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海の覇者  作者: リック
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プロローグ

ここからが本編です。

より拙く、説明っぽい文章になっていますが、温かく、楽しんで読んでくだされば嬉しいです。

作者の心は薄い膜で出来ているので優しくしてください。

風を感じる、太陽の暑さを感じる、波の音を感じる、微かに揺れを感じる。自分はどこかで横になっているようだ。


(…おかしい、自分はゲームをしようとしていたはずなんだが?…あぁ、寝落ちしてしまって夢を見ているんだな、こんなはっきりとした夢はいつぶりだろう。それにしてもあまりに意識がはっきりしている、明晰夢か?)


目を開け起き上がってみる、そこに見えたのは


「…ん?うみ??」


周りは海に囲まれていた。


「それに、これって」


海を見ていた視線を下に移し自分が今いる場所を見てみると、木の板がはられていた。そこから目線を先の方に向けると、木の板が切れそこから黒光りした鋼鉄になっているのが目に入る。


今自分が居るこの構造物が微かに揺れたのを感じたのでこれは海の上なのだろう、それにあの形状の船首らしき場所は見たことがある。特にゲームでよく見ていた。そう思い振り返ってみると


「ッ!!」


三本の長い金属の筒が目に入った。そこから上にあげると


「…お、おぉ」


自然と声が漏れる、これは仕方のない、兵器好き、特に戦艦が好きな人間なら一度は憧れる戦艦


「大和」


大和型戦艦一番艦大和それに今…


「いや、武蔵かも」


大和型戦艦二番艦武蔵それに今自分が乗って…


「…確認しよう」


わからなかった。戦艦は好きだが、本気の人からするとにわかだと罵られるであろう知識しかない自分では装備されている電探や艦橋の形で判断することはできないため、立ち上がりこの艦艇を探索することにした。しかし


「なんかちっちゃくね?」


立ち上がってみたもののいつもより視線の高さがやたら低く、手、足を見ても小さかった。


「なんか髪も長いし、てか私裸じゃん!!」


髪もだいぶ長くなっており前髪は目が隠れるくらいまで伸び、後ろ髪は肩まで伸びていた。おまけにすっぽんぽんの状態で白いブランケットに包まっている状態だった。


「若返ったのか?いや、やはり夢という可能性も…」


考え込んでいると急に強い睡魔が襲ってきた。


(あぁ、これで夢が醒めるのか)


そして、そのまま睡魔に身をゆだねることにした。


――――――――


「ただいま~」


誰もいない真っ暗な家に声だけが響き、電気が点る。


「今日は金曜日、明日は休日だ~」


そんな独り言をつぶやいた人物は玄関から上がりそのまま台所に直行、持っていた買い物袋を床に下ろす。

手を洗いうがいを行い、次に行くのは仏間。慣れた手つきで仏壇の蝋燭に火を灯し線香をたてて、チーンとりんを鳴らし、手を合わせる。


(婆ちゃんが死んで2年か、あっという間だな)


手を合わせていたのを解いて仏壇の前に座りながらそんなことを思う。


28歳、職業は看護師、彼女いない歴=年齢

容姿は中の中、性格は温厚でめったなことでは怒らず、嫌なことはNOといえる人間 ――だと自分は思っている――、友人は数える程度で最近は連絡していない、最近の悩みはお腹が出てきたこと。


それが仏壇の前に座り手を合わせている男、若葉勇である。


(結婚して曾孫でも見せてあげたかったなー)


彼女を作ろうとしたことがないヘタレが何をいまさらと、自分自身を批判し思いに耽る。


2年前に婆ちゃんは亡くなった。死因は老衰。

両親は自分が中学生の時に亡くなっている。

自分を婆ちゃんの所に預けた両親は、二人で旅行に行ったがその帰りで事故に巻き込まれて死んでしまっている。両親を失った自分を母方の婆ちゃんが引き取ってくれて育ててくれた。

ちなみに母方の爺ちゃん、父方の婆ちゃん、爺ちゃんはすでに亡くなっている。

慰謝料はかなりの額支払われていたので、それを使って看護大学に行ってやった。婆ちゃんも『使える物は使え』と言ってくれたから両親も許してくれたはず。

無事に卒業し病院に就職、お金を貯め婆ちゃんに育ててくれたお礼として豪華な旅行に連れて行った後、婆ちゃんは亡くなった。多分一人でももう大丈夫と思ったのだろう。安心したような穏やかな顔で永い眠りに付いた。


仏壇の蝋燭の火を消し台所に向かい晩御飯の仕度を始める。


(今日は何にしようかな)


考えた結果、玉ねぎ、ベーコン、トマトケチャップたっぷりのチープなナポリタン、それにビールとサラダといった献立をたて調理をし、できた料理を食べ、洗い物をし、お風呂に入って、お酒とおつまみを手に自分の部屋に行きゲー〇ングPCの前に座った


今からやるのは海戦ゲーム、世界の有名な艦艇を操作して相手を殲滅、もしくは占領ゲージを100%にするというよくあるやつだ、結構リアルなCGで出来ており艦艇はもちろんのこと海の波や砲撃した時の衝撃波、煙、風にはためく信号旗などとても芸が細かくNPCの戦艦とのバトルだけではなく世界のプレイヤーとも対戦できるようになっている。そしてこのゲーム一番の魅力が自分だけの戦艦を作ることができるというキャッチコピーの通り、船体は元からあるものを使うしかないが、艦橋、煙突等の施設類、主砲、副砲、銃座等の兵器類、タービン、ボイラーの機関類、防壁の厚さなどと自由に設定することが可能で、さまざまな戦艦を作ることが出来る。また乗員のスキルや、補助機装を付けることでさらにその艦艇の性能が上がったりとやりこみ要素もあるのがこのゲームの売りである。


そのゲームをしようとPCの電源を入れようとしたところで自分の意識は途絶えた。


―――――――――


目が覚めた。場所は再び最上甲板の上。今見た夢の様なものは、ここで目を覚ます前の自分の行動、いつもと何も変わりない日常の行動だった。


「ふむ、転生もしくは転移だろうか?」


ラノベやネット小説はよく読んでいた。特に異世界系を読んでいたので似たような状況の作品もたくさん読んでいる。


「なんかちっちゃくなって髪も伸びているし、転移というより転生だろうなぁ」


なんてつぶやきながら頭の中では様々な思考がグルグルと回り強い不安感が襲う!SAN値チェック…


「ファーーーーーー!!」


バカなことを考えても不安が拭い切れないため、叫んで少しでも不安を和らげようとするがどうも発狂してしまっているようにしか見えない。


「フー、フー」


少し落ち着いて考えてみるが答えは出てこない、現実逃避としてここは夢の中と仮定して行動することにしよう。


「まずはこの戦艦を調べてみよう」


そうと決まればこの大和もしくは武蔵を調べてみることにし、行動を開始した。


最後まで読んで下さりありがとうございます。


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