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天狗様といっしょ  作者: kano
第二章
92/210

天狗様、潜伏す(8)

「さあお前たち、存分に2人の活躍を褒め称え なさい」

 お弁当を食べ終えた法起坊さんの第一声はそれだった。

「いやいや、見つかったのって親父さんたちだけじゃん」

「しかもハンデと言わんばかりでしたね。あれはいいのですか、太郎?」

呼ばれた太郎さんは、相模さんたちと法起坊さんを交互に見て……う~んと考え込んでしまった。

「親父さんのは……正直アウトだけど、前鬼と後鬼を見つけたのはなかなか良かったと思うから……まぁいいかな」

「あれぐらいなら俺らだってしてあげられたのにズルくねえ?」

「……じゃあ1からやり直す?」

「それは嫌だ……」

「やり直さなくていいのかい?」

 太郎さんとセイさんの会話を横で聞いていた僧正坊さんが、なんだか意地悪そうな笑みを浮かべた。

「え~またやり直しかよ」

「だってかわいそうじゃないか。もっと完璧に、人間の小娘にしてやられた者がいるんだから」

「誰? 僧正坊?」

「違う!あれは過去の話だろうが!」

「ああ、そうか。太郎だな」

「え」

 悪気はまったくない様子で、豊前さんが呟いた。その言葉に、光のごとく振り向く太郎さん。

 目が、驚きと屈辱にまみれている。

「え?どういう意味?」

「親父さんは手心を加えたのは否めまい。前鬼と後鬼は多少の手がかりがあった。だがお前は、特に手がかりのない状態で藍に察知され、天狐の娘に結界を破られた……そういうことだろう」

 豊前さんが僧正坊さんにそう確認すると、僧正坊さんは意地悪そうに笑いながら頷いた。

「ああ、そうさ。つまり、言い出しっぺが一番やられてるってことだね。それとも、手を抜いてあげたのかな?さっき法起坊さまを『アウト』呼ばわりしていた当人が?」

 こういう時の僧正坊さんは本当、イキイキしてるなぁ……。太郎さんのわなわな震える顔をこうも嬉しそうに眺められるなんて……気が知れない……。

「う……うぅぅ……や、やり直しを要求します!」

「え~またかよ?」

「太郎、自分が負けたからといってやり直すとは、潔くありませんね」

「うむ。見苦しい」

 散々に言われても、太郎さんは納得していないようだった。めちゃくちゃ歯噛みしながらみんなを見回し、味方になってくれそうな人物を探している……。

そして、その人は、いた。

「三郎、なんとか言ってよ!」

「うっ…………!」

 それは……卑怯でしょう、太郎さん……。

 謝られたものの、管狐ちゃんたちを助けてもらった恩義のある三郎さんは、太郎さんを引き剥がせないでいる。

「俺は………………すまん、みんな。太郎に賛同せざるをえない……」

「かわいそー」

「ただ、無条件ていうのはなしだ」

「…………え?」

 みんなが首をかしげる中、三郎さんが私に向けて問うた。

「お嬢。見つかった者のうち一人だけ復活、そして代わりに一人を発見済みにする。どうだ?」

「一人復活、一人脱落……ですか?」

「ああ。ついでにその選択権もお嬢たちにやる。いいだろう?」

「えっと……どうする、水咲さん?」

 今まで黙って成り行きを見ていた瑠璃さんは急に話を振られてビックリしていた。

「えっ、えっと……山南さんがいいなら。その、誰にするかも……任せます」

 水咲さんはまた目を逸らせて、お任せしてきた……。話し合いの場は持たせてくれないのか……。

「う~ん…………じゃあ、私からも条件ひとつ、いいですか?」

「おう、なんだ?」

「まず、抜けるのは三郎さん。それで管狐ちゃんたちと一緒に、私たちと行動してください。で、復活するのは太郎さん」

「やった!ありがとう、藍!」

「ただし、太郎さんに限っては、見つけるのは瑠璃さんてことで」

「え?」

「えええぇ~~!!」

「だって私は見つけましたもん」

「なるほどな、筋は通ってる。太郎、いいな?」

「ううううぅ……」

 太郎さんは、往生際悪く唸ってる。

「わ、私は……やります!」

 瑠璃さんが意を決したように手をあげた。太郎さんは眉をひそめたけど、周りの全員はもろ手をあげて喜んでいた。

「お、いいね。そうこなくちゃ。じゃあ太郎、そういうことだ」

「うう……こんなはずじゃ……」

「残念だったな太郎~ぷぷぷ」

「わがままを言うからですよ」

 うなだれる太郎さんをみんながからかう中、パンパンと手を叩く音が響いた。

「よぅし!じゃあ諸々決まったところでルール確認」


・制限時間は日没まで

・結界を破られた時点で負け

・お手伝い禁止

・範囲は校舎内

・連絡は非常時のみで、隠れるための連絡は禁止

・瞬間移動禁止


・太郎が敗者復活、三郎は脱落

・太郎を発見するのは瑠璃に限る


「以上」

 法起坊さんが厳かに読み上げて、全員が頷く。

「じゃ、ここからはうちの管狐たちも一緒だな。お前たち、お姉さんたちを応援できるな?」

「が、頑張るの!」

「で、できます」

「できる……」

「琥珀ちゃん、珊瑚ちゃん、翡翠ちゃん……!ありがとう!絶対に危ない目にあわせないからね……!」

 彼女たちの心に植え付けた恐怖を取り去るべく、ひしっと抱き合った。瑠璃さんは何やってるのかよくわかってないみたいだけど、きっとこれから抱き合える時が来るはず……!

「じゃあ公平を期すために儂がジャッジに入るとするか。ではそろそろ始めるぞ~」

 みんなそれぞれ頷いた。かと思ったら、次の瞬間にはぱっと姿が消えていた。

「あ、いなくなった」

「いや、まだその辺にいると思うぜ。認識できなくなったんだ」

「あと……5時間くらいでしょうか」

「そうだな。こっちも大所帯になってしまったが、まぁお嬢さん方の判断に付いていくから好きに動いてくれてかまわんよ」

「ありがとうございます。二人で頑張りますから。ね、水咲さん!」

「は、はい……」

 残るは、太郎さん、治郎くん、僧正坊さん、豊前産、相模さん、セイさんの6人……。けっこう残ってた……。

 こうして、かくれんぼ~午後の部~は開幕した――!

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