知らずに。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます。


ノクターンで出すと言っていたな…あれは嘘だ。

いや本当にごめんなさい。

書いてみたのですがなかなか進まず、しかもこれと並行で書いて行くのは無理だったので諦めました。ゴメンナサイ。


活動報告に何か書いて欲しい物や要望を募集すれば何かしら来るだろうか?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 空母が存在しないと書かれていましたが、14話で優香の指揮する艦隊に空母二隻と書かれていましたがどちらが正しいのですか?楽しくて読ませて頂いております。
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