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第6話 失恋と夫人と



 彼の妻として迎えられた女性は、美しい顔立ちの女性だった。

 わたしと同い年の彼女の名は、ルヴィニと言った。

 皮肉なことに、わたしの名前によく似ている。


 そうして、ややくすんだ金色の髪に、茶色の瞳をルヴィニ夫人は持っていた。


「他人の空似? なんだか、ルビーに似た雰囲気の女性ね。とはいえ、顔立ちなんかは全然似てないけど。個人的にはルビーの方が綺麗に見えるし貴族的に見える」


 女使用人の仲間たちは、そんなことを言ってくる。

 

 ルヴィニ夫人に微笑む彼の姿を見ると、胸がずきんと痛んだ。


 彼が妻となった女性の手をとる。


 ふと、薔薇で指に棘を刺した時のことを思い出した。


 わたしの手に、恭しく口づけてきたアイゼン様――。


 彼はあの綺麗な長い指で、彼女のことを夜ごと抱きしめているのだろうか――?


 そんなことを思うと、息ができないぐらい苦しくて仕方がない。


(ああ、そうか……わたしは、アイゼン様のことを――)



 彼への想いに気づいた時には、もう時すでに遅く――。



(せめて、想いを伝えたりしておけば良かった……)



 もう結婚してしまった彼に想いを伝えることは出来ない。



 わたしの初恋は、こうしてあっけなく終わりを迎えたのだった。





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