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第19話 結ばれた夜




 アイゼンが、わたしの指の一本一本に丁寧に口づけを落としていく。

 そうして、わたしの外出着のドレスを、そっと彼が脱がしていった。

 露わになった白い肌に、彼が幾重にも口づけを落としていく。時々、彼の唇が柔らかく肌を吸い、赤い宝石のような跡が全身にちりばめられていった。


「ルビーに、もう一生触れることは出来ないと思っていた」


 そうして、一度首筋にアイゼンの唇が戻る。首筋から鎖骨にかけて口づけた後、優しい手つきで彼が鎖骨をなぞった。

 ルビーに甘い痺れが走る。


「アイゼン様……」


「いよいよ君と結ばれるんだと思うと、ちょっと余裕がなくなってきた」


 苦笑いする彼に、わたしも緊張した表情で返す。


「わたしもです、アイゼン様――」


「ルビー、君もなの?」


「はい」


 そういうと、彼はわたしの唇にそっと口づけてきた。

 かたかたと震えていたわたしの身体を、彼はそっと抱きしめてくる。


「ルビー」


 優しくて、丁寧で、繊細で――そんなアイゼンの声が耳をくすぐる。

 頬に何度か唇が優しく触れてきた。

 そうして、最上級の笑みをアイゼン様は浮かべてくる。

 もう一度、口づけを交わした後に、彼はこう言った。


「これからも一緒にいよう――愛しているよ――僕の、本当の花嫁――」


 その後、初めて男性を受け入れたわたしは、愛するアイゼン様とともに、その日は幸せな夜を過ごすことが出来たのだった。




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