第8話 ( ^o^)
名前を考えるのは難しいですね。
――様、――さい。―しゅじ―、お―くだ―
心地良く眠っている最中に誰かの声が聞こえる。
その声は聞き覚えがあるが今は心地の良い眠りを邪魔される雑音でしかない。このまま無視して眠ろうとするが
≪ご主人様起きて下さい。ご主人様。≫
結局アウラに起こされてしまった。
外はまだ暗く部屋も真っ暗――一様間接照明はあるが自分は真っ暗の方が寝やすいため間接照明は点けずに眠っている――なためアウラに今の時間を確認する。
「あうら、いま、なんじ」
≪おはようございます。ご主人様。ただいまの時刻22時9分36秒です。≫
「…寝始めて一時間程しか経ってないじゃん、なんで起こしたんだよ」
寝起き、特に人に起こされるのが嫌いな自分は起こした張本人のアウラに起こした理由を不満をあらわにしながら尋ねる。
≪申し訳ありません、ご主人様。ですが緊急案件です。こちらに近づいている艦を探知しました。≫
その言葉でボーとしていた頭が一気に覚醒する。
「数は?」
≪一隻の様です。≫
「艦の特徴は?」
≪軽巡洋艦ほどの大きさでステルス艦らしく5kmまで接近されてようやく探知できました。申し訳ございません。≫
「武装はわかる?」
≪申し訳ございません。そちらは現在不明となっております。≫
「…」
≪いかがなさいますか?≫
(密輸者の艦か、それともどこかの艦か)
「とりあえず、艦橋に上がる」
≪わかりました。非常灯に切り替えます。≫
ベットから出て、急いでいるため裸のままブランケットを羽織り艦橋に向かおうとすると何か頭に乗ってきた。
頭の上に乗ってくるような物は一匹しかおらず、しかも掴むとフワフワした毛に手が包まれる。見える位置まで持ってくるとやはりキュピルであった。
「お前はここにいな」
「…」ブンブンブン
キュピルにここに残るように言うが嫌がっているのか首を横に振る。
「怖い思いをするぞ」
「…」ブンブンブン
≪掴まれるのが嫌なのでは?≫
その可能性があったのでキュピルをベットの上に降ろしてあげるとキュピルは再び頭の上に乗ってきた。
時間が無いので頭に乗せたまま艦橋へと向かう。
「…もしかして言っていることがわかるのだろうか?」
≪可能性はありますね。意外と知能は高いのかもしれません。≫
そんな会話をアウラとしながら艦橋へと急ぐ。
艦橋の席についてモニターを見る。今の速度は原速12kt、天気は晴れている為綺麗な星空が見えるが、新月のため月明かりはない。
中央モニターにPPIで表示されたレーダーを見ると本艦の七時の方向に一定の距離を取って追尾してきている。
「近づいてきていないな?」
≪はい。ある一定の距離を保ったまま追尾してきています。≫
「…どっちだろうな?」
≪わかりません。何も情報がありませんので。≫
無いのなら、ある所から出せばいい
「通信は可能?」
≪はい。出来ますが、あの艦に通信を行うので?≫
「ダメか?」
≪ダメとは言いませんが、やったとしても無視される可能性が高いですし、無闇にこちらから情報を出すのは得策ではないかと。≫
「そりゃそうだけど。このままだと埒が明かないし、この艦の存在はすでにあいつらに知られてるぞ?」
≪まだ存在を知られただけです。攻撃力や機関や私、ご主人様のことは知られていません。出来る限り情報は出すべきではありません≫
「なら、このままずるずると追尾されると?」
≪問題は無いと思われますが?≫
そんな言い合いを続けているとレーダーにもう一つ艦影が増えた。
「…アウラさんや…増えたよ」
≪…そのようですね。≫
一つ増えたと思ったらまた一つ、また一つと増えてゆき最終的には十隻の軽巡クラスの艦に御影が包囲された。
「包囲されましたねアウラさん」
≪はい。≫
いつもより感情が無いように聞こえる。
≪ご主人様、相手から通信です。≫
どうやら向こうから通信が来たらしい。
「声だけ?」
≪いえ、モニターに映す方です。≫
「声、姿を変えることは出来る?」
≪可能です。≫
「それじゃあ。二十代くらいの姿と声に、このキャピルは居ないようにして」
≪わかりました。それでは繋げます。…モニターへ映します。≫
モニターに映ったのは水色のつなぎを着た三十過ぎくらいの男だった。
向こうにもこちらの姿が映ったのだろう、ヒゥ~、と口笛を吹いたと思ったらニチャアとした笑みをみせ少々鼻息が荒くなる。正直キモイ、あと背筋に悪寒が走った。
『よぉ、兄弟。こんな新月の夜にお散歩かい?』
「あぁ、そんなものだよ。だが今は家に帰る所さ」
『そうかい、なら家まで送っていくぜ?』
「結構、子供じゃないんだ。一人で帰れるさ」
『まぁそういうなよ。親切丁寧に送ってやるぜ?俺たちのアジトにだがな』
そういうと敵艦より艦砲が撃たれ、御影の近く、右舷前方に着弾し水柱が上がる。至近弾だ。
「どういうつもりだ?」
『そのままの意味だぜ?今のは威嚇射撃だ。素直についてくるのなら何もしねぇよ。ただそちらの艦に人員は送るがな』
「何が目的だ?」
『そんなのてめぇがよぉく分かってんだろぉ?キャピルだよ、キャ・ピ・ル。俺の獲物を横取りしやがって。だがそのおかげか良いカモが釣れたぜ。かなり良い船を持ってるじゃねえか、なぁおい。おまけにいい男ときた』
男は言い終わると舌なめずりをしてこちらを舐めるような視線で見てくる。自分でもよくわかるくらいに肌が粟立つ。
「何のことだ?」
『しらばっくれんじゃねえよ。こちとらずっとお前を追尾してんだよ。いるんだろ?アルビノのキャピルが』
「…俺が軍人だとは思わないのか?」
『それはねえな。そのことはお墨付きを貰っている。仮にお前が軍人だったとしても問題ねえよ』
「クライアントがいるのか?」
『おっと、俺としたことが言い過ぎたようだ。まぁいいどうせお前は俺たちに捕まるんだ。このホーリー・モノポリーにな』
「捕まったらどうなるんだ?」
『あん?そりゃおめぇ、キュピルとその艦を渡して俺たちはその金で豪遊よ。安心しな、お前も参加させてやっからよぉ、気持ちいいぞ?』
「…気持ちいい?」
『あぁ、だがまずは浄化をしねえとな。はじめは全員嫌がるが、何そんなの一瞬だ。すぐ気持ちよくしてやるよ』
嫌~な感じがビンビンする。それ以上は訊いてはいけないと直感でわかる。冷や汗が噴き出し止まらない。だが確認しなければ、もしかしたら思っていたのとは違うかもしれないのだから。
「じょ、浄化とは?」
『女共に犯されてしまった心と体を浄化してやるのさ。穢れた液を俺達、浄化されたホーリー・モノポリーのメンバーの中に出すかメンバーの聖なる液をその体の中に出されることで浄化されるんだ。だが一回じゃあ足りねぇ、何回も何回も出したり、出されたりしてようやく浄化されるんだ。だからよぉ…』
男はジッパーを下ろし、臍の位置まで下ろすと息を荒げながら。
『やらないか?』
(┌(┌^o^)┐ホモォ…)
嫌な予感が当たってしまった。ここは「ウホ、いい男」なんてふざける所なのかもしれないが奴の目は本気だ。捕まったら絶対に掘られる。……いやでも今の自分は五歳児だし大丈夫?いや,もしかしたらそれでも掘られたり、売られるかもしれない。
相手はキュピルの密輸者。しかもホモォ…は置いておいて、どうやらこの御影も狙っている。それはキュピルのクライアントが欲しているらしくそのクライアントは軍に繋がりがあるらしい。これは完全にどこかの国と敵対することになりそうだ。
『で?どうすんだ?』
相手が返答を訊いてくる。すでに返答は決まっている。
「ぜっっっったいに嫌」
そう返答すると男は実に嬉しそうに
『いいねぇ、そうこなくっちゃ。嫌がるやつを無理やり浄化してやるのが俺は好みだからな。初めはすごく嫌がっていたのに浄化していく中に大人しくなってな、浄化が完了したら従順になるんだ。そして俺に媚びを売ってくる。あんだけ嫌がっていたのに今では俺に従順で媚びを売ってくるその姿は凄――』
言い終わる前に通信をこちらから切って通信を終わらせる。
「つ、疲れた」
精神的疲労と鳥肌がものすごい。椅子に深く身を沈める。
≪どうなさいますか?沈めますか?海の藻屑にしますか?≫
アウラ、同じ意味やぞそれ
「キュイ、キュキュイ」
キュピルが頭の上で鳴いている。なんだかアウラの意見に賛同している雰囲気がする。
キュピルを頭の上から膝の上に下ろす。キュピルは興奮しているのか怒っているのか毛を逆立たせていた。あいつらに捕まっていたのでそれを思い出したのだろうか。
そんなキュピルを撫でて落ち着かせながらアウラに指示を出す。
「最大戦速で、救難信号を全周波数、最大で流してほしい」
≪分かりました。敵艦はどうなさいしますか?≫
「2km圏内に入ってきたら砲撃を許可する。魚雷は…警戒しても意味ないかこの装甲なら」
≪そうですね。では、最大戦速、救難信号を全周波数最大で流します。≫
こうして自分たちは救援を期待しながらホモォからの逃走を開始した。
???
「よかったのかい?優香」
「何が?」
狭い部屋で一組の男女がくつろぎながら会話をしている。
「いくらエウ連邦とハルガント合衆国との外交と演習が早く終わったからって帰路を変更して近海を巡回しながら帰るなんて」
「大丈夫よ。一応、練習航海および警備任務ということで母様には言って許可も得ているし何も問題は無いわよ。あっても分家や神武家の奴らがちょっと騒ぐくらいよ」
「…それを心配しているんだけど?」
「だから大丈夫だって。それより正彦さん…」
「嫌」
「まだ何も言っていないじゃない!!」
「どうせエッチしたいって言うんだろ?嫌だよ。艦の中、しかも部下たちがまだ仕事をしているのに」
「それがいいんじゃない!部下が一生懸命働いている中で私たちはセックスをしている優越感と罪悪感、そしていつばれるかもしれない緊張感が! …ねぇ、いいでしょう?あなたと一週間も離れての演習で疲れてムラムラしているのよぉ。あと正彦さん成分が枯渇しているから補給もしたいのよぉ~」
「そんな成分はないよ。それに君だけじゃなくて部下たちも疲れているのは一緒だと思うけど?」
「そんなの知らないわ」
「こら」
「いいじゃない。ほら、おとなしく私に食べられちゃいなさい!」
「嫌だー!!」
その時部屋に備え付けられていた電話が鳴る。
女性は邪魔をされて不機嫌に、男性は襲われなかったことに安堵の表情をそれぞれ浮かべる。
その間も電話は鳴り続けており女性は受話器を取った。
「どうしたの?」
先程の不機嫌さは何処に行ったのか極普通の雰囲気で要件を尋ねる。
『お楽しみの所失礼いたします。神護提督』
「まだ何もやっていないわよ!」
ハッ、として男の方に向くとジト目でこちらを見ており受話器からは微かに笑い声が聞こえる。
「ん、んん。で?どうかしたの?」
気を取り直してもう一度要件を尋ねる。
『はい。先程救難信号をキャッチしました。その内容が…』
「内容が?」
『ホーリー・モノポリーに襲われているので助けて欲しいという内容です』
「ホーリー・モノポリーですって!?」
その言葉に男はビクッと反応し無表情となる
『はい。依頼に見合う金額が用意されていれば何でも行い、その道中に男が居れば子供だろうがお年寄りだろうが攫って「浄化だ」と言って犯し洗脳し、仲間にする。あのホモ野郎達です』
受話器から聞こえる声からは怒りが感じられる。
「罠の可能性は?」
『全周波数で救援信号が送信されているのでその可能性は低いかと』
「わかったわ。すぐに救難信号があった場所に進路変更、最大戦速で2部隊に分けて急行させなさい。出来る限り包囲して奴らを捕えるわよ。私もブリッジに上がるわ」
『わかりました』
電話が切れ受話器を掛ける。
「仕事のようだね」
「えぇ、残念だけど行ってくるわ。…家に帰ったら覚悟してね」
そう言い残し女は部屋から出て行った。
「はぁ~」
部屋に残された男はため息をついた。
こんな感じで投稿は不定期になります。申し訳ありません。投稿できる確率が高いのが休日ですね。
プロットを先に書いてそれを修正しながら上げていますが、そのプロットがもう底をつきそうです。
そのプロットでもヒロインが出てこない、いつになったら出てくるんだろうか?
一様それっぽい人はいるんですがハーレムに加えるべきか脇役になるかの…




