第2話 呪命連鎖
今回は圧倒的に短いです。はい。いつも通り怖くないホラー小説なので安心してね。
先生の首吊り自殺を発見し、首を絞めている縄を切り、なんとか地上に下ろした僕達だったが、既に先生は亡くなってしまっていた。
「やっぱりダメか…死んじまってる…」
「…そんな…。」
先生の突然の自殺とか、僕と弦太以外の生徒の失踪、あの少女が残した『シュメルツ』という言葉…。
「…一体、僕の『周り』で何が起こってるんだ…?」
「てかなんで生徒いないんだよ、まずそこがおかしいだろ。」
「…今日って早下校だったっけ?」
「早下校だけど、零人はともかく、俺抜きで帰りのHRをやるか?」
「…とりあえず警察呼ぼうよ、これは流石に僕達だけじゃ対処できない。」
その後職員室へ向かい、先生達に事情を説明して警察に連絡してもらった。
もちろん僕達は事情聴取されたが、有力な情報を話す事はできなかった。
ちなみに後で聞いたのだが、生徒はどうやら帰りのHRを終えて普通に下校していたのだそうだ。
「君たちの担任、自殺したんだって?」
「…鈴音!」
例の階段が展開され、そこに鈴音がいた。
「担任を自殺に見せかけて殺したのはお前か、鈴音!」
「僕にそんな力は無いよ。そもそも僕はここから出られないし。」
「…ここから出られないってどういう事?」
「僕はね、この階段…虚空階段の地縛霊なのさ。」
「…!」
やはり鈴音は霊だった。しかし謎だ、僕は今まで幽霊なんて見えたことが無いのに何故見えるのかわからなかった。
「僕は数年前にこの階段から落ちて亡くなったんだ、間抜けだろう?」
「は?このクソボロ階段はお前の領域であって、この学校の階段じゃねえだろ。」
「弦太、君が入学する前はね、ここの階段は元々ボロボロだったのさ。」
…鈴音が言うには、数年前ここで鈴音は死亡し、その後も使われていたが霊の目撃情報が絶えず、この階段をお祓いし、改装したらしい。
しかし鈴音の思いが強く、祓いきれずに一つの領域として確立してしまったのだという。
「何だよそれ、初耳なんだが…?!」
「まぁ普通言わないだろうね、そんなこと。」
「…話を戻すけど、なんで先生は自殺したかわかる?数年前からここにいるならわかると思うんだけど。」
「うーん、ごめんわからないや。僕、この階段にしかいないから最近の外の世界の事知らないんだよね。」
生徒に虐めを受けてた、とかそもそも上手くいってなくて耐えきれずに自殺した、とか色々考えたが、真相は神のみぞしるという事なのだろうか?
「…後もう一つ。」
「なんだい?零人。」
「…『シュメルツ』って知ってる?」
「しゅめるつ?何それ?」
鈴音は首を傾げた。どことなく申し訳なさそうだった。
「…いや、知らないなら良いんだ、それじゃあね」
「あ、うん、またねぇ」
鈴音は手を振って消えていった。
僕もなんとなく手を振った。
…帰り道にて。
「なぁ、お前が言ってたシュメルツって何だ?」
「…わからない。あの少女が言ってたんだ。」
「あー、お前がさっき言ってた女の子って奴か…俺最初何この状況でもふざけてんだって思ってたよ」
「…弦太には見えてなかったの?」
「ああ。女の子なんて見えなかったぞ?」
…やはり見えていなかった。
何故僕にだけ見えていたのだろうか?
「というかお前の家ってこの辺りなのか?」
「…うん、叔母に引き取られて叔母の家が今の住居だから。」
「お前、まさか親いないの?」
「…うん、事故で亡くなっちゃって、僕だけ生き残ったんだ。」
「そっか」
弦太はそれ以上は何も聞かなかった。
僕もあの少女の一件は話していない。この様子だと信じてもらえなそうだし。
「それじゃ、俺家こっちだから、また明日な!」
「…うん、またね!」
お互い手を振り、別れた。
その瞬間だった。
「零人!後ろ!!」
僕は訳がわからず後ろを振り向いた。
しかし遅かった。
既に目の前には原付バイクがあった。
その後僕は大きな音と共にその原付バイクと衝突した。
「零人!!!!!」
原付バイクは僕と衝突後、その場から逃げたが、弦太は僕の方へと駆け寄った。
「おい、大丈夫か!?零人!!」
「…あ…うん……一応はね…」
「くっそ、なんで…!」
僕は口から血を吐いた。
しかし身体中痛いはずなのに、体は動かないはずなのに、何故か意識だけはあった。
「ちょっと待ってろ、救急車呼んでくる!」
そういうと弦太は何処かへ走っていった。
ふと辺りを見渡すと、そこにはまたあの少女がいた。
「…君は…一体何なんだ…⁉︎」
「私は貴方。私も君も血を流すべき人間なの。」
「…血を流すべき人間…って………」
「私は君と同じ。だから助長しなければならない。」
「だったら、一つだけ教えてほしい…!」
「…?」
僕は、彼女に言われてからずっと謎だったある言葉の意味を問いかける。
「…『シュメルツ』って…一体何なんだ?」
サブタイトルが思いつかなすぎてぴえんぴえん。